e:cho「Ricostruzione」


e:cho「Ricostruzione」 (2014)

仙台出身の女性Voロック・バンドの、現行メンバーによるセルフ・カヴァー・ベスト。
現在のVoであるHarukaが加入したのが2012年。その後にシングルとアルバムをリリースしているようですが、2003年の結成以降どれだけの音源があったのか、よく分かりません。Amazonで検索すると何枚か引っ掛かってはきますが。
私は初めて彼らの音に触れるので、(当人達の意識とは関係ないところで)本作を1stアルバムのように捉えちまおうかと思います。

ここに収められた全11曲(オープニングのインスト1曲含む)が“ベスト”な選曲なのかは定かではありませんが、曲名も歌詞もアレンジも原曲とは異なっているようですね。歌詞を書き直したのはHaruka。元の歌詞は知りませんが、彼女の詞は曲に違和感無く馴染んでます。

音楽性を簡単に表現すると、『多彩な要素が無理なく収められたJ-POP』、か。

メイン・コンポーザーであるY.O.U.(Ba&Key)が書く楽曲は、J-POP、歌謡曲、ロック、グランジ、HR/HM等々、様々な要素が取り入れられたもの。テクノとかクラシック音楽も入ってるのかな?それら影響を、咀嚼して消化して完全に自らの血肉としていており、付け焼刃的なところがないせいか、聴く度に色々と気づく点があって印象が変わりますね。
だからね、説明するのが難しいの(笑)

ロックっぽさ・メタルっぽさはあるけど、楽曲展開の圧倒的スムーズさがその印象を良い意味で後退させ、総体としては洗練されたポップスへと昇華させている感じ。
演奏力は相当高そうですが、そういった楽器陣の主張よりは、Voメロディを生かす方向に心血を注いでいるんでしょう。やや暗めのメロディ使いは好みですね。一度ハマると中毒性は高そうで、そこここに仕掛けられたちょっとしたフックの魔術度の高さに驚きます。
ただ、ともすると流れて行ってしまうようなメロディの淡さは好みが分かれるかもしれません。また、ある種の“毒”はありつつも、耳あたりの良さ・聴き易さは抜群なので、その点も聴く人によって武器にも物足りなさにもなるかも。諸刃の剣的な。

Harukaの表現力が素晴らしいですね。
曲によって、まるで別の人が歌ってるのかと思うような表現の幅広さ。気だるげで退廃的なムードを感じさせたり、力強く歌い上げたり、粘着質な声や巻き舌を使ったり…。椎名林檎っぽく感じる時もありますね。HR/HMとは距離のあるVoスタイルながら、暗さの演出に秀でているので、とても好みです。ファルセットはちと好みから外れるけど。

楽曲はもうセンスの塊ですね。
一瞬だけねじ込まれるシンセ・フレーズのセンスの良さに驚いたり(③ヒカリなんてその最たる曲)、曲の流れそのままに歌い上げるようなGtソロに入ったり(⑩ここにある祈りの間奏がめっちゃ秀逸!)、ピアノやオケの使い方が新鮮だったり…と、まぁ引き出しの多いこと多いこと(驚)。
デジタルの味付けはあれど、演奏はとても生っぽく、特にBaの存在感は光っています。Drは、少しスコンスコンしてるきらいもありますが、軽やかで抜けが良い。その両者が生み出すグルーヴに誘われて、自然と身体がユラユラしたり、ヘドバンしたり…。

躍動感漲る②My Universe,⑤heat upから、暗く捻くれた独特のポップ感に引き込まれる⑨罪と奇跡、ドゥーミィとさえ表現できる④silent rainまで。テレビで、何かの番組のエンディングに使われてても違和感のない普遍性と洗練された歌メロを持つ⑥Anemone,⑪モノクローム。壮大なメロディーの裏に潜む骨太なロック的ダイナミズムが気持ちいい代表曲⑦element
これら幅広い楽曲が、全て違和感なくe:choという器に納まっているのがマジカル。プログレ愛好家にもアピールする要素があるかも。


バランスに長けたバンドですね。
『嫌みのない優等生は、実は腹黒だった』みたいなサウンド(意味不明&失礼w)が秀逸です。
素晴らしい。

【お気に入り】
下記楽曲はどれも甲乙つけがたいなー。
⑪モノクローム
⑩ここにある祈り
③ヒカリ
⑦element
⑥Anemone
⑨罪と奇跡


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