KAMIJO「Heart」


KAMIJO「Heart」 (2014)

KAMIJO兄貴、ミニアルバムとシングル2枚に続く、フルアルバム。12曲中、シングルでリリース済みの楽曲が(Ver違い含めて)4曲。まぁ、許容範囲ですし、兄貴の作品の場合はストーリー仕立てなので、それぞれの楽曲がそれぞれの場面で生かされているってことなんでしょうね。
演奏陣として、高橋圭一(Gt)、根岸孝旨(Ba)、IKUO(Ba)、山崎慶(Dr)という年代もキャリアもバラバラな人達が参加。高橋は兄貴と共にプロデュースも担当。盟友であるJupiterのHIZAKI(Gt)とMASASHI(Ba)も参加してますね。
しかし、ブックレットの兄貴がすげぇ痩せてて、心配になるんだが…。

音のバランスが良いです。Voが生々しく録れていて、オケの響きとバンドサウンドが綺麗に同居、重層的で立体的なスケール感のある音に仕上がっています。

前作「SYMPHONY OF THE VAMPIRE」は、メロディの殺傷能力の高さ、統一された世界観、スムーズなストーリー運びを併せ持った傑作でした。それと比較して、本作はどうか?

メロディのクサさで言えば、(僅差で)前作かな、と思います。本作には可愛らしいメロディや弾むリズムの曲が収録されていて、より幅広い作風ですね。まぁ、曲数の関係も大いにありますけど。兄貴の声によって、広義のシンフォニックHR/HMとしてなんとかまとまってはいるけど、個人的にはちょっと拡散し過ぎなきらいもあるな、と感じました。まぁ、俺的戦犯は、⑤Death Parade⑧Moulin Rougeなんですけど。
ただ、終盤に、「爽やかで陽性」「翳りがある」等の感触の違いはあれど、強力なスピード・チューンが連続してクライマックスを演出するので、聴後感はとても良いです。

歌詞は、フランス国王・ルイ17世をテーマにした前作よりは普遍的なものになっていると思います。…つっても、相変わらず主人公は吸血鬼で、前作でベートーヴェンにより明かされた衝撃の事実(笑)『自分の生み出す芸術を糧に生きる死者』設定は生きてるのだから、普遍的もクソもねーか(笑)。
心の領土がナンタラカンタラ、と兄貴が説明してたりしますが、『生者と死者の愛を、フランスの歴史に重ねて描くことによって、時間を超越させた』と、私は捉えています。そのエピローグとして用意された2パターンの結末が、⑪追憶のモナムール⑫Heart


お気に入りの曲について一言ずつ。
③闇夜のライオン
シングル曲。兄貴の曲作りの巧さが光ってます。

⑥Romantique
弦とピアノの響きが特徴の、ロマンティックなバラード。ナイ-ヴな歌唱が泣ける。Versailles時代を含めても最強クラスのバラードじゃなかろうか。

⑨サンクチュアリ
シリアスかつダークな雰囲気で駆けるシンフォ・チューン。ヴィジュアル系の匂いが濃いめだけど、弦と鍵盤のアレンジで自分の世界に持ってくる兄貴、さすがです。

⑩片手に夢を持つ少女
陽性メロスピ。超HIZAKIタイプの楽曲ですが、その本人がGt弾いてます(笑)。After Cloudiaっぽい感じ、あるね。こりゃあ、キラーでしょう。
終盤、女性の語りから次曲へと繋げる手法も◎。

⑪追憶のモナムール
シングル収録のキラー・チューン。
歌詞的には、「遠くから見守ってるよ」系のエンディング。

⑫Heart
8分半越えの大作。ここまでに辿ってきた音楽性を総浚いするかのような展開は、スピーディ。“全部入り”的な爽快感も感じますね。中間部のセクションを経てドラマティックに盛り上がる終盤、兄貴の歌唱の端々にそれまでより感情が剥き出しになっている様子が垣間見え、そこがとても良い。
歌詞的には、「オマエの物は俺の物」系のエンディング。


私は「SYMPHONY OF THE VAMPIRE」の方が好きですが、本作も、自分の持ち味/強みを完全に把握し、具現化した傑作でしょう。まるでブレず。
VersaillesがKAMIJO兄貴とJupiterに分かれた時、どちらかと言うとバンドであるJupiterに期待を掛けていましたが、こりゃ兄貴の音の方が私の好みに近いかも。いずれにせよ、Jupiter側も来年早々にアルバムを出しますし、引き続き面白くなりそう。

【お気に入り】
⑪追憶のモナムール
⑩片手に夢を持つ少女
⑥Romantique
③闇夜のライオン
⑨サンクチュアリ
⑫Heart
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