京極夏彦『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』

京極夏彦_ルー=ガルー2
京極夏彦『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』 (講談社文庫、上・下)

京極夏彦の『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』を読みました。
前作の感想は→コチラ。前作と同じテイストの装丁がまたまたかっこいい。

さて、本作はその内容以上に発売形態が画期的で話題になった本です。何と、単行本・ノベルス・文庫・電子書籍の4形態を同時発売。価格も単行本を除いてほとんど一緒という。私が読んだのは(分冊の)文庫版です。通常は単行本なりノベルスで出版して、3年後くらいに「文庫落ち」して再度発売というパターンですが、この発売形態は読者としてとても嬉しいですね。私はたいてい文庫でしか読まないので、「文庫落ち」するのを今か今かと待ってから購入するので。
で、これを提案したのは筆者である京極氏なのか、出版社である講談社なのかというところですが、どうやら京極氏主導みたいですね。

 ソースは → コチラ

まぁ、この条件を講談社が飲むことができたのも「売れっ子」である京極夏彦だからでしょうけど。
京極氏の着眼点は鋭い、というよりただの「物書き」に終始せず、お客さん目線であるところが素晴らしいですね。作品も勿論面白いけどインタビューを読んでも面白い。

内容ですが、前作同様とても面白いです。

以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓
主要登場人物は前作を同じ。ということは既に完全「キャラ萌え」状態の私にとっては面白くないわけがない。前作にも増してメインの事件の形がなかなか定まらず、前半は遅々として進まないような印象ですが、(私にとっては)まったくマイナスではありません。前作から10年たってますが、構想は以前からあったのか、伏線の張り方が素晴らしい。本作の作品内だけでなく、前作で明らかにされなかった謎も本作への伏線として回収してしまう大盤振る舞い。ただ、執筆されたのは2011年のはず。もっと言うと東関東大震災の後のはずです。

「原子力だってバイオテクノロジーだってそうじゃないか。作れるようになることと、使えるようになることは違うんだ。作れたんだから使えるだろうというのは短絡でね」
「危機管理というのは、危機を回避するための努力とは別ものだ」
「想定外の事態は必ず起きるものだと想定しておくということだよ」
「バッテリーが足りねーのな。やっぱ風力とかかなあ、時代は」

こんな表現があちこちに。

前作以上に「SF少女冒険活劇」っぽさを強く感じます。楽しい。とっても楽しいわ。
美緒は役割的には榎木津だな。

「五十歩なんとか」
「百歩」
「それ。ほら、火事現場でタコ殴り的な言葉あんだろうが」
「ええとな、火事場の馬鹿力」
お前国語力あるなあと美緒は感心した。

これ、さらに続編ありそうな結末です。ワクワク。
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