白川道『十二月のひまわり』

白川道_十二月のひまわり
白川道『十二月のひまわり』 (講談社文庫)

白川道(しらかわ とおる)の短編集、『十二月のひまわり』を読みました。5編収録。

旅館の跡取りと下働きの息子。境遇の違いから少年時代に抱いた殺意を負い目に、想いを寄せた遥子も伸介に譲り生きてきた相楽。遥子の死、伸介の失踪後も、娘の樹里を支え借金を肩代わりした。遥子の命日、樹里のピアノの余韻の中で明かされる苦い真実――表題作ほか人生の哀感を織り込んだ名手の作品集。

何でもないことをただ書いているだけなのに、感動する。私にとってそんな作家が何人かいて、それは藤原伊織(故人)と打海文三(故人)だったりするんですけど、この白川道もそう。「感動」ってのは何も涙を流すことだけを指しているわけじゃなくて、登場人物や描かれるシーンに対してどうしようもなく好きだなぁという感情が生まれることというか。

主人公が総じて苦い(もしくは栄光の)過去を背負っていたり、生い立ちの苦労があったりと、背景パターンはそう多くないんですけど、とにかく読ませる。まぁ文章が上手いんでしょうね。
そして、モチーフの使い方が上手い。表題作でいえばひまわり、「淡水魚」であれば熱帯魚、「車券師」であれば競輪、「達也」は主人公の職業と、そういうちょっとした要素が物語の中でくっきりとイメージを形作っていて、シーン毎に感動を助長するのよね。まぁ作者得意の博打関連の描写は私にはさっぱり分からないんだけど(苦笑)
私にとっては大切な作家ですな。

で、この本の解説を書いているのがイオリン(=藤原伊織)なのよね。ジ~ン。
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