IRON MAIDEN「VIRTUAL XI」


IRON MAIDEN「VIRTUAL XI」 (1998)

私が初めてリアルタイムで聴いたメイデンのアルバム、その名のとおり11作目。ジャケのセンスの無さが凄過ぎる。控えめに言ってもサイテーだ(苦笑)。

さて、前作「THE X FACTOR」(1995)で「いやいや、Voはともかく曲の出来はいいよ」等と擁護されつつも、圧倒的に“否”の評価を突きつけられてしまった「ブレイズ・メイデン」ですが、今作はイイ。マジでイイ。何がイイって、まぁBlaze Bayley(Vo)の歌唱力が劇的に向上&バンドの方向性に合致したものになった!…なんてことはなく、単純に曲が良い。メロディが印象的。「曲の出来はいいよ」という評価は、前作より本作にこそ相応しいと思います。

かつ、本作最大のポイントは、笑えるメイデン、です。
これは、シリアスな作風のメイデンのカタログの中にあって、この「VIRTUAL XI」でしか味わえない魅力。その最大にして唯一の功労者は、我らがBlaze Bayleyその人です。勿論、彼も意図してウケを狙っているわけではないでしょう。多分めっちゃ一生懸命。だからこそ、一生懸命だからこそ笑える。その「笑い」はどんな笑いかと言うと、爆笑でもニコニコでもなく、ニヤニヤ。これです。失笑よりはニヤニヤに近い。

本作は「ニヤニヤ」できる。それを前提に進めている話ですが、具体的にどこがどうニヤつけるか、解説しないといかんでしょうね。
ニヤニヤ楽曲目白押しの本作中でも最もニヤニヤ度の高いナンバーがオープニングを受け持ってくれているので、話は早いですし、最高のニヤニヤ・スタートが切れるってもんです。それが何を隠そう①Futureal。フューチャリアルって曲名自体もどこか笑いを誘う響きがありますしね。
再生ボタンを押すといきなり繰り出されるメインリフがめちゃめちゃカッコ良く、その勢いある曲調が前作の鬱憤を晴らさんとするかのようです。そして、アグレッシヴかつ即効性の高い楽曲の上で歌うBlazeは、正に水を得た魚のようにはしゃぎまくっております。妙な位置で力を込めるヴァースもなかなかニヤニヤもんですが、ブリッジでの歌唱がそれに輪を掛けて凄い。早口パートがまったく英語に聞こえない!(笑)…と思ったらサビでは一転して「What is real?」なんて小学生でも分かるような英語のフレーズとヘンテコな曲名を交互にハキハキ歌うんだからもうたまりません。降参ですBlaze先輩。
いや、曲はめちゃめちゃかっこいいのよ。しっかし、Gtソロに入る直前の「ウェーーイッ!」って奇声なんて、その異様なテンションに聴きながら自然とガッツポーズしちゃいますわねー。

Blazeが早口っぽい歌い方をすると、その独特のノリが英語ではなく、なんかもう彼独自の言語みたいに聞こえてくるわけですが、その「ブレイズ節」を存分に味わえるのが③Lightning Strikes Twice⑤When Two Worlds Collide。前者の「めぃび~、らぃにん~」からの「すらぃ!とぅわぃ!」って言い切り口調も堪りませんが、後者のDave Murray(Gt)らしいメロディ展開も素晴らしい。2曲共、本作を代表する佳曲だと思います。

また、スコットランドの風景をくっきりと浮かび上がらせる④The Clansman、そして⑥The Educated Fool⑦Don't Look To The Eyes Of A Stranger「どんるっくとぅ」って言い過ぎ!/笑)といった大作系の曲も、徐々に展開してゆく様子が聴き応えたっぷりです。

⑧Como Estais Amigosは、Bruce時代ではありえなかったような、Blazeのナイーヴな歌唱が前面に出たバラード。1曲丸々バラードってのも、メイデンでは珍しいし、この曲に関しては「笑えるメイデン」じゃない。Blazeならではの哀愁が駄々漏れになっていて、泣ける。間奏で繰り返すテーマ・メロディの美しさはメイデン史上に残る名フレーズだと思いますね。名曲。


Blaze先輩の熱演もあって、このアルバムの「一緒になって歌いたい」度はメイデンの作品群の中でもかなり高い位置にあります。もうこのアルバム、「愛おしい」と言っても過言ではないですね。一番好きというんじゃんなくて、一番ほっとけない。そんな感じ(笑)
ただ、メイデン史上最強のつまらなさを誇る(いや、誇らない)②The Angel And The Gamblerはマジで汚点。面白みもなんもないコーラスをいつ終わるとも知れず延々と淡々と繰り返す様は正に地獄。これはさすがに笑い飛ばせない。Blazeの歌唱の平坦さを見事に引き出した1曲と言えるでしょう(オイ)

【お気に入り】
⑧Como Estais Amigos
⑤When Two Worlds Collide
③Lightning Strikes Twice
①Futureal
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COMMENT 2

kazz_asai  2014, 12. 15 [Mon] 21:23

⑥⑦大好き♡

以前も書いたかもしれませんが、毎回発売日を心待ちにして買うIron Maidenの新譜、その「X FACTOR」を買って聴いたのは、いわきに向かう最終便のスーパーひたち車中でした。
次第に深まりつつある闇、都会を離れて暗い北の海へと向かう寂寥感。それをひときわ助長させる重く暗い楽曲、そしてなによりブレイズの訥弁ともとれる独特の歌い回しによって暗澹たる気分は決定的に。
真情を吐露すれば、自分は「POWERSLAVE」を聴くまではMAIDENの声がポール・ディアノでなくブルースになったのも容認できませんでした。そしてブルースこそ現在のスティーヴ・ハリスの楽曲を最大に生かせる声の持ち主だとようやく認識した身には、その喪失感は決して小さなものではありませんでした。
続く「VIRTUAL XI」では前作のような暗さは抑えられ、MAIDEN黄金律を取り戻したものの、やはり心の中では「これを『彼』が歌っていれば…」という気持が頭をもたげることはしばしば。
次作でまさかのブルース復帰がなければ、このままブレイズがMAIDENの声として定着していたかも知れません。しかしそれには、やはり少なからぬ時間を要していたであろうというのが、自分の偽らぬ思いです。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2014, 12. 19 [Fri] 20:59

kazz_asaiさん、

♡マーク付きのコメント・タイトルにまず驚愕です(笑)

Bruce復帰という事実が、(今となっては)本作の評価にも影響を与えるのは避けられないことだと思います。この後に黄金期を迎えるだけに。
仮にこのままBlaze体制で行ったのだとしたら、それほど私の中でも(現役として)大切なバンドにはなりえていなかったでしょうね。
たった2枚だから、逆に愛おしい(笑)。そんなヘンな思いも感じます(笑)

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