ARCH ENEMY「WAR ETERNAL」


ARCH ENEMY「WAR ETERNAL」 (2014)

Angela Gossow(Vo)が脱退、後任にTHE AGONISTのAlissa White-Gluzを引き抜く(意図はなかったかもしれませんが、結果としてそういう形に)という驚きの人事異動を行ったARCH ENEMY、オリジナル9thアルバム。プロデュースはMichael Amott(Gt)とバンド自身、ミックスはJens Bogren。

2つの新しい血と新機軸。

「新しい血」とは、Alissa。それと、彼女の加入の衝撃に掻き消されてしまった感はあるものの、Michaelの新たな相方として初めてアチエネのスタジオ作に関わるNick Cordle(Gt)。
そして「新機軸」とはオーケストレーションの大胆な導入。
この3つの要素がすべて成功しているように思えるのが本作の凄いところ。傑作でしょ、こりゃ。

まず1点目、Alissaの歌唱ですが、基本路線は前任Angelaと同様。アチエネではクリーンVoは導入しないというMichaelの発言通り、激烈な咆哮を轟かせております。彼女、語尾(だけ)が下品なのもイイね。
バンドの方向性ゆえ、THE AGONIST時代のように様々な歌唱法を駆使するという風にはいきませんが、グロゥルも一本調子には陥っていないし、そのスタイルの範囲内で結構メロディックに歌っていると思いますね。クリーンVoも完全に封印というわけではなく、バックでうっすらを被せている箇所も有ります。それがかなり効果的で、「メロディック」との印象を強める一助になっています。

2点目、MichaelとNickのコンビネーションが素晴らしいですね。MichaelとChristopherの“兄弟時代”ほど両者の奏法の違いを際立たせることはしていませんが、スピーディで流麗なGtワークも、メロディックに歌い上げるようなプレイも、テクニカルに翻弄するリックも全て冴えわたっており、「ギター・アルバム」との印象がとても強いです。まぁ元々そういう認識のバンドなんでしょうが、いつにも増してそんな感じ。もしかしたら「BURNING BRIDGES」(1999)以来の感覚かも。少なくとも前作「KHAOS LEGIONS」(2011)よりは前々作「RISE OF THE TYRANT」(2007)に近い作風だと思います。スピーディでインテンス、かつメロディック。
そう、本作のメロディの充実には驚くべきものがあります。ファスト/ミドルとテンポに関係なく印象的なメロディが溢れ出てきてますもん。まだまだMichaelのアイデアは枯れてないんだなぁ。クレジットを見る限り、Nickの作曲面での貢献も大きいようですね。個人的には、アルバム後半の充実が特に光っているように感じます。
Angela脱退/Alissa加入について、(本作を聴いて)どうこき下ろしてやろうかと待ち構えていた人もいるかと思いますが、このバンドに求められているものをしっかりと提示して、そんな人の意見もねじ伏せるだけの力がある作品かと。

3点目のオーケストラの導入。これが効いてる。要所々々に取り入れられた本物の弦の響きが、メロデス系音楽の特徴である「美醜の対比」という要素にまた違った角度から光を当てているようです。だからといってシンフォニック・メタルに接近しているかというとそんなことはないってのが不思議で、あくまでアチエネの音楽に自然と取り入れられているってのが肝。
このオケの導入、決して軟弱になってないってのもポイントで、オケの響きが逆にバンド演奏のヘヴィさを際立たせ、双方が手を取り合って珠玉の美旋律を奏でる⑨Time Is Blackなんてその成果が見事に結実した名曲だと思いますね。

冒頭・ド真ん中・ラストにインストゥルメンタルを配置してアルバムの中に流れを作り上げる構成も白眉。それだけに日本盤ボーナスのJUDAS PRIESTのカバー⑭Breaking The Law、コレ蛇足だろ。


話題性、それに十二分に応えた充実の内容。そしてLOUD PARKでの来日。舞台は完全に整ってる。
B!誌の2014年の読者投票の結果を総なめにしてもまったくおかしくないと思いますよ。
傑作。
だが、次の一手がどうなるかも既に気になる…。踏襲か改革か。

【お気に入り】
⑨Time Is Black
⑧Stolen Life
⑪Avalanche
③War Eternal MVは → コチラ。
⑥You Will Know My Name MVは → コチラ。
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COMMENT 2

DD  2014, 08. 15 [Fri] 16:21

 Angelaのころ踏襲しすぎて(前の良さを継ぐ、という意味で)、結構レビューでも「(Vo.ラインに)工夫が・・」等言われたりしてるので、踏襲しつつ改革する方向で行くような気がします、前の轍をバンドだって踏みたくないはずなので。

 オーケストレーションについてはいろいろ言われてますが、今回はうまくいってますね、バンドの自信の表れでしょう。

 LOUD~がこのラインアップの初めての公演でしょうが、Angela期のVo.アプローチをどうするんでしょう、曲によってはAgonistでやったような硬軟織り交ぜてのラインを入れてほしいもの(Michealはグロウル中心で行くといってましたが、それではこの人を入れた意味がないとむしろ思うので)。

 現時点のお気に入り・・3,4,8,12

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ヒゲ・スカイウォーカー  2014, 08. 18 [Mon] 06:35

DDさん、

確かに新Vo加入2作目でガラッと変化でコケましたからね、以前(笑)
私としても「踏襲&改革」が望ましいです。
いや~、しかし本作は当たりでした。

なんかAlissaとしても多彩な歌唱は(MichaelのSPみたいに)別バンドで追及してゆく、みたいなこと言ってましたよね。

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