奥泉光『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』

奥泉光_桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
奥泉光『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』 (文春文庫)

奥泉光の、『モーダルな事象』(傑作!)に次ぐ“クワコー・シリーズ”2作目『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』を読みました。

地位も才能もないが、やる気もなく志も低い准教授・桑潟幸一、通称クワコーを、毎月毎月、襲う怪事件。何とかしないとヤバイじゃんクワコー、と首をつっこむ文芸部の変人女子たちにいじられながら、首吊り幽霊の謎ほか、春のキャンパスを騒がす3つの事件にクワコーが挑む。芥川賞作家が贈る脱力+自虐のユーモア・ミステリ。


さすが奥泉光。超絶傑作。
オールウェイズ、ニヤニヤである。

以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓

「3つの事件にクワコーが挑む」となってますが、挑んでません。なりゆき任せか、むしろ逃げてます。事件を解決するのはクワコーが顧問を担当する文芸部のメンバー。というか、その中のジンジンこと“ホームレス女子大生”神野仁美。彼女が探偵役に収まって「解答」を提示するわけですが、そもそもこの作品、ミステリ仕立てにはなってますがそのミステリ部分は割とどうでもいい。つまんないからどうでもいいというよりは、ミステリ以外の部分がめちゃくちゃ面白いから、トリッキー(って言うほどじゃないけど)な謎解きの位置付けが相対的に下がってしまうだけです。

とにかく登場人物のキャラ立ちと会話、地の文章の面白さ。小説の基本たるこの点が徹底的に面白い。読んでいて終始ニヤニヤが止まらない。
クワコーこと、桑潟幸一准教授は他の類を見ない最高峰の主人公像だと思うね。加えて個性的な文芸部メンバーとアクの強い脇役たち。それら登場人物の間で交わされる会話の自虐的ユーモアのキレ、テンポの良さ、強烈なリズム感の良さは驚異的。ところどころ単語が太字になっている体裁も効果的ですし。っていうか、文芸部のメンバー、可愛いよ!

面白い文章を引用するのも無理なくらい、全ての文章の連なりが愛おしい。傑作。
しかし、ジャケのクワコー、“スタイリッシュ”過ぎじゃね?(笑)
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