MANOWAR「WARRIORS OF THE WORLD」


MANOWAR「WARRIORS OF THE WORLD」 (2002)

9thマッスル。
マッスル・ジャケは、お馴染みのKen Kellyによるもの。
元々多作なバンドではないけれど、レーベルを移籍した(Geffen→Nuclear Blast)関係もあったのか、前作「LOUDER THAN HELL」(1996)から実に6年ぶりの新作リリースとなりました。当時も、「随分ご無沙汰だったんじゃね?」的感想を持ったものです。
因みに、私が発売と同時に買った、初めてのMANOWAR作品です。

ウチのブログ的には、彼らの最高傑作。

MANOWARの音楽面での特徴といえば、今までも繰り返し記してきたように、「コンパクトでシンプルなHR/HMをEric Adamsがやたらめったら大仰に歌う」というものです。中には長尺曲もありますが、パーツパーツに着目すると、それほど複雑なことはやっていないし、そういう曲が何で長くなるかといったら、映画音楽からインスパイアされたと思しきSEや語りが挿入されるからだったりしますし。曲の根本自体は、あくまでシンプル&コンパクトだと思うのですよ。

アルバムは、そんな特徴が全開になった新たなアンセム、①Call To Armsで幕を開けます。
当時、この曲でぶっ飛んだ。
そして、今聴いてもぶっ飛ぶ。
単純極まりないミドル・テンポの楽曲で、普通ツマンネーってなるであろう典型例のようなタイプなのに、これが退屈どころか燃えまくる。
冒頭のけたたましいEricのシャウトにいきなりアドレナリン噴出、重戦車がゆっくりと進軍するかのようなGtの刻みはシンプル極まりないけれど、マッチョなイメージの創出とVoを邪魔しないという点では効果的。歌詞と、そして曲が進行するに従って徐々に、誰が煽ったわけでもなく一人で勝手に熱を帯びてくるEricの歌唱が、凄まじいまでのマッチョイズム駄々漏れ状態です。
この曲のVo面での特徴は、なんといっても語尾。
唸り声を微かに含んだような語尾が!
(例:now we are homeの「home」)
その有無を言わせない言い切り口調が!
(例:battle to fightの「fight」や、the sound and the mightの「might」等)
やたら、燃・え・る。
「You came here for metal, to fight and to die. Defenders of Steel~!」のくだりなんてもうサイコー。終盤のKarl Logan(Gt)の弾きまくりも素晴らしい。

②The Fight For Freedomは力強くも爽やかな空気を感じさせる曲で、これまたEricの歌唱力が映える名演ですね。同時に、歌う人が違ったなら良質のメロハーとも言えそうな、メロディ作りの巧さも光ります。
続く③Nessun Dormaは、『誰も寝てはならぬ』でお馴染みのプッチーニ作曲のアリアのカヴァーで、アルバム前半はあまり激しさも無いしもう完全にEricのソロ作のような様相になってきていますが、それがいいのだ。“らしさ”を失わずにメタル歌唱から脱却し、見事なオペラ歌手っぷりのEricですが、ラストでオペラであることを忘れてしまったのか、はたまた我慢の限界に達したのか、シャウトしてしまう様が可愛くも凄まじい(笑)

イントロ④Valhallaに導かれるバラード⑤Swords In The Windが前半のハイライトでしょうか。北欧神話をモチーフにした歌詞とメロディ、歌い上げるEricの歌唱、その相乗効果で泣きに泣ける名曲です。北欧神話好きな私にとっては、MANOWARで一番好きなバラードでもあります。
戦士へと鎮魂歌であるこの曲の歌詞は全編涙ちょちょぎれモノですが、特にヴァイキングの葬送儀礼について忠実に描写したラスト近くのサビ、
 Place my body on a ship
 And burn it on the sea
 Let my spirit rise
 Valkiries carry me
 Take me to Valhalla
 Where my brothers wait for me
 Fires burn into the sky
 My spirit will never die

での強烈なロマンティシズムは至高。

シンフォによる装飾の使い方がグッと洗練されてきたのもこのアルバムから、という印象です。サビにオケやクワイアをうっすらと被せるように使ってる(例えば)んですが、この手法は以降よく用いられるようになります。

アメリカのトラッド3曲を繋ぎ合わせたElvis Presleyのカヴァー⑥An American Trilogyに至るまでの流れは、まるでマッスル・サポートを得たEric Adamsのソロアルバムのようですね。そして、その「卓越したメタル・ヴォーカリストのソロアルバム」との印象を、アルバム終盤に連続するメタリック極まりないスピード・チューンで一気にひっくり返す様が最高にスリリングなのです!

Ericの歌唱力に依ってドラマティックな旋律美が輝く序盤、インスト⑦The Marchまでの中盤ではシンフォニックな装いが強まり、HR/HMならではの「団結」という概念をそのまま音に転化させたような⑧Warriors Of The World Unitedから再び進軍、⑨Hand Of Doomから激烈曲が3連続で畳み掛けられる終盤。このアルバムを一枚聴き通すことで得られるカタルシスの巨大さは、この構成力ゆえですね。
終盤3曲の中でもは、スピード、アグレッション、ピロピロGtにマシンガンのようなリフ攻勢、荘厳なシンフォの味付け、Ericの言い切り語尾に極めつけの高笑いと、全て兼ね備えた完璧なMANOWAR流メタルチューンですよ。


MANOWARのカタログの中で最も硬軟のバランスが取れていること。そして最もEric AdamsのVoにスポットが当たっている作品であること。結局のところ、この2点を以ってしての「最高傑作」評価であろうと考えてください。
モースト・マッスル。

【お気に入り】
⑤Swords In The Wind
⑨Hand Of Doom
①Call To Arms
⑪Fight Until We Die
⑩House Of Death
②The Fight For Freedom

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COMMENT 5

通りすがり  2015, 12. 04 [Fri] 03:07

こんにちは
マノウォー!確か世界で最もうるさいバンドでしたよねw
昔某メタル専門誌にディマイオ閣下のコラムがあったのを強烈に覚えてます
なんか毎回「やあ友よ・・」みたいな始まりで締めが「ヘイルアンドキル!」ってかんじだった気がw

自分は当時ジャーマン系のパワーメタルが好みで「BLACK AND FIRE STEEL」とか「BLOOD OF THE KINGS」とかに同じ匂いを感じて一気にはまってましたよ
それこそ某誌でラプソディが映画音楽的といわれてましたがマノウォーもまたある意味映画音楽的だと思いません?

今回推されてたアルバム未聴ですが熱が再燃して俄然聴きたくなりましたwチェックしてみます
長文失礼しました では


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通りすがり  2015, 12. 04 [Fri] 03:12

「BLACK WIND FIRE AND STEEL」ですね
WIND抜けてましたすみません
閣下に怒られるww

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ヒゲ・スカイウォーカー  2015, 12. 05 [Sat] 20:14

通りすがりさん、

コラムありました!読んでました!(笑)

一時期ラプソはDeMaio閣下が作ったレーベルに所属していましたしね。その後、関係がこじれちゃったようですが…(苦笑)

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グラハムボネ太郎  2015, 12. 10 [Thu] 09:12

マノウォー、ヘイル

凄くバラエティーに富んだアルバムですよね(笑)
普通だったらもっともっとメタル的な曲を聴きたいって思うはずなんだけどこのアルバムはそれが無いのです。
メタルソングもエリック歌い上げ曲も完成度高すぎる

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ヒゲ・スカイウォーカー  2015, 12. 12 [Sat] 08:51

グラハムボネ太郎さん、

仰るように振り幅広いんですけど、それらを全てEric Adamsがその大胸筋と上腕二頭筋で包み込んでくれるんです(笑)。
曲順ゆえか、聴後感めちゃめちゃ良いですしね!

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