ulma sound junction「idealogy」


ulma sound junction「idealogy」 (2014)

石垣島出身のプログレッシヴ・ヘヴィロック・バンドによる「LAND a SCAPE」(2010)に続くアルバム。2014年作。全7曲、54分半。うち1曲はイントロなので前作同様、長尺曲が中心です。
このバンドの音楽性については「LAND a SCAPE」の記事を参照していただければ幸いです(めんどくさがり)。

MVが作られた①Rotten Apple(→ コチラ。)がいきなりのキラー・チューン。彼らの曲はアルバム2枚分しか知りませんが、その中でも飛びぬけてHR/HMの流儀に則った曲ではないでしょうか。無論彼らのこと、この曲も一筋縄ではいかない様々な要素が顔を出すのですが、初っ端のリフの響きなんてかなりメタリックですからね。そしてそれは歌メロにおいても同様で、「Reach for the skies~」部分のメロディ・ラインなんてメロパワ/メロスピっぽささえ窺わせます。だから私にとって“キラー・チューン”なのかもしれませんけど。
目まぐるしく移り変わる展開が聴き手にスピード感となって伝わり、最後にアンセミックなコーラスに辿り着くという構成がまた素晴らしいです。

このにも顕著な点ですが、本作では田村ヒサオ(Ba&Vo)がよく“歌って”いる。様々な歌唱法と優れた表現力を持つ田村ですが、前作より“吼える”パートが減り、歌いあげるパートが増えているように感じます。時間を測ったり調べたりしたわけではないのですが、全体の印象としてはそう。そのことが、決してとっつきやすい音楽性を志向しているわけではないにも関わらず、一種の聴き易さに繋がっていますしね。そして、聴き易さがあるにも関わらず、同時にピーンと張った緊張感を失っていないところも◎。
もともとそれ系統(=Djent)のバンドの音にしては楽器の生々しさや演者の息遣いや熱を感じる音を出していると思いますが、このヴォーカル・パートの特徴のおかげもあり前作以上に有機的なサウンドですね。異色のバラード、③A New Worldの醸し出す穏やかな叙情なんてその最たるものかも。
全編英詞ですが、“歌”の存在感がさらに増してきたゆえに、歌詞は日本語でもいいかもしれません。

このアルバム、Gt×2本にBaにDrという4つの楽器が明瞭に住み分けていることも特徴で、スピーカーで鳴らすと定位がしっかりキマって実に気持ちいいです。「目の前で演奏してるゥ!」感を強く感じますね。飛び出してくる音が生々しく、かつクリア過ぎずにちょっとくぐもって聞こえるところも重々しさや各楽器の存在感に結びついているので好印象。優れた技巧も余すところなく聴き手に伝わってきますし。聴いてると身体がビクンビクンってなっちゃう。
一点、残念なのはリードGtのトーンが細くツヤが足りないこと。①③なんてラスト近くのGtソロが曲のハイライトになっているのに、その音色で損しているように思います。もっと涙チョチョギレるように泣きのソロにできるんじゃないかなぁ(って当人達にはするつもりもないのかもしれないけど)。惜しい。


前作以上に聴き応えのある力作です。バンドから発っせられるストイックだけど無愛想じゃないムードも良い感じ。

【お気に入り】
①Rotten Apple
③A New World
⑦Villa
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