BABE RUTH「FIRST BASE」

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BABE RUTH「FIRST BASE」 (1972)

数々の美麗なアートワークで有名なRoger Deanですが、本作のジャケは彼が手掛けた中でもかなりトホホな範疇のものでしょう。宇宙空間で野球やってるってシチュエーション自体がツッコミどころですし。だいたい“ベーブ・ルース”だから野球って発想が…(苦笑)。というか何でベーブ・ルースなんだよ!?
まぁこのジャケ、B級(というかC級)っぽい、妙な魅力があって憎めないのも事実ですが。私はこの間抜けっぽさが好き。

イギリスのロック・バンド、BABE RUTHの1stアルバムです。邦題は「一塁占領」(笑)。私が彼らのことを知ったのはHELLOWEENカバーアルバム「METAL JUKEBOX」(1999)で本作収録の⑤The Mexicanを取り上げていたから、だったように記憶しています。もしかしたらBURRN!誌の70年代HR特集、みたいな記事だったかもしれませんが。

プログレッシヴ・ロックの文脈で語られることもあり本作の収録曲にも長尺のものが多いですが、音楽的にはハードロック寄りですね。
その「HR的」との印象の大部分は女性Vo・Jenny Haan姐さんに依るものですが、そのかすれる一歩手前のアグレッシヴな歌唱がめちゃめちゃクールッ!退廃的なムードを醸し出しながらも熱っぽいシャウトをかますという、相反するような要素が同居する歌唱です。個人的にはこの「かすれる一歩手前」ってのが結構大事で、私は(抜けきらない)ハスキー・ヴォイスってあんまり好きじゃないんですが、姐さんの芯のあるパワフル・ヴォイスはとても好みですね。

曲作りや演奏のアレンジ等、バンドの根幹部分はリーダーAlan Shacklock(Gt,Vo,Organ等)の才能に依っているみたいです。ダイナミックなJenny姐さんの歌唱に対して、演奏は力強くありながらも繊細なアレンジで統制されているよう。ほんのりブルージー、それほどねちっこくないところが聴き易いです。
Alanによるスピード感に満ちたGtワークも素晴らしいですが、オルガンやピアノ、ゲストによる弦楽器や管楽器を駆使した盛り上げ方がめっぽう上手く、その秀でたアレンジ・センスはバラード調の②The Runawaysに結実していると思います。ロマンティックな旋律と徐々に熱を帯びてくる展開が堪らんです。

また、BABE RUTHと言えばマカロニ・ウェスタンという評価らしく、先述の⑤The Mexicanも映画『夕陽のガンマン』のテーマをフィーチャーしています。つまり作曲はEnnio Morricone。私は『夕陽のガンマン』を見てないのでMETALLICAのライブのオープニングくらいの馴染みしかありませんが、この曲自体はかっこいい。ピアノの響きがいいねぇ。ラスト、「こっからエンドGtソロに行っけーー!」ってところで曲が終わってしまうのが残念ですが。
Ennio Morriconeに留まらずこのアルバム、カバー曲が多くって、③King KongはFrank Zappaの、④Black DogはJesse Winchesterのカバーです。寡聞して後者の人については知らないのですが、泣きのGtが主張してて素晴らしいです。


HR的には実は1975年発表の3rdこそが名盤だと思いますが、繊細かつ大胆な本作もまた素晴らしい作品で、時折引っ張り出しては聴いてます。

【お気に入り】
②The Runaways
⑤The Mexican
④Black Dog
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COMMENT 4

kazz_asai  2014, 02. 11 [Tue] 23:58

熱い叫び

ジャケットはたしかにあのロジャー・ディーン?という感じなのですが、中学生だった私はこれを見て面白そうだと思ったのが出会いなので、自分にとっては一概に悪いとも決めつけられません。
もっともDeep Purpleなどに熱中していた頃なので、当時は一回聴いてそのまま忘れ去り、その真価が理解できたのははるか後年になってからでしたが…
プログレ的な音像と、ジャケットはヒプノシスによる2ndの方が優れているでしょうし、ハードロックとして見れば3rdを最高とするのが正論でしょう。
しかし私はこの1stのゴッタ煮感覚を最も愛するものです。
ジェニー・ハーンの金切り声を活かした冒頭のWells Fangoの迫力、哀愁に満ちたThe RunnawaysやThe Mexicanなどは未完成ゆえに却ってその生命力を感じさせ、いつ聴いても胸が熱くなるのをおぼえます。

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フレ  2014, 02. 11 [Tue] 23:58

久々に古いの来たね

はい、お転婆娘のヒステリックロック、大好きです♪カバー曲多いのは何でだろうね?そんなんしなくても十分面白い個性あったのになぁ…それでも選ぶ曲がヘンですが(笑)。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2014, 02. 12 [Wed] 21:01

kazz_asaiさん、

実は2ndは持ってなかったりします。勿論お馬さんジャケは知っているのですが。
この1stは愛すべき猥雑さみたいなものを感じますね。手がかかる子ほど可愛い的な(笑)

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ヒゲ・スカイウォーカー  2014, 02. 12 [Wed] 21:05

フレさん、

今回改めて聴き直してみたら、以外と繊細だなと感じました。もっとワイルド一辺倒なイメージだったので。
いずれにせよ、有名どころに比肩する素晴らしい出来だと思います。
The Mexican以外のカバーは記事を書くにあたって調べて、初めてカバーだと知りました。それほどに馴染んでいたので(汗)

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  • 2014.02.11 (Tue) 23:57 | ロック好きの行き着く先は…