sugar'N'spice「The Hybrid Age」


sugar'N'spice「The Hybrid Age」 (2012/2013)

ガールズ・ロック・バンド、sugar'N'spice(略して、シュガスパ)の1stフルアルバム。私の持っているのは2012年に発売したものに1曲追加、リマスターしなおして2013年にリリースしたもの。上のピンクいジャケもリマスターVerのものです。レントゲン写真の心臓部位にエフェクター。とてもセンスの良い素敵なジャケだと思う。

数回のメンバー・チェンジはあれど、全ての楽曲を手掛けるKYAO(Vo&Gt)を中心にしたツインGt体制のバンド。リードはオリジナル・メンバーのTSUE(Gt)が弾いているようですが、彼女、去年の暮れに脱退しちゃったのよね(涙)。現行のバンドは、KYAO(Vo&Gt)・MIE(Dr)・オクムラカナ(Ba)というトリオ編成。つまりGtが1本のままライブ活動をしている模様。KYAOのリードGtの腕前は不明だし、トリオ編成のライブを観ていないのでどう楽曲を再現しているのか(再現していないのか)何とも言えませんが、個人的にはツインGtのバンドが好きなのよね。今後、どうなるのやら…。

さて、それはともかくこのアルバム。

私の先入観なのか何なのか分かりませんが「ガールズ・ロック」という言葉から想起されるのは“弾けるような感じ”だったり“元気の良さ”だったりするわけですが、このバンドから感じるのはちと違う。まぁそういう要素もあるんですが、元気の良さよりもクレバーな感じが強いですね。cleverだと「ずる賢い」意味にも捉えられたりもしちゃうので、intelligentと言い換えた方がいいかしら。どこかしら知的で思慮深い感じが漂っているのよね。でも、同時にとても“ロック”してる。勢い任せの性急感よりも、骨太で地に足のついた感じ。泥臭さみたいのは無いんだけど、70年代ロック的な演奏から漂ってくるこの“老獪さ”はどうだ?(笑) 若い女の子が曲を作って演奏してるとはとても思えん。「間」の取り方や透けて見えるバックグラウンドが実にオッサンくさいもん(褒めてる)。

でも無骨だったり無理に突っ張っている感じかというとそんなことはないですね。KYAOの声が猫っぽいから(笑)。彼女の声に含有されたフェミニン成分(?)と、その歌い回しがバックのダイレクトかつツボを得た演奏と噛み合うことによって出来上がる、どっぷり本格的なんだけどキュートなロック。ここらへんのバランス感覚はTHE LEAPSにも通じるところがあると感じますが、シュガスパの方がもっと渋いですね。

私は(声は勿論)KYAOが作るメロディと歌詞の乗せ方に魅かれるわけですが、特筆すべきは日本語詞と英詞のシームレスな行き来。英単語が実に自然に歌詞の中に溶け込んでいて、かつKYAOの歌い回しが自由自在。日本語部分が英語っぽく聞こえたりもしますね。自分の稚拙な文章表現のことは完全に棚に上げて言っちゃいますが、それはもう「センス」としか言いようがない。
KYAOの言葉を扱うセンス、メロディ・センスに私が一発でヤラれてしまったのがタイトル・トラックの②The Hybrid Age。パンキッシュなアップテンポ・ナンバーですが、この曲のサビの歌詞の乗っかり方こそ鋭敏なセンスの塊だ。キラーッ!
この曲から、捻くれたポップなメロディが映える③Teenage Circus~キュートでダンサブルな④Paper Moon~ステディなリズムの上にメロウなメロディが乗る⑤チェルノブイリの恋人という前半の流れが強力です。
反面、アッパーな楽曲が少し足りないかな。特にアルバム後半に。それだけに追加された1曲である⑪In Three Yearsの繊細なGtワークとキャッチーな歌メロが嬉しいです。まぁその前の⑩地図と領土のドッシリとした確固たる存在感も素晴らしいんですけどね。

クイクイ決まるチョーキングが気持ちいい歌うようなGtソロの雄弁さも眩しい、充実作。

【お気に入り】
②The Hybrid Age
前曲からの流れもイカす。PVは → コチラ。
⑪In Three Years
③Teenage Circus
⑤チェルノブイリの恋人
⑩地図と領土
④Paper Moon


KYAOが愛するサイバーパンクのアレコレが散りばめられているらしい、この「The Hybrid Age」。先述した「知的な雰囲気」ってのは歌詞に依る部分が大なわけですが、仕掛けが多そうな歌詞、それをちゃんと味わうところまでは行ってないというのが正直なところです。私、サイバーパンクはおろかSF小説への知識は皆無ですし。
ただ、自分より遥かに巨大で、時に無慈悲な“世界”に対して、一個人としてどう関わっていくのか、どう立ち向かっていくのか、そういった葛藤を歌詞から感じたりします。①Cry Me A River、②The Hybrid Age、⑤チェルノブイリの恋人、⑩地図と領土あたりの曲に顕著かな。
私にとっては、「世界と自分自身の根拠について、徹底して考え抜こうとしている人間の書いた本を、たまには読んだ方がいいと思うけどね」と作中人物に言わせた打海文三の世界にも通じる磁力を感じて、その点からも魅力的な作品、バンドであるわけです。
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COMMENT 2

お客様  2014, 02. 05 [Wed] 20:56

kyaoは現役阪大院生なんですよ


http://www.kiwakiwa.jp/2013/10/11/kyao_column-2/


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ヒゲ・スカイウォーカー  2014, 02. 06 [Thu] 19:48

お客様、

存じておりますー。
このコラムもチェック済みでございまーす!

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