TEARS OF TRAGEDY「Continuation of the Dream」


TEARS OF TRAGEDY「Continuation of the Dream」 (2013)

日本一クサい、そして世界でも第2位のクサさを誇るバンド名を持つ、国産女性Voメロディック・スピード・メタル・バンド、(オイラ)待望の2ndアルバム。

1stアルバムのジャケの少女、人呼んで“アンフィリアちゃん”はこの2ndのジャケでちょこっと成長した姿を見せてくれております。正に、夢の続き(Continuation of the Dream)ですな。ジャケのデザインもイメージの連続性を考慮してる感じで美しい。アンフィリアちゃん、2011年からちょうど2歳成長したようにも見えますが、中身の音の方は“ちょこっと成長”どころの騒ぎではありません。親戚のおじさんやおばさんが久しぶりに甥や姪や孫に会うと「おおー、大きくなったなぁ!」って言うのが世の常ですが、そういうレベルの話でもありません。例えるならば、芦田○菜ちゃんがいきなり黒○瞳になったくらいの、ダコタ・ファ○ングが一夜にしてジョディ・フォ○ターになっちゃうくらいの、阿藤快が加藤あいになっちゃうくらいの(?)成長っぷりっですよコレは。伝わるような伝わらないような例えでスマンですが、言いたいのは「1stも素晴らしかったけど、この2ndはほんとにほんとにマジ凄ぇぇぇえええ!!」ってことです。
傑作。

前作「ELUSIVE MOMENT」の記事で書いたことと一部重複しますが、私の考えるTEARS OF TRAGEDYの音楽的特徴をメンバー目線で整理すると、
・エクストリーム・メタルもイケそうな強靭かつ安定感のあるリズム
 ※YOHEI(Ba)とHIDEYUKI(Dr)は本作が初参加音源ですが。
・TORU(Gt)の華麗なテクニックが生み出す圧倒的疾走感
・HAYATO(Key)による包み込まれるような叙情性
・HARUKA嬢(Vo)の「耽美派J-POPヴォーカル」による親しみやすさ


こんな感じですが、その上で本作での特徴というか変化のポイントは、
HAYATOマシマシ
HARUKAだくだく


コレっす。

( ゚∀゚)o彡゚ HAYATO!HAYATO!
( ゚∀゚)o彡゚ HARUKA!HARUKA!



1stアルバムから、楽曲・歌唱・演奏・サウンドプロダクション等々、全ての点でレベルアップしていると思います。
リズム隊の演奏が締まっており、かつ変に暴れていないので、メロディを邪魔しないという条件をクリアした上でHR/HMとしての剛性を保っている印象です。
TORUのGtは得意とする(であろう)繊細なタッチのシュレッド・プレイはそのまま、泣きの要素が大幅増。全体的に弾きまくりのアルバムではありませんが、ここぞという時の自己主張が眩しいです。
Keyの使い方・方向性は同様ながら、分量&活躍度合が大幅アップ。もしかしたら音作りのせいでそう感じるというのもあるかもしれません。いずれにせよ、前作よりその存在が目立っており、シンフォニックで柔らかにバンド・サウンド全体を包み込んでいます。
そしてHARUKA嬢のVo。存在感増したねぇ。よりヴォーカルを前面に出した作風になっています。そして、その録音がまたちょっと独特で、バンド・サウンドの真ん中からこちら(聴き手)に向かってくるというより、上から降りてくるような、そんな感じがします。勿論、彼女の声質のせいもあると思いますが。そのおかげか、従来からの「J-POPヴォーカル耽美派」の魅力にプラスして気品みたいなものも備わってきました。また、Voパートの録音には特に拘ったのか、予想もしない方向から歌声が飛び込んできたり、歌詞の一部に一瞬だけコーラスを重ねてそのパートを印象付けたりしていますね。明るめ曲でも彼女の声質のおかげで能天気には感じないところも特筆すべき。

歌詞については前作にはあった英詩が激減、HARUKA嬢の歌うパートはほとんど日本語詞です。歌詞を手掛けているのは彼女自身(HAYATOが書いた詩も一部有り)ですが、自然な日本語の詩がメロディに上にふわりと乗ることによって耳触りはとても良いですね。逆に、VoパートにHR/HMらしい(と敢えて言いますが)刺々しさは皆無。HR/HM目線だけではティアーズの魅力を十分捉えることはできないような気もしますが、その点、人によっては物足りなく思うかもしれません。

「柔と剛」共に抜かりないサウンドですが、演奏がしなやかだからゴツゴツした感じはしないし、お馬さんで言えばサラブレッドって感じっす。全体としては、軽やかで癒し系なんだけどスリリングなメロスピ/メロハーになっていますね。


で、一番に伝えるべきことが最後になってしまいましたが、今回はなにより曲=メロディが良いのよ。
既にライブで披露済みの楽曲が3曲収録されていますが、それらが飛び抜けて優れた出来というわけではない。ここ、ポイントね。彼らの音楽が気に入る人ならばどの曲が一番のお気に入りになってもおかしくないほどの粒揃いっぷり。「捨て曲が無い」とかいうレベルではありません。前作で私が一番好きだった曲はThe Arclight Of The Skyですが、今作は全曲それと同じくらいかそれ以上のメロディの充実度に感じます。TORUとHAYATOの2人のソングライターが、HARUKA嬢の「どこまでが地声でどこからがファルセットなのか(移行がスムーズ過ぎて)判別しづらい」歌唱の特性を生かしたメロディを作っているとも言えるかも。

どのくらい充実してるかっていうと、思わず1曲ずつ触れちゃうほど(笑)
※作曲者について書いてない曲は全てTORU作曲ね。

ピアノをバックにHARUKA嬢のVoが降りてくる①Continuation Of The Dreamがイントロ的役割を果たして…

②Euclase
一気にスピードを上げて典型的ティアーズ・メロスピ・チューンへ。疾走感と哀メロ、ポロロンポロロン煌めくKey、駆け抜けるGtソロとトレードマークともいえる要素が詰まった曲ですが、途中で切り返してさらに大サビへもっていくようなサビメロが素晴らしいですな。
実質的な1曲目でいきなりガッツポーズものですが、まだ待つんだ!
このアルバム、これからどんどん尻上がりに良くなっていくんだから。今ガッツポーズしてるとその後もガッツポーズしっぱなしになっちまうぞ!(笑)

③Stay With You
ライブレポで数回にわたり私が「新曲1」と言っていたのは実はこの曲でした。これ、超好きー。J-POP調のちょいと捻ったメロディにTORUの走り過ぎない小気味良い刻みとKeyによるシンフォニックなキメ。ブリッジ~サビの入りの部分への流れが特に堪らんですね。マジカル!短いながらGtソロも良く泣いてるね。

④Rebirth
再びアクセルを踏み込んでの加速っぷりが凄まじいですが、歌メロと歌詞は明るく前向き。ストレートにティアーズの魅力が発揮されている、本作を代表する曲でしょう。英詩じゃない、日本語詞の良さと特性が如何なく発揮されている曲でもあります。

⑤It Like Snow...
HAYATOとTORUの共作。私の中ではバラードじゃないんだけど、限りなくバラードと同じ感情をもたらす曲。そして、大衆性のあるJ-POPなんだけど、限りなくティアーズでもある曲。曲名そのまんまの景色を見事に再現する情景描写能力を持つメロディとアレンジ。泣きのGtソロも映える映える。
この曲、アルバムの流れの中で素晴らしいアクセントになっていますね。

⑥Spring Memory
本作の凄さを如実に表してる曲かも。トレードマークである包み込むようなVoとポロロンkeyと小気味良く刻むGtをしっかりとフィーチャーしつつもメロスピではなく爽やか哀愁ポップス。この空気感、どう考えても「学生」だよ。青春だよ。部活だよ。だって甘酸っぱいもん、歌詞もメロディも(笑)。ハルカ先輩、「いつものように笑って ねぇ?」って言われても無理っすよ。反対に泣いちまうから。しかしハルカ先輩、俺が「ねぇ?」っていう歌詞が好きなの知っててワザと使ってるでしょ?(←)
そして、このアルバム、実はこの曲以降の流れが凄いんですよ先生。

⑦Another World
GtとKeyが競い合いチェイスするようなイントロから始まるメロスピ曲。ただ突っ走ってるだけじゃなくて孕んでる泣きの度合いが半端無いんだよなぁ。そして、ここぞというサビでの英詩フレーズ!この部分のVoが遥か天空から降ってくるような響きでゾクッとするのよね。間奏Gtソロがまた激泣きで悶絶っす。

⑧Falling Star
TORUのギタリストとしての良質のエゴが炸裂したスピード・チューン。ここまで壮絶に泣きまくるGtプレイは今までのティアーズには無かったのではないかな?イントロ&間奏&アウトロで挿入されるソロプレイの泣きっぷりとは対照的に、バッキングはGtもリズム隊も比較的シンプルにスピード重視って感じか。“シンプル”って言っても演奏力は猛烈高いので、スリリング極まりないですが。歌メロはヴァース~ブリッジ~サビと流れるような流麗さが特徴ですね。

⑨Prison Of Abyss
HAYATO作曲、歌詞はHARUKA&HAYATOの共作。3部構成、11分超の大作。
AFTERZERO / THOUSAND EYESのDougenがデスヴォイス(=英詩パート)を、明日香が(ってゴゾンジナイ方ですが/汗)ソプラノVo(=イタリア語パート)を、そしてなんとKeyのHAYATO自身がバリトンVo(=イタリア語パート)を担当、HARUKA嬢と合わせて総勢4名のヴォーカリストがそれぞれの役柄を演じることによって紡がれる物語調の曲です。
HAYATOの朗々歌唱のマジっぷりも驚きですが、さらにビックリするのは楽曲の構成力と、美味しいメロディと展開を極上の料理法で仕上げるアレンジ。そしてここでは普段それ程見せない彼のKeyソロイストとしてのプレイも味わうことができます。
オルゴールの音によって物語の幕は開けます。歌詞に若干「状況説明口調」的な字余り感もありますが、そこから浮かび上がってくるのは、金儲けと綺麗な装飾品(「黄金色とガラスケース」)にしか興味のない両親(もしくはそれに類する庇護者)に幽閉されている主人公の少女(「僕」「figlia」「miserable girl」)の姿でしょうか。外界に関する知識は書物(「すりきれた本」)から得た事柄のみ。
第1部。ピアノが静かにそして激しく舞い踊り、交錯する日本語とイタリア語のパートが少女の置かれた境遇を描き出します。全3部を通してピアノの旋律に翻弄される曲調は、少女の激しく揺れ動く内面を映しているかのように感じられます。
第2部では、さらにスピードを上げて外界への憧れを募らせる少女の焦燥感を表現しているよう。
第3部。ある日の夕刻(「空は悲しいほど赤く」)、遂に飽和点を迎えた少女の自由への渇望はDougenの咆哮という形をとって迸り出て、「無我夢中で触れてはいけなかった 扉に手をかけ」る…。この4人Voが目まぐるしく交錯するパートのスリリングな展開は素晴らしいですね。「そうあの時僕は~」から始まる悲劇のクライマックスは、今までの9分半がそこに至るためにどうしても必要な助走だったかのように思わせる劇的さ。ソプラノ・コーラスをバックにHARUKA嬢が歌うメロディが、次々とうわっかぶせるように紡がれる様が悶絶モノで、ラストに一番美味しいところを持ってきてくれるのがほんと嬉しいです。歌メロの裏で拍車を掛けるように爆発を繰り返すリズム隊と「もう勘弁してください」ってほどの緊迫感を演出するオーケストレーションの仕事っぷりも最高。
そして寂寞感漂うオルゴールの音へと戻る円環構造。完璧やん。物語と美旋律の相乗効果が凄まじい名曲。

⑩VOICE
HAYATO作曲。聴けば聴くほど沁みてくるなぁ、この曲。ピアノに導かれて始まるメロハーっぽい曲ですが、胸を締め付ける曲調と祈りの歌詞が完璧なマッチングを果たし、その哀感はこのアルバムの最後において最高地点へと辿り着きます。泣きのGtソロ~ポロロン&キラキラ輝くKeyソロへとバトンを渡す展開の美しさが白眉。キラー!!

⑪星の砂
ボーナストラック。アコギをバックにそれまでとは違った中低音域で歌うHARUKA嬢。朴訥さというか、素朴な感じが出ている小曲で締め。


という必殺の流れこそが「HAYATOマシマシ、HARUKAだくだく」という私にとっての本作の特徴を決定付けています。
VoとKeyの活躍が増しているというのが私の感想ですが、「もっと!もっと!」と求めたいのも実はこの2つのパートだったりします。アルバム発売前、3曲をライブで聴いた時点ではもう少し曲調の幅を広げてくるかと思っていたんですね。まだHARUKA嬢の声の全部を引き出してないんじゃないかなーと思います。本編の曲とでみせた声との中間の声を要求する曲とか。あとKeyにももっと色々な音色が欲しいですね。例えばオルガンとか。単に私がオルガンの音が好きなだけですが。
そうそう、あともうちっとBaの音が目立つといいかなー。やってる音楽性からいってBaは他の楽器に埋もれがちになるとは思いますが。
はい、私は欲張りなんです(笑)

HR/HMとか関係なく、とにかくメロディが美しい作品ですね。メロディ大好きっ子からすれば悶絶モノの傑作なので、(TORUが在籍している)THOUSAND EYESだけじゃなくってこちらも聴いてちょ。双方の音楽性は結構違うように思えるけど、聴いて湧き上がる感情はあんまり変わらないのよ、私の場合。ポイントは勿論、“泣き”ね。
クオリティの面からいっても激推しできますが、“組み合わせの妙”が生み出す個性という面からいっても希少種。似たような音を出しているバンドが他にあんまりいないんじゃないかという風に感じますね。少なくともあたしゃあ、知らん。

アルバム・トレーラーは → コチラ。

【お気に入り】
⑨Prison Of Abyss
⑩VOICE
⑥Spring Memory
③Stay With You
私は上記楽曲に特にヤラれますが、ほんと全曲良いんですわ。
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COMMENT 2

kazz_asai  2013, 12. 22 [Sun] 09:52

美旋律ここに極まれり

微に入り細をうがちながら核心を衝いたレビューに、ヒゲスカさんのToTへの無上の愛を感じました。
前作はメロディック・メタルの傑作ながら、歌謡曲にも通じるVoの大衆性とメロデス的演奏との親和力に欠ける部分に白璧の微瑕を感じさせましたが、今回はさらにその融合が図られています。
入魂の文に屋上屋を架すようですが、私としても今年度ベストアルバムの一角を占めることは疑いのない作品であると思います。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2013, 12. 22 [Sun] 14:24

kazz_asaiさん、

過分なお言葉、ありがとうございます。
あんまり「メロスピ」じゃなくても良いと思うんですよね、このバンド。今作を聴いていると、速さに囚われているわけではない広義のメロディック・メタル(ロック)としての魅力が勝っているので。

ウチでもそのうち年間ベスト記事書きますので、その際には浅井さんのベストも教えていただければ幸いです(笑)

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