DREAM THEATER「DREAM THEATER」

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DREAM THEATER「DREAM THEATER」 (2013)

米国産プログレッシヴ・メタル・バンド、12枚目のオリジナル・アルバム。自信満々のセルフタイトル作です。思えば前作「A DRAMATIC TURN OF EVENTS」は、Mike Portnoy(Dr)が脱退するという超弩級の人事異動を乗り切った上での「我々は歩みを止めません。安心してください」というステートメントのようなものだった気がします。それ故に作風もポジティヴなDREAM THEATERの見本市に近いものがあったと思います。

で、ツアーも経てバンド体制が非常に安定しているように感じられる中リリースされた本作はと言うと、

バランスに長けた優等生的なサウンド

だな、と。

言い換えると、成熟した大人のアルバム、かな。

アルバム最後には⑨Illumination Theoryという22分超の組曲が待ち受けていますが、その他は最近の彼らにしてはコンパクトな4~6分ほど(苦笑)の曲が並びます。1曲だけ8分弱のものがありますが。
短めのイントロの後に登場するのは、先行公開されたという②The Enemy Inside。楽器陣のスリリングな拮抗と歌メロの良さを併せ持つ佳曲ですが、ここまでの演奏のぶつかり合いは以降聴かれず、というか目立たず、アルバム全体としては伸びやかなJames LaBrieの歌を中心に据えた、適度にリラックスした“気持ちの良い”作風だと思います。非常にメロディアス。John PetrucciのGtもなかなか泣いてるし。各楽器のサウンド・バランスも良好ですね。
割とコンパクトという点も大いに関係ありますが、冗長な演奏が続いて「もうそろそろ…」と思う頃にすかさず次の展開に移ったりとソツがない感じはします。それは美味しいパートにしてもそうなんですけど。「ここ、カッチョイイからもうちょっと続けて…」とか思ってると躱されちゃう、みたいな(苦笑)

あまりゴツゴツした印象が無くって、聴き終えた後に疲労感の少ないアルバムです。これ、DTにしては珍しいことですね。故に「よっしゃー!聴いてやったゼ!」という達成感もそれほど無い。
今まで、というかMike Portnoy在籍時のアルバムが「冒険」なら、本作(前作も、かな)は「旅行」って感じかな。しかも「パックツアー」。完成度は非常に高く、美味しい所を一通り取り揃えていて概ね満足できるんだけど、強烈な音楽体験には欠ける、という印象ね。とても要求度の高いレベルでの話ではあるし、どちらが好みかって問題なんですけどね。

メンバーの中で一番HR/HMが大好きで、それをストレートに表明していたのがMike Portnoyだったと思うのですが、彼の持っていた「やんちゃさ」のようなものがDTから無くなっていることに2枚目にして気付いた次第です。その事が上で述べた「優等生的」「成熟した大人の」って感想に繋がってくるように思うんですよね。
今後、「この曲、クソつまんねぇな」(笑)って感じることが少なくなりそうな気はしてますが、心配なのは彼らが優れたアルバムを枚数重ねることは出来ても、(私にとっての)超名曲を創造することが出来ないんじゃないかと思わせるところ。どうかその予想を裏切ってほしいところですが。

今後の事を考えずに純粋に本作についてのみ評価すると、「好きな一枚ではあるけれど、ちょっと物足りない」って感じです。一アルバムのお気に入り度の順位は先の記事で挙げたところの「A DRAMATIC TURN OF EVENTS」「AWAKE」の間か、もしくは「AWAKE」の下かなぁ?


イマジネーションを掻き立てるHugh Symeによるアートワーク諸々も相変わらず秀逸。バンドロゴしつこく登場し過ぎだけどな。

【お気に入り】
②The Enemy Inside
⑤The Bigger Picture この曲の叙情は素晴らしいね。

因みに最後の組曲⑨Illumination Theory、聴き応えはあるが流れは悪く、チグハグ感を感じるので私はあまり好きではありません。具体的に言うと「ⅴ.Surrender, Trust & Passion」での大団円は素晴らしいものの「ⅲ」~「ⅳ」が退屈。
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