吉川英梨『アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希』

吉川英梨_アゲハ
吉川英梨『アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希』 (宝島社文庫)

吉川英梨の警察小説、『アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希』を読みました。ドラマ化されたこともあるらしいシリーズ物の第1作です。

警視庁鑑識課に勤める原麻希は、ある日、子供を預かったという誘拐犯からの電話を受ける。犯人の指示のもと、箱根の芦ノ湖畔へと向かった麻希だが、そこには同じく息子を誘拐されたかつての上司、戸倉加奈子の姿があった。殺人現場に届く「アゲハ」からのメッセージの意味は? 誘拐は、麻希と加奈子の運命を変えた八年前の事件が関係しているのか...?
女性秘匿捜査官・原麻希が社会の闇に挑む、長編警察ミステリー。


しかし、「女性秘匿捜査官」とは何すかね?「代表取締役刑事」とか「刑事貴族」バリ(古ッ!)に意味不明な肩書きですね。さて内容は如何に?


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓

それらしい記述はありますが、これ「女性秘匿捜査官」ってサブタイトルに掲げるほどのもんじゃないかな、と。電車の中の週刊誌の吊り広告に近いものを感じますね。言い方は悪いが、誇大広告だよコレ。で、それに引っ掛かったのはワタクシ(苦笑)

これ、なかなか面白いです、スピーディーな展開で。
でも非常に軽薄な印象を受けますね。バラエティ番組の面白さに通じるところがある。ジェフリー・ディーヴァー的な方向を狙っているのか、驚かせる展開の連続技です。「この後、どうなってしまうのかー!?」「続きはCMの後でッ!」みたいな。単純にこれだけ手を替え品を替えネタを放出できる点は凄いなとも思うのですが、どうも底が浅いなぁ。

人物描写が甘く、筋が通っていないというか、作者の頭の中で人物造形がちゃんと固まってるのかな?と疑問に思う場面が頻出。この人がこんなセリフ吐くかなぁとか、この状況でこれはねぇだろ、というツッコミが常に浮かんでくるんですよね。主人公の娘の菜月なんて幼稚なのかませてるのか分からんし、そもそも何歳の設定だよ?(7歳)

また、ストーリーもご都合主義のきらいがあります。例えば、犯罪の片棒を担ぎ、重要参考人として警察の監視下に置かれてしかるべき立場の主人公達が、どうしたら「私たちが真相を解明するのよ!」「オーッ!」みたいな展開になるのかも理解できないし、それを傍観しているだけの警察もどうなのよ、とか。

そういうツッコミが無限に出てきて、怒りを通り越して逆に楽しくなってしまうという。また、読み進めていくと、そういったチグハグさこそ本作の魅力なんじゃないかと錯覚してくるから面白い。いや、たちが悪い。
繰り返し登場する、「ハラマキ」→「私をフルネームで呼ぶな!」ネタにはウンザリさせられますが(苦笑)、2作目も買ってあるので読んでみます。怖いもの見たさ的な感じ、ありますね。もしくは、臭いって分かってるのに(←何がだ?)嗅いでみて、「やっぱり臭い!」ってのを確認したい心境というか。
スポンサーサイト

COMMENT 0