ORPHANED LAND「ALL IS ONE」


ORPHANED LAND「ALL IS ONE」 (2013)

イスラエル産、プログレッシヴ・メタル・バンドの5thアルバム。ひとくちに「プログレメタル」と言ってはいますが、ORPHANED LANDの音楽性を文字で説明しようとすると誰もが迷ってしまうんじゃないかと思います。クリーンとグロゥルをスイッチするヴォーカル、泣きの表現に優れたギター・チーム、物語を語るのに適した緩急自在の曲作り、中東独自の宗教観を色濃く反映させた歌詞世界等々…特徴はありますが、極めつけは様々な民族楽器を駆使した中近東色の濃いメロディ使いでしょう。HMの範疇のバンドでここまで自らの出自(音楽だけでなくその思想までも)を色濃くそのサウンドに反映させている連中はいないのではないかというくらい独自性の高い音を奏でています。私が2000年以降にその存在を知ったバンドの中では、最も衝撃を受けたものの一つ。

3rdは超名作、4thも傑作、そして本作も実に素晴らしい出来です。私は1曲目の①All Is Oneを聴いて、いきなり泣いてしまいましたよ。
ジャケットはキリスト教、ユダヤ教、イスラム教のシンボルが組み合わさったものであり、そして本作のタイトルが“All is One”。そこからごく自然に導き出されるヴィションは「3つの宗教の融合」でしょう。3つの宗教をテーマに据えたアルバムといえば3rd「MABOOL: THE STORY OF THE THREE SONS OF SEVEN」なわけですが、歌詞も共通する単語が散見されます。「MABOOL」の歌詞のテーマをよりストレートに、かつ未来への希望を込めて表現した作品が本作、と言えるかもしれません。

音楽的にはデスメタル色をほぼ排除、それ系の「声」を聴けるのは⑥Failのみとなっています。それもアグレッションを爆発させるというよりは、怒りを胸に秘めたまま語りかける様な曲調。アルバムは必然的にクリーンVo主体となり、Kobi Farhi(Vo)のセクシーで憂いを秘めた説得力抜群のヴォーカルが思う存分味わえる作風になっています。演奏面に目を向けても、攻撃性抑えめでシンフォ色&ポジティビティを強めですね。ただし、能天気ではない。ここ、ポイントね。

コンパクト&ダイレクト。これが本作の肝かもしれませんなぁ。ものすごい人数のゲストを迎えて仕上げられたアウトプットは多彩でふくよかな印象でありつつも、やはりコンパクト&ダイレクト。6分を超えるのは2曲、クリーンVoによって歌われる歌詞は分かりやすく直接的、曲タイトルもシンプルなものが多い。インタビューによると、バンド側も自分達の意図が伝わりやすいようにという点は考えていたようで、それゆえの「コンパクト&ダイレクト」な作風なのでしょう。


収録曲は何れも自然に流れてゆくアルバムの中の一ピースとして機能しており、取り立ててどの曲が優れていると選びにくい作風ではあります(実際、曲は粒揃いだし)が、ド真ん中に居座るはやはり素晴らしいフックになっていると感じますね。
私の好みとしては、アルバムのテーマを溢れるポジティビティで歌いあげる①All Is Oneと、終盤の泣きのGtソロに涙せざるを得ない⑪Childrenが特に気に入っています。しかし、希望を託した作品のラスト・ナンバーが「チルドレン」だなんて、泣けるじゃないですか。

【お気に入り】
⑪Children
①All Is One
⑥Fail


因みに、ここでも神出鬼没のJens Bogren先生がミキサーとして顔を出しておられます。
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