MEGADETH「CRYPTIC WRITINGS」


MEGADETH「CRYPTIC WRITINGS」 (1997)

7thスタジオ・アルバム。私が初めてリリースと同時に買ったMEGADETHの作品です。
本作の後にNick Menza(Dr)が抜けるので、ファンにはおなじみの“黄金のラインナップ”としては最後のアルバムとなります。以降はDave Mustaine(Vo&Gt)のソロ・プロジェクト的なイメ-ジが強くなりますね。作品の出来が、というより、「いつメンバーが交代しても不思議じゃないぞ」的な捉え方をしがちなところが。

買った当時の思い入れもあると思いますが、このアルバムはめっちゃ好き。一番好きな作品かも。
キーとなる曲を要所々々に配置して、13曲という決して少ない曲数ではないのにも関わらず、アルバム終盤まで集中力が途切れることなく持続できるのが素晴らしいです。そしてその終盤の流れこそが白眉。私見ですけど、これは彼らの作品としては非ッッッッッ常ォォォオオに珍しいことですよ(笑)。

本作の最大の特徴、人によっては「問題点」となりうることですが、それはDann Huffがプロデューサーに迎えられているということでしょう。かつてのGIANTの中心人物(Vo兼Gt)であり、様々な超有名アーティストの作品でGtを弾き、プロデュースをしてきたDannが、一メタル・バンドのアルバムを手掛けたこと自体驚きですが、その効果が如実に作風に現れているのが賛否分かれるところでしょうね。
今までの切れ味鋭いサウンド(特にGtに顕著)は、ウォームでファットな音作りにシフトし、弦楽器にせよDrにせよ切れ味より量感を優先したように感じます。キーワードとしては、「オーガニック」ですかね。グランジ/オルタナティヴを通過したような気怠さがあるのも特徴。音が呼吸する“間”がさらに増えて、王道アメリカンHR/HMたる余裕が感じられます。大人になった、成熟した、頼もしくなった…、そんな表現が思い浮かんでくる作風ですね。

1曲目の①Trustが正にそういう特徴の現れた曲で、トライバルなDrのイントロからしてちょっと違ったムードを醸し出していますが、これは完全に歌モノだ。「YOUTHANASIA」(1994)の頃とはまた違った感じでメロディアスな曲ですが、歌モノHMとしての完成度がまるで別次元かと。同時に、リズム隊もミステリアスなGtワークも弦のアレンジも、Voを支えるだけでなく伸び伸びと自己主張しており、否応なしに“変化”を感じさせます。名曲。ラストのエンドGtにも痺れますね。

2曲目以降もMustaineがよく“歌って”いる曲が続きます。聴き易くなり少し方向性が変わっただけで、未だヘヴィさはありますし、メロディの煽情力は上がってるし、次作「RISK」(1999)のようにヌルくもないし、個人的には表現手法が広がったというプラス面に着目したいところです。まぁリフの持つスリル感は減じてますがね。
Mustaineが私の最も苦手とする、ブツブツ文句を垂れるようなVoを披露するウネリまくりの④Mastermindでさえ、待ってましたのスピード・チューン⑤The Disintegratorsとの落差を演出するためだと思えば、悪くない。
のようなスラッシーに疾走する曲でも、以前のように知的で切れ味鋭いリフの展開で以って聞かせるというより、ストレートに、それこそハードコアパンクと言ってもいいほどの勢いがあるのが特徴でしょうか。新鮮かつ、スリル満点。

アルバム中盤は、人によってはちょっとダレると思います。ミドルテンポの、ちょっとマニアック気味な曲が連続しますから。そのどれもが妖しく陰鬱なトーンで覆われているのがまた輪を掛けるんだ。
私は、Gtがメロディックに“歌って”いる⑧A Secret Placeが好きだし、⑥I'll Get Evenもそこそこ聴けるので退屈はしませんが。

そして怒涛のラスト3曲(ボーナス・トラック⑬One Thingを除く)。
MEGADETH私的最強楽曲は、何を隠そう⑩She-Wolf。もうね、ぶっちぎり。2位との差は一馬身二馬身どころの話じゃなくて、周回遅れにしちゃうんじゃないかと思うほど(大袈裟)。2位は何だろ、Tornado Of Soulsかな?
ただこの曲、MEGADETHとしては異色の曲だと思うんですよね。パワーメタルを思わせる明快なサビメロに分かり易い曲展開、そして極めつけはラストのツインリードGtのメロディ。「RUST IN PEACE」(1990)のHangar 18の曲紹介のところでも触れましたが、こんなにカッチリと構築されたクッサクサで美しいメロディのGtソロは、らしくない!(笑) もっと飛び道具的でスリリングなソロこそMEGADETHの本分だろうと思うわけです。事実、この曲もライブ盤では交互にギター・バトルするような展開を経てからキメのフレーズに移行してますし。でも、このギター・メロディの構築美こそがキラー。最強。
まぁ異色な曲ゆえに私でも気に入ったのかなとも思いますが(笑)

今まで鬱憤を溜め込んでいたのか、ここからさらにアップテンポの曲が2つ続きます。⑪Vortexはなんてことない曲だけど、Gtがとっても良い仕事してるなー。リフの音色も◎。スラッシュらしいスラッシュ(ということはそれほどMEGADETHらしくないのかも)の⑫FFFで勢いよく締めくくる。ゆえに、爽快感と聴後感は抜群ですね。

【お気に入り】
⑩She-Wolf
①Trust
⑤The Disintegrators
⑧A Secret Place
⑪Vortex
⑫FFF
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