横山秀夫『第三の時効』

横山秀夫_第三の時効
横山秀夫『第三の時効』 (集英社文庫)

横山秀夫が珍しく(?)「刑事」を描いた警察モノの短編集、『第三の時効』を読みました。短編ってあまり好きではないので本当に好きな作家以外は手に取りにくいんですよね。コレもずっと後回しにしてました。

殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず、巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か!?刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、全六篇の連作短篇集。本格ミステリにして警察小説の最高峰との呼び声も高い本作を貫くのは、硬質なエレガンス。圧倒的な破壊力で、あぶり出されるのは、男たちの矜持だ―。大人気、F県警強行犯シリーズ第一弾。

圧倒的な高評価を受けている作品ですが、うん、こりゃ凄いね。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓

めちゃめちゃ面白い。
でも好きじゃない。

横山秀夫の作品を何作か読んで、好きになったのは『クライマーズ・ハイ』くらい。あとは面白くって客観的には高評価をしつつも、何故か受け付けないのよね。

「面白かったー」とか「感動した」という風に印象に残っている小説って、そのタイトルや作者名、表紙と一緒に各シーンのヴィジュアル・イメージが想起されるものです。少なくとも私はそう。
で、その作品を読んでて思い浮かんだ場面ってまぁ心象風景みたいなもので読者が好き勝手に思い描いたシーンなわけです。そういう映像の中でも後々その本について思い返す時に現れてくる映像って割と自分の見たいシーン、好きなシーンが多いんですが、横山秀夫の小説はそういうシーンがあまり無いのよ、私のとっては。言い方変えると、リアルで救いが無さ過ぎる文章/場面なゆえに、そのシーンを心に残すのを無意識的に拒否してるような感じ。それくらい苛烈。まぁ横山氏の文章自体、はっきりとしたヴィジュアル喚起よりも、容赦ない筆致での状況説明の方が得意そうではありますけどね。

各話、同じF県警強行班の話なんですけど、短編ごとに語り手を変える手法を取っており、これが効果的で良いですね。『半落ち』の時はただの小細工にしか感じられなかったこのやり方が、ここでは超強力に作用してます。
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