AVANTASIA「THE MYSTERY OF TIME」


TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「THE MYSTERY OF TIME -A ROCK EPIC-」 (2013)

もう止めるとかやっぱアルバム作ってみようとか、その行く末はTobias Sammet(Vo&Ba&諸々)の気分次第な感もあるAVANTASIAプロジェクトの2013年作。現在のEDGUYにあまり期待をしていない私にとって、このリリースは非常に嬉しいですね。

私の考えるこのプロジェクトの肝は、①如何に優れた歌メロを用意するか②ゲスト・ヴォーカリストの選定と配置。突き詰めるとこの2点に尽きます。作風というか方向性ありきの話ではありますが、まぁ最近のTobiasの嗜好から考えると広義のメロディックHRになるであろうことは想像に難くないわけです。いまさらメロスピはないよなぁ、と。
また、バックの演奏がある意味「無難」ってのも特徴で、良く言うと歌メロを邪魔しない、悪く言うと演奏でスリルを生み出せないってことになります。

AVANTASIAプロジェクトは3rd「THE SCARECROW」以降の作品が特に好きな私にとって、引き続き同じ路線なのはある意味安心で安定。才能豊かなTobiasを筆頭にHR/HM界の実力者達が関わっているアルバムなだけにそのクオリティは(ある程度)折り紙つきとも言えますし。
因みに今回のゲストVo陣はこんな方々。↓
 Joe Lynn Turner
 Biff Byford (SAXON)
 Michael Kiske (UNISONIC)
 Cloudy Yang
 Ronnie Atkins (PRETTY MAIDS)
 Eric Martin (MR. BIG)
 Bob Catley (MAGNUM)

今回もめっちゃ高品質で聴いていてワクワクドキドキ楽しい作品でありながら、ちょっとだけ贅沢な文句もあるっちゃあ、ある。

ちょっと薄味かな?

上記のポイントにせよにせよ、過去作と比較するとアクが少ないというか、聴いていてスッと流れていってしまう場面があるように思うので。もしかしたら、私がこのプロジェクトの(この路線の)音楽に「慣れて」きて変化を求めているだけかもしれませんが…。
例えば、Kiskeの伸び伸びVoをフィーチャーしたメロパワ・チューン④Where Clock Hands Freezeや大団円を演出する大作⑩The Great Mysteryが、過去の同タイプの楽曲に比べて高揚感や迫力が不足しているように感じます。どちらも好きな曲ではありますが、こんなもんじゃないだろとも思うわけで。

しかし、本作の「物足りなさ」の原因は何と言っても、鬼神ヴォーカリスト・Jorn Landeの不在、コレに尽きます。彼の絶品歌唱が聴けないこと、そして彼がいることによって生み出されていた(ように思える)良質な競争意識のようなものが希薄なことが残念ですね。JornがいることによってTobiasもそれに対抗してド迫力の歌唱を披露していたように思いますし、それは他のヴォーカリストについてもそう。実際は同じスタジオで一緒に作業しているわけではないでしょうから、私の思い込みかもしれませんが。しかし、彼がいる/いないじゃ作品に漲る緊張感がまるで違うんですよねー。
本作におけるJornの代わり(と言っちゃ失礼だが)は、Biff Byfordでしょうか。「今までの曲ならきっとココJornが歌ってるよな」と思うところは今回大体Biffが担当してるような気がします。でも、個人的にはちょっと役不足に感じてしまいます。Biffも素晴らしい歌唱を披露してます(このことは強調しておきたい)が、相手が悪過ぎる。ヤツは“鬼”ですから。

あとは、マエストロ・Bob Catleyの出番が少なかったり(出し惜しみか!?)、出番多めなJoe Lynn Turnerの歌唱がボチボチレベルに留まっていたりと、ポイントの生み出すケミストリーはちょっと控えめかなぁ。かつてのAlice CooperやJon Oliva、Tim Owens、Klaus Meineらのような「絶妙なキャスティング感」が薄めなんですよねー。

そんな中、気を吐いているのはRonnie Atkins。彼の暑苦しい正統派ガッツィー歌唱の踏ん張りによって⑦Invoke The Machineはなかなかの良曲に仕上がっています。ちょっとしたポップ感もPRETTY MAIDSに通じるものがあって◎。
勿論Kiskeと、相手に合わせた歌唱が得意なTobiasのパフォーマンスは光ってるし、⑧What's Left Of Meに参加したEricは曲を完全に自分色に染め上げていて、流石。Eric自体がこのプロジェクトに合っているかと言えば、疑問符が付きますが。


ゲストVoのキャスティングの他にも注文をつけるとすると、「無難」なバックの演奏陣を(数曲だけでも)入れ替える冒険をしてほしいですね。世界観を壊さない程度にテクニカル系のプレイヤーを起用してみてはどうでしょうTobiさん?特にGtとDrに。


褒めてみたり文句言ってみたり非常に忙しい、まとまっていない感想ですみません。再度言いますが、出来は良いんですよ。3rd以降の作品が好きな人や来日公演のチケットを買った人は今回もマスト(って当然買ってるか/笑)、AVANTASIAを聴いたことがない人は本作よりもまず3rd「THE SCARECROW」を聴いてほしいです。

【お気に入り】
⑨Dweller In A Dream
Kiskeの伸びやかなVoが映える陽性メロパワ佳曲。
⑥Savior In The Clockwork
入れ替わり立ち代わりのVo、「これぞAVANTASIA!」と膝を打つ。
⑦Invoke The Machine
⑩The Great Mystery
なんだかんだでやっぱ良いかも。


アートワークはあのRodney Matthewsが手掛けていますが、やや期待外れかな。独特の朧げで幻想的な色合いが薄め。

※カテゴリは、<EDGUY, AVANTASIA>に登録しました。
スポンサーサイト

COMMENT 0