山田正紀『おとり捜査官1 触覚』

山田正紀_おとり捜査官1触覚
山田正紀『おとり捜査官1 触覚』 (朝日文庫)

山田正紀のおとり捜査官シリーズの1作目、『おとり捜査官1 触覚』を読みました。

同じタイプの若い娘3人は絞殺されたばかりか、2人はミニスカートを剥ぎ取られ、1人は髪の毛を鋭利な刃物で切られた無残な姿で発見された。山手線連続通り魔殺人事件の謎を追うおとり捜査官の北見志穂は被疑者たちの前にその美貌と肉体を晒す違法ぎりぎりの捜査を強行した! 96年度ミステリの大収穫と絶賛された前人未到の本格シリーズ第1弾。

幻冬社文庫で発売された時のタイトルは『女囮捜査官~』だったようですね。シリーズ全5作中の最初の1冊になります。そのあまりにストレートで2時間ドラマのようなタイトル(事実TVドラマ化されたよう)に食指が動かないかもしれませんが、ズバリ、これは面白いです。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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これは解説にもあるとおり、日本版リンカーン・ライム・シリーズ(ジェフリー・ディーヴァー)のようですなぁ。しかもライム・シリーズ1作目『ボーン・コレクター』に先駆けること2年。

異常犯罪における被害者像への研究から創設された、警視庁科学捜査研究所「特別被害者部」という組織設定、そのチームによる捜査がメインという点、主人公の北見志穂という女性のからの視点(アメリア・サックスとカブるよね)、どんでん返しの連続、サイコキラー的犯人、都合のいい(笑)でもスリリングな展開、とライム・シリーズとの共通点と言える特徴が多々あります。
ただ、ライム・シリーズほど入り組んだ構造ではなく、もっと贅肉を削ぎ落したようなシンプルな筋ですね。それを「物足りない」と捉えるか、「小気味良い」と捉えるかは読者各々の好みかなぁ。

警視庁内の“異端”である「特別被害者部」のメンバーとその囮捜査自体に対して、当初圧倒的「否」を唱えていた捜査本部が徐々にその実力と効果を認めつつ、(苦渋の選択ながら)捜査方針として採用するくだりの描写はなかなか読ませるね。チーム「特別被害者部」のキャラ立ちも良く、今後の第2~第5作での活躍が楽しみです。
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