日明恩『そして、警官は奔る』

日明恩_そして警官は奔る
日明恩『そして、警官は奔る』 (講談社文庫)

日明恩の武本・潮崎シリーズの2作目、『そして、警官は奔る』を読みました。
1作目『それでも、警官は微笑う』の感想は → コチラ。

警視庁蒲田署に異動となった武本は、不法滞在外国人を母に持つ幼女監禁事件を追った。一方、かつての上司、潮崎は、武本の力になりたい一心で、独自に事件の調査を始める。そして、浮き彫りになる子供の人身売買や虐待の現実。法律では裁ききれない闇に、2人はどのような光を当てるのか?シリーズ第2作。

前作と作風やや異なりますね。相変わらず面白い点もありますが、今回はやや粗が目立つかなぁ…

以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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前作『それでも、警官は微笑う』は主人公側の人間にしろ犯人にしろ、迷いがあまり無く、ある意味「まっすぐ」な登場人物が気持ち良い作品でした。しかし、今回は迷いまくる。主人公達は逡巡し、脇役も逡巡し、事件の本筋はどれだか分からない程迷いまくり、前作以上の長さの話を作者の筆もフラフラしてる印象。別に、スパッといかない「迷い」の作品でも重厚さや迫力が出てれば良いんですが、この作者、同じような描写を繰り返す癖(?)があるので、ただ単にスピード感が殺されてダラダラしてる印象になってしまってるのが勿体ないですね。

前作のエピローグで国際組織犯罪特別捜査隊なる部署に引っ張られた武本が、今回もあっさり所轄の強行班に戻っているところもやや興醒めだし、警察の組織や体質にしきりに言及しているにもかかわらず武本達が係長(名前のみ登場/苦笑)をすっ飛ばして課長ばかりと相談してたり…。そういう「粗」を気にさせないほどの何かを備えていれば良かったのですが、それもなし…。事件よりも人間ドラマに重きを置く作風は前作同様ですが、今回やや人間ドラマに偏り過ぎかな、と感じます。事件に関しても複数あって、「そっちばっか描いててあっちはどうなってんの?なおざり?」みたいな…。

なかなか進まなくてヤキモキさせられる作風ですが、登場人物のキャラ立ちはやはり良いですね。特に武本の相棒・和田は秀逸。あと犯人のムカつき具合も特筆すべき。こんなにイラつく犯人像もなかなか珍しいなぁ。

潮崎がキャリアとなって戻って来るであろう、次作に期待かな。
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