樋口明雄『ミッドナイト・ラン!』

樋口明雄_ミッドナイトラン
樋口明雄『ミッドナイト・ラン!』 (講談社文庫)

樋口明雄の『ミッドナイト・ラン!』を読みました。

みんな死んでるはずだった! 練炭集団自殺を実行寸前の男女五人組。突然でくわした、ヤクザに追われる少女を助けるが、誘拐を疑われ警察に指名手配されてしまう。追っ手のヤクザから無数の弾丸の雨あられ、パトカーからは包囲されても、奴らはとことん走り続ける。痛快無比なジェットコースターノベル。

大藪賞と冒険小説協会賞をW受賞した『約束の地』は傑作でした。冒険小説を始めとして様々な要素を詰め込んだ、ある意味筆者の王道だった作品とはガラリと異なり、本作『ミッドナイト・ラン!』は軽妙な語り口の痛快な作品。振り幅、広い。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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巻き込まれ型のサスペンスものにリアリティを無視した映画バリのアクション・シーンをふんだんに盛り込んだ作品。軽いね。実に軽い。内容も軽けりゃ、読み口も軽いのでサクサク読めます。でも、その割には人はバタバタ死んだりしてるのでそこら辺にちょい眉を顰める人もいるかもしれません。かくいう私も、少々どっちつかずの印象を持ちました。
で、この作者、『約束の地』でも少し思いましたが、“例え”がヘタクソ、かつ古いですね。今時「シュワルツェネッガーのようにニヤリ」はないでしょう。知識がアップデートできていないように感じられます。『約束の地』のように隔絶されたような舞台での話では違和感は少ないのですが、本作のように都会が舞台だと少々気になる表現がチラホラ。

文句ばっか言ってますが、全体的にはなかなか楽しめました。この作品の場合、現実には有り得ない場面と時代劇バリの「あ、やっぱこうなるのね」的展開ばかり出てくるので、我に返ってしまうと「ツナンネ」ってなってしまいますが、スピード感があるので気にせず一気に読んじゃうのが吉、かと。
逃亡&反撃する主人公達一行の各メンバーそれぞれが、自分の得意技(ってほどでもないけど)を駆使して活躍する様子が読み処ですが、ラスト近く、それまでノホホンとしていたニート君が本領発揮するシーンと元自衛官の射撃シーンは非常に良かったですね。
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