ジェフリー・ディーヴァー『ソウル・コレクター』

ジェフリーディーヴァー_ソウルコレクター
ジェフリー・ディーヴァー『ソウル・コレクター』 (池田真紀子 訳、文春文庫、上・下)

ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム・シリーズの8作目、『ソウル・コレクター』を読みました。

リンカーン・ライムの“いとこ”アーサーが殺人容疑で逮捕された。アーサーは一貫して無実を主張するも、犯行現場や自宅から多数の証拠がみつかり有罪は確定的にみえた。だがライムは不審に思う――証拠が揃い過ぎている。アーサーは濡れ衣を着せられたのでは? そう睨んだライムは、サックスらとともに独自の捜査を開始する!

殺人容疑で逮捕された“いとこ”を無実とみたライムは、寃罪と思しき同様の事件の発生を突き止める。共通の手掛りが示したのは、膨大な情報を操る犯人像。真相を究明すべく、ライムのチームは世界最大のデータマイニング会社に乗り込むが――。データ社会がもたらす闇と戦慄を描く傑作!


やはり面白い。あんまり書く事がないほど面白い。勝利の方程式に則っているから。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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大好きなリンカーン・ライム・シリーズですが、毎回強敵と言える悪役/犯人が登場して“ライム・チーム”と対決するのは勿論最大の読み処ではありますが、その周りに散りばめられた各登場人物の人間模様も読みどころの一つ。今回は、①ライムと従兄弟・アーサーの過去、②1作目と前作に登場した少女・パムとサックスの関係、③“ルーキー”プラスキー巡査の成長、といったところでしょうか。これらの本線とは直接関係のない部分の話でも有ると無いのでは大違い。“ライム・チーム”につい感情移入してしまうのは、ディーヴァーがこの人間模様を丁寧に描いているからですね。今回のラスト・シーンの詩情は、なかなかこのシリーズでは味わえない秀逸なものだと思いました。

さて今回の犯人(“ソウル・コレクター”は日本版の為にディーヴァー自ら提案した題名)はちょっと小粒かなと感じましたが、その犯人が駆使する“武器”(=情報、データ)の着眼点とその切れ味&破壊力は、流石ディーヴァーと言うべきもの。やや上手く作用し過ぎなような気もしないではありませんが…。

前作『ウォッチメイカー』の犯人が今作でも別の事件として登場しますが、大沢在昌・新宿鮫シリーズにおける仙田のような存在になっていってるので、今後のライムとの対決が実に楽しみ。


※巻末には、ディーヴァーと故・児玉清氏の対談を収録。
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