SABER TIGER「MESSIAH COMPLEX」


SABER TIGER「MESSIAH COMPLEX」 (2012)

札幌のベテランHMバンド、SABER TIGERの10thスタジオ・アルバム。Wikipediaによると今のバンド編成は32期(!)らしいですが、田中康治(Gt)を含んだ5人編成からメンバー変わらずの2作目。相変わらず無愛想なジャケで損してる気がするのですが…。

さて今作の感想の前に、SABER TIGERの音楽性についてモヤモヤ~と私が思っている事を書いてみましょうかね、というコーナーです。と言っても、下山武徳のヴォーカルが好きで聴き始めたということもあってか、サーベルは下山時代しか聴いた事がないので、ここでも下山サーベルから受ける印象について述べたいと思います。※久保田陽子サーベルも追う気はあり。
私が下山サーベルから受ける印象は「歌メロと演奏との乖離」です。別の言い方をすると「何でこのリフ/バッキングパターンにこの歌メロが乗るの!?」になります。これは貶してるのでも不満点を述べているわけでもなく、SABER TIGERの個性・特徴だな、と思っている次第で。

この「乖離」についてもう少し説明します。私が思う、下山のVoの特徴は「熱い/暑苦しい、生々しい/感情込めまくり、コブシ/うねり」です。対して演奏(特にギター・リフ)の特徴は「冷徹、マシーナリー/無慈悲、ジャスト/揺らぎがない」。「押しが強い、ゴリゴリしてる」という共通点はあれど、それぞれ正反対の属性ではないですか!…というかそういう風に誘導して書いてる記事なんですが…。ギター・ソロは「熱い」ですがね。しかしここで“水と油”とか“犬猿の仲”とかは言いたくない。というか言えない。この正反対の要素の同居こそ(私にとっての)下山サーベルなのです!かと言って、持ち上げたいわけでもないのですが(苦笑)。
さて、ここから私の妄想が走り出します。下山サーベルの場合、Voと演奏の、この相反するような二者が手と手を取り合ってる風じゃないのがポイント。でも仲違いしているんじゃなくて、お互いの実力を認め合った上で、自分のパートに専念している感じ。イメージとしては会議室みたいな一つの部屋(=バンド)に、ブロジェクトチ-ムではなくって、職人の親方連中を放り込んで仕事させてるような図。寿司職人と時計職人?「仲良くお喋りしてん場合じゃないんだよ!こっちは遊びでやってんじゃねェぞ。でやんでぃ」みたいな感じ?(笑)
この「乖離した要素の同居」というイメージは、歌メロの裏であまりコード感を感じさせない凝ったバッキング・パターンを延々と刻み続ける木下昭仁(Gt)のプレイと、その上で独特のコブシをきかせたラインを吼える下山のヴォーカルによって(私の中では)決定付けられるのですが、そのイメージはギターが1本、つまり田中再加入以前の方が強く感じました。ギターが2本になり、より多彩なプレイができるようになり「乖離」していた距離が少し縮まった感じ?また、田中の再加入と同時に作詞が遠藤フビト氏に変わり、歌メロへの英詩の乗せ方がより自然な方向になってきた事とも無縁ではないように思います。
下山サーベルって私の中では、NEVERMOREと印象が被るんですよねぇ。ツイン・ギターになってなおさら。サーベルの方が(歌メロは)メロディアスで、NEVERMOREの方がテクニカルですけど。

さて、長くなりましたが本作の感想です。聴き易い、ですねズバリ。私のようなサーベル・ビギナーにも優しい(?)歌メロのキャッチーさがあります。彼らにしては、というレベルですけど。前作はバンド再始動に際して気合が入り過ぎたのか空回りしたのか、演奏の充実度に比べて歌メロの無骨さが目立つ曲が多く、私のような「メロディ派」にとってはどうにもとっつきにくかった記憶があります(うろ覚えスマン)。しかし、本作は良い感じに肩の力が抜けたのか、2作目ということで勝手が分かってきたのか、演奏面の硬派な部分はそのままにメロディを大幅増量、バランスに長けた作品になりました。また、前作には無かったバラードが今回は組曲形式のようになってど真ん中に配置(⑥⑦)されたことで、アルバムに大きな流れを作り出すことに成功、好印象です。

本作の最大の功労者は田中康治だと思います。事実、田中が作曲を手掛けた楽曲は粒揃い。じゃあ木下御大の曲はは粒揃いじゃないのかよ!?というツッコミは無しでヨロシク(苦笑)…。田中が木下御大に負けないほどの執拗な執念を持ってリフ・メイキングをしてるんじゃないのか、というのは前作の時点で伝わってきましたが、本作のある意味“聴き易い”メロディの充実は、②Messiah Complex,④Counterpart,⑩Endsville,⑫Hate Crimeという彼が作曲した4曲に現われていると思います。この“聴き易さ”のお陰で私にとっては下山サーベルでの最高傑作なんじゃないかと考えてしまうくらいです。彼らの特徴である(と考える)「歌メロと演奏との乖離」が程よい乖離具合というか…。何言ってんすかね?まぁ、バランスの良さに長けているアルバムだと思いますよ(二度目の言及/汗)。オススメです。

木下御大の曲では、小気味良いソリッドなリフと、サビに入ると共にいきなりフルスロットルになる加速が聴き処の⑤The Activist's Creedが素晴らしいですね。自身の喉の限界に挑んでいるような下山のパフォーマンスも鬼気迫る。
また、これぞ木下!というメカニカルなリフが冴え渡る⑨Casualtiesもお気に入り。曲タイトルはおそらく軍事用語で、「負傷者」「犠牲者」「損害」を表すものだと思いますが、凝ったリフと短いセンテンスを矢継ぎ早に吐き出す歌唱が醸し出すキビキビとした印象が正に軍隊チック。

ミックスは前作に続きTommy Newtonが手掛けていますが、Tommyによる塊でまとまった音より、クリアで冷徹なAndy Sneapのミックスで次作は聴いてみたいなぁ。ギャラ高そうだけど(苦笑)

【お気に入り】
⑩Endsville 途中加速するサビ!ギターのハモり!ダントツこれが好き!
②Messiah Complex これぞサーベルな攻撃性とメロディ!
⑨Casualties
⑤The Activist's Creed


2012/10/26追記:
前作「Decisive」にバラードが無かったなどとすっとぼけたことをぬかしている管理人ですが、大変失礼いたしました。Reminiscenceというバラードがありましたね。勘違い、申し訳ないです。


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COMMENT 2

B!13  2012, 10. 26 [Fri] 17:24

僕も最近Wikiで現在32期(笑)だと知りました。同じラインナップで3枚オリジナルアルバム出したことないんですね・・・(苦笑)

前作のジャケはバンド名や作風にマッチしてたのでイイと思いましたが、その前の2,3作は「雪の上でリスカ」「ファッキュー」と、閉口してしまうデザインですよね(笑)今作も意味ありげですが、どういう意味なのか解りません(笑)

バラードは前作にもあった(同じ曲名で)と思いますが、今作のVoソロからつながるバラードもイイですね。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2012, 10. 26 [Fri] 21:59

B!13さん、

メンバーが安定しないバンドなんですねぇ。まるでイングヴ(ry

ジャケはいっその事、メンバーの写真でもいいんじゃないかと思うんですよね、ここまでよく分からんモチーフだと。HPとかのモノトーンの写真はなかなか硬派でバンドのイメージに合致してるように思うんですが…。

バラード!ご指摘ありがとうございます!ありましたね、前作に、Reminiscence!すっっっっかり失念しておりました(笑)印象に残ってなかったんですなぁ(失礼)

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