LIV MOON「THE END OF THE BEGINNING」


LIV MOON「THE END OF THE BEGINNING」 (2012)

攻めのLIV MOON、なんと今年2枚目のオリジナル・アルバム。4枚目。ライブDVDもリリースしてるし、よく働きますね。

タイトルが「~MOON」でなくなっているところからも“新章”を感じさせるニュー・アルバムですが、今回のテーマは北欧神話ということです。メタル的にはややありがちではあるものの、北欧はAKANE LIV嬢(Vo)のルーツでもありますし、前作における白Liv黒Livコンセプトのやや中途半端な掘り下げとは違い、期待できそう。むしろ北欧神話大好物の管理人にとっては期待するなってのは無理な注文で、勝手にハードル上がりまくリングです。

北欧神話の最大の特徴にラグナロク(神々の黄昏)と呼ばれる、神々と巨人族との最終戦争(もしくは、「その日」)の存在が挙げられます。この戦争によって神々は世界と共に滅亡する運命にありますが、この終末論的設定があるおかげか、非常に勇猛で「さぁ戦いだぜ!」的雰囲気を持っている神話だと思います。また神々自らがその(滅亡する)運命を知っていることにより、「神々=万能」が成り立たず、問答したり努力したり右往左往したりと、非常に人間くさい立ち振る舞いをするようにも感じます。「滅亡するその日までは陽気にやろうぜ」みたいな開き直ったような感じも。しかし、滅びるのが分かっていてそれでも巨人族との戦いの準備をする神々、「負けると知っててタチムカウ」姿は正に“メタル”って感じですね(笑)

さて、アートワークにルーン文字も散りばめられているような北欧神話丸出しな本作ですが、勇猛果敢にバトるような場面はありません。最高神オーディンがフェンリルに飲み込まれてアーッ!トールが振るうミョルニルがヨルムンガンドを打ち砕きドカーン!ヘイムダルとロキは相打ちになってドギャーンッ!スルトの炎によって燃え上がった9つの世界は海中に沈んでゴゴゴゴ…みたいな曲はありません。本作はコンセプト・アルバムではあれ、ストーリー・アルバムではないので、神話を時系列に語るということはしていません(ゆるやかな流れを感じさせはする)。むしろ、シーンを切り取ったり神話の各エピソードから想起されるイメージを普遍的なテーマに落とし込むという手法で、北欧神話という世界観を描写すること、これに重きを置いているように感じられます。上記の特徴の、戦いのところを削ったような感じでしょうか。
楽器隊も技巧を誇示することなく、ある意味「抑えた」プレイでその世界に馴染んでいます。弾き過ぎないけれどツボを得た大村孝佳(Gt)のプレイが今回非常に良いですね。楽曲は「これぞメタル!」というハード・チューンはありませんし、クッサクサの激メロ(笑)があるわけではないので、一聴地味に感じるかもしれません。しかし楽曲にしろ演奏にしろ歌唱法(ソプラノ多用せず)にしろ、突出した要素や極端さが無いおかげで世界観の統一が実現し、逆に優れた作品に昇華されていると思います。収録曲は多めですが繰り返し聴くのが苦じゃないばかりか、非常に楽しいですからね。

前作「SYMPHONIC MOON」の感想で私は、次作は「KAZSINさんとNaoki Okaさん中心でよろしく」と書いてますが、それがほぼ実現、実際二人が作った曲の出来は素晴らしいです。他の作曲陣は西脇辰弥氏(Key)のほか、Kee Marcello(Gt/ex:EUROPE)、Kiko Loureiro(Gt/ANGRA)、Magnus Rosen(Ba/ex:HAMMERFALL)等の著名ミュージシャンにまで及んでますが、曲調・ムードのヘタな拡散化は見られずビシッと芯が通った作風になっているのは優れたアレンジの賜物でしょうか。※ゲスト陣はそれぞれ演奏でも貢献。

さて、ここまで「世界観」とか言っておいてなんですけど、北欧神話を殊更意識しないで聴いても特に問題ありません(笑)。でも知っていると歌詞を読んで「あぁこのシーンの事を歌っているのか」と分かったりして面白いです。ほんの一部を箇条書きにするとこんな感じ。
②Free your Soul ~ 北欧神話の世界観について
③Fountain of my Pleasure ~ オーディンがミーミルの泉の水を飲み、知恵を得ることの引き換えに片目を失う
⑩霧の葬送曲 ~ ラグナロクの始まり。月と太陽はフェンリルの子に飲み込まれる。霧の国=巨人の住むニヴルヘイム。
⑫Immortals ~ ヴァルキューレによってヴァルハラに集められた勇者の魂=エインヘリャル
等々…。

実質的な1曲目の②Free your Soulと最後の曲の⑭Voyageの歌詞のみ、視点が物語の当事者ではなく完全に語り部というか「神の視点」(神話の神々のことではない)で描写されています。このことにより、神話を語り始めて~語り終わるという構造が意識され、円環を為す構成も効いてくるように思います。
1曲毎に触れるとキリないので止めますが、歌モノもインストも総じて良曲。こういう作風ならば1年に2枚出すっていうのも十分納得。

いや~実に素晴らしいバンドというかユニットになってますよLIV MOON。LOUD PARKでのデビューから見てますがここまでの存在になるとはまるで予想せず。

【お気に入り】
選ぶのが非常に難しいですが、
⑭Voyage
⑧Midsummer Eve
③Fountain of my Pleasure
あたりは特に気に入ってます。

④And Forever MoreのPVは → コチラ。
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