COMUS「FIRST UTTERANCE」


COMUS「FIRST UTTERANCE」 (1971)

これはアシッド・フォークと言えばいいんでしょうか、英国産猟奇的&呪術的変態アコースティック・バンド、COMUSの1stアルバム。その筋の好き者の皆さんには有名な変態アルバムですね。まずジャケットがヤバい。こんな絵が描ける人はきっと筋金入りのド変態なんでしょう。はい、このバンドのメンバーの人です。Roger Woottonさん(Gt&Vo)。しかもリーダーです。このリーダーにして、このバンド、このサウンドですよ。ちなみに中ジャケにも奇妙な水彩画(?)があって、これもメンバーのGlen Goring(Gt&その他)によるものつーんだから手に負えない(笑)
バンドは6人編成で、アコースティック・ギターやベース、hand drums(ボンゴとかコンガのこと?)のほか、ヴァイオリン、フルート、オーボエ等の楽器が使用されています。単体でヘヴィな音像の楽器はありませんが、アンサンブルは何故かヘヴィ。そしてそこに乗るヴォーカルも一筋縄ではいかない変態さ。気だるげ~に歌っていたと思いきやいきなり力んでシャウトし始めたりと、まったく油断がならない。その変態演奏と変態ヴォーカルが合わさって独りよがりな代物に陥っていないのは特筆すべきで、狂気を撒き散らせながら異様なテンションで展開するこの異界の音楽は、実際かなり魅力的。こんな風に褒めている私も既に立派な変態なのでしょう。

①Dianaからさっそく気持ち悪い歌唱が炸裂します。呪術的な詠唱や唸り声を経て女性コーラスが絡んでくる。でも怪しさは薄まるどころか右上がりに。不安感を掻き立てるヴァイオリンやフルートも効果的です。パーカッシブなパートを経て曲は怪しいながらも情熱的に盛り上がる。彼らの何たるかを知る好(?)オープニング・チューン。②The Heraldは気だるく幽玄なフォークかと思いきや、曲展開がヘンです(笑)。延々とダラダラ…12分も悪夢のように続く。
③Drip Dripが初めのハイライト。徐々に盛り上がっていくテクニカルかつパーカッシブな演奏が素晴らしい。単純にノレるかっこよさがあります。7:00くらいからガラッと雰囲気が変わり狂気のスキャット合戦になり、Voが再び怒涛の演奏と合流、クライマックスを迎えます。凄ぇ曲だ…。サビ(?)の「drip!drip!」の気合い入れ掛け声系コーラスがツボ。
ギリシア神話の酒宴・歓楽の神、その名もずばりComusについて歌った怪しさ満点の④Song To Comusに続き、アップテンポの⑤The Biteへ。疾走感すら感じさせるアコギとフルートがかっこいい。「ララララ~」の多重コーラスがヴァイオリンと共に段々と不穏な空気を生み出していく様は非常に彼ららしいと思えるパートです。⑥Bittenは軋んだヴァイオリンが終末観すら感じさせるインスト。
ラスト曲⑦The Prisonerがヤヴァイのなんの。牧歌的な導入部に騙されてはいけません。Woottonさんが女性Voと掛け合いをしつつ自己発火(笑)、「ヤッ!」の叫びと共に跳ねまくるパーカッションの上をヴァイオリンが乱舞、そして意味不明&聴き取り不能な声を上げまくるヴォーカル!もうこれはスキャットとかいう領域ではない。もはや呪文の詠唱。妖気立ち込める異様な空間が誕生し、叫びまくる!かと思いきや唐突に曲は終了し、寂寞感漂うラスト。最高だ…。

【お気に入り】
⑦The Prisoner
③Drip Drip

そんな変態バンド、今年の2月に初来日公演をやっちまったというんだから恐ろしい!何が恐ろしいってCOMUSを来日させるほどの熱意を持った呼び屋が存在する事、ライブが成り立つほどの人数の変態(失礼)が日本に存在してワラワラと集まってくるという事実が恐ろしい。かくいう私は、来日情報を察知するのがあまりにも遅く、その変態一味に成りそびれました(涙)
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COMMENT 2

フレ  2012, 08. 30 [Thu] 21:17

お?ファースト♪

これほど言葉と文章で表しにくいバンドもない気がする。
しかも来日公演なんて全く狂気の沙汰で、あり得ないのに実現。
でもね、やっぱこの時代の狂気が一番です。
いつまでも光り輝いたこの世界は唯一無二の音で出会えてよかった一枚です♪

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ヒゲ・スカイウォーカー  2012, 08. 31 [Fri] 22:09

フレさん、

まずはファーストからかな、と。
確かにこのフォークなんだけどロックでチェンバーっていう音楽は文章にしづらいですね。孤高です。

初めてフレさんの「FIRST UTTERANCE」の記事を読んだときは、同好の士がいて(とか書くと偉そうですね。すみません)、非常に嬉しかったのを覚えています。

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