今村昌弘『屍人荘の殺人』

今村昌弘_屍人荘の殺人
今村昌弘『屍人荘の殺人』 (創元推理文庫)

今村昌弘のデビュー作、『屍人荘の殺人』を読みました。
鮎川哲也賞を受賞、2017~2018年の各ミステリ賞を総なめにした本作は、昨年末に映画化もされましたね。

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と明智恭介は、曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子とペンション紫湛荘を訪れる。しかし想像だにしなかった事態に見舞われ、一同は籠城を余儀なくされた。緊張と混乱の夜が明け、部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。 それは連続殺人の幕開けだった! 奇想と謎解きの驚異の融合。 衝撃のデビュー作!

「比留子さん、意外とグラマラスだ。」


何を書いても「ネタバレ」になってそうな気がするので、これから読もうと考えている方はマジでトンズラこいてください。
 ↓



大学生。
夏合宿。
館。
見取り図。
クローズドサークル。
連続殺人。
しかも惨殺。
過去の事件。
美少女。
これ以上ないってほど、伝統的な本格モノのフォーマットに則った作品。

…と思いきや、トンデモ展開になる。
これ、ふつーの本格モノじゃなかったんだ!?と驚かせてくれる。
面白い。

何が面白いって、サスペンス色が増す展開のなか、それでいて謎解き部分が疎かになっていないどころか、あとがきでも触れられているように、このトンデモ展開・ぶっ飛び設定が、「謎」としっかり噛み合って機能していること。お互いの存在を高めていること。作者の独りよがりなジコマンになっていないこと。
結果、単なる本格ミステリ(と敢えて言いますが)にプラスアルファの読み応えを提供しているのが凄えんですわね。この設定ゆえに、この謎/トリックの深み。説得力がチガウのだ。

今まで推理小説の類を読んだことのない人が、入門書として読むのもいいかもしれません。
「本格ミステリとはこういうものである」というのが押し付けがましくなく、スッと理解できるように説明されているから。登場人物の口を使って。
例えばフーダニット、ハウダニット、ホワイダニット。謎解きミステリにはつきものので、本作の文中にも盛んに登場する言葉ですけど、それらについてもわかりやすく触れられています。ま、本作のポイントとなる部分ですしね。


で、読んでいて再確認したんですけどね、もはや自分はフーダニットやハウダニットにはほとんど面白さを見出すことのできない読み手なんだな、と。
昔読んだ作品は「あのときの衝撃」みたいなものが残ってるから、再読してもフーダニットやハウダニット部分を面白がることができるような気がするんですけどね。これから新たに読む作品はどうもダメだ。「いったい誰がkillしたの!?」とか「不可能に見える状況下、どうやってやったの!?」ってのをドキドキしながら読めない。「そんなトリックどうでもよくね?」という元も子もない感想が思い浮かんできちゃうから(笑)

でもホワイダニットにだけは未だに惹かれますね。物語の根幹に関わってくることが多いし、登場人物の「ひととなり」に直結するから。まぁそこらへんをちゃんと描いてくれる作者ならば、ってことですけど。
本作もその点が面白かった。


次作『魔眼の匣の殺人』が楽しみです。
ここではボンヤリとしか描かれなかった“大きな敵”の存在、それと“2人の関係性”が今後への期待を繋げている。

あと確実に言えることは、浜辺美波は尊い。


スポンサーサイト



COMMENT 0