近藤史恵『スティグマータ』

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近藤史恵_スティグマータ
近藤史恵『スティグマータ』 (新潮文庫)

近藤史恵の自転車ロードレース小説、『スティグマータ』を読みました。
登場人物の異なる前作『キアズマ』を番外編とするのならば、本作がシリーズ4作目になるんでしょうか。
シリーズ2作目、『エデン』の感想は → コチラ。
3作目『サヴァイヴ』の感想は → コチラ。
番外編『キアズマ』の感想は → コチラ。

あの男が戻ってきた。三度の優勝を誇ったもののドーピングで全てを失った、ドミトリー・メネンコが。ざわめきの中、ツール・ド・フランスが開幕。墜ちた英雄を含む集団が動き始める。メネンコの真意。選手を狙う影。密約。暗雲を切り裂くように白石誓は力を込めペダルを踏む。彼は若きエースを勝利に導くことができるのか。ゴールまで一気に駆け抜ける興奮と感動の長篇エンタテインメント。

あああああああ、やっぱり面白いよぉぉぉおおおお!!!


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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自転車ロードレースという新鮮な題材、そこにミステリの要素を違和感なく溶け込ませた傑作中の傑作が、本シリーズの1作目『サクリファイス』でした。本作もまたミステリ風味を盛り込んだ作品になっています。
ドーピングにより追放された元王者=メネンコ。ツール・ド・フランスに戻ってきた彼の真意はいったい何なのか?

結果からいうと、謎の解決に対する納得感はそれほど高くありませんでした。
でもそんなことはどうでもいいのだ。主役級から脇役まで、登場人物たちにそれぞれの魅力があって、彼らが物語の中で生き生きと動き回っている。それが何よりも面白い。おまけに、本シリーズの最大の読みどころと言ってよい、レースの描写は今回もグイグイと引き込まれますし。
このレース・シーン、毎回マンネリを感じさせないのがすげえのよね。脳内に確固たるイメージが浮かび上がるもんなぁ…。

1作目からは7年ほどの月日が流れ、語り手である白石誓の環境は当初とは大きく変わっています。特に今回、30歳という節目の年齢を迎えたこともあり、体力面で不安をのぞかせる場面がチラホラあります。今後の彼の去就と物語の行方が気になりますね。


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