I.D.And Fly LooM 単独公演 『 不条理なパレード 』 @ EX THEATER ROPPONGI (2019/12/2)

I.D.And Fly LooM 単独公演 『 不条理なパレード 』 EX THEATER ROPPONGI (2019/12/2)

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不条理とは
筋道が通らないこと。
人の力ではどうしようもない、絶望的状況。
なぜと言われても答えが出ない、運命のいたずらであるとしか説明ができないこと。
ただ、人は、不条理と共存し、不条理を受け入れながら生きている。
しかしながら人は、時に不条理を嘆き、正そうとする。
でも、私達はその不条理という不完全なものに美しさを見出し、ここに昇華する。



2019年12月2日、EX THEATER ROPPONGI。
I.D.And Fly LooMの単独公演『不条理なパレード』に行ってきました。

1stワンマン『ガラクタの住むお城』、2月6日。
“ENTERTAINMENT SHOW”『曲解の奇術師』、7月25日。
1周年記念無銭ワンマン『カーメルタザイト』、9月30日。
そして今回の『不条理なパレード』、12月2日。今年4回目の単独公演です。

全席指定モードにしたEX THEATER ROPPONGIのキャパは920人。2階に相当するB1スタンドは関係者席になっていたので、実質的には670席くらいでしょうか。そのうち、ステージに近い最前中央から6列がプレミアム・シートになっています。その数、108席。
108
108といえば除夜の鐘を叩く数であり、仏教でいうところの煩悩の数ですね。プレミアム・シートは言ってみれば「煩悩席」。プレミアム・チケットを買いし猛者ヲタさんはさしずめ、「チーム煩悩」
管理人は決して猛者ではないですし、むしろビギナーなわけですけど、なぜか煩悩席にいるというね。かなり下手寄りの2列目でした。

煩悩席以外は自由席になっています。「席はあるけど、場所は入場順に好きなとこ選んでいいよ」という方式。前方のプレミアム・シートを除いて、残りを全て自由席にすることにより、前から詰めて座んなきゃいけないというルールから解放されます。すると、「空き席はあちらこちらにあるけど、全体としては満遍なく埋まってる」という状況が生まれます。お客さん側は自分の好きな場所でストレス無く観れるし、ステージからフロアを見たときの見栄えもそこそこ良い。うまいこと考えるもんですね。後方の客席だけ眺めると、まるで映画館のようです。

入場する際、本公演のパンフレットを渡されました。メンバー1名のサインが入っており、ヲイラが貰ったのはchihiroでした。ランダムで渡されるため、所謂“推し”が決まってる人は、あとで仲間同士で交換とかしたんですかね。
というか、サインくらいでオタオタしている場合じゃない。パンフをめくると、公演名と同じ不条理なパレードという曲の歌詞が載っているじゃあないの。作詞・作曲:西山雄作。

目にした瞬間、ゾワッと鳥肌が立つ感覚を覚えました。
『曲解の奇術師』からの連続性をどことなく感じさせる公演名からして、コンセプト色の強い単独公演になるだろうと予想してはいたものの、これで確実に。
ダイヤモンドルフィーのコンセプト・ワンマン、『ピエロのアトリエ』で披露されたピエロのアトリエ。『白い黒』で披露された白い黒。そしてこの日、『不条理なパレード』で初披露されるであろう不条理なパレード。コアとなる精神性が継承されている。形を変えながら。
こりゃあ大変だ。コンセプトの一端に少しでも触れようと、開演までの時間で何度も歌詞を読みました。





natsukiの声による場内放送が幾度か流れるうちに、ぞくぞくとファンが集まってきます。アイフラのファン、ブルフォレのファン、アイフラがよく対バンしているグループのファン、ひょんなことで単独公演のチケットを手に入れてしまった人たち。関係者席には、普段ステージ側に立っているアイドルさんたちがぞくぞくと。

19:30。
さぁ開幕だ。
パレード始めようか。


幕が開くと、今回も2,000円のチケ代とは良い意味で見合わない、巨大なステージセットが迎えてくれました。
廃工場を想起させるダクトが天井近くを幾本も横切り、コンテナや赤色灯が退廃感を演出する。そして最大のインパクトは、ステージと客席を隔てるフェンス(金網)の存在…。右から左、端から端へとステージ最前面を横切るフェンスには、そこが危険区域であることを示す黄色のCAUTIONテープが縦横無尽に張り巡らされています。
これ、アイドル・ライブのステージセットですか?

フェンスの内側に捕われたメンバーという構図。ダイヤモンドルフィー時代からの歌詞のモチーフのひとつに、「檻」というのがあることを思いだすファンも多いことでしょう。

「檻」といえば…、
ステージ上手側の奥に牢獄風のセットが据えられているのが見えます。洗面所とベッドと思しきセットのある独房。
そこに普通ではあり得ない物体を発見して、我々(?)は驚愕することになるのです。

便器。

もういちど言う。
便器。
洋式。

【便器】
大小便をする器。おまる。おかわ。


そりゃあ独房だから便器が据え付けられているのはおかしくない。でもそこは独房でもあり、同時にステージの上でもありますからね。すると、途端におかしなことになる。

ステージの上に便器を持ち込むアイドルをキミは知っているか?
私は知らない。
そもそもアイドルに限らず、ステージセットに便器を組み込むアーティストを管理人は寡聞にして知らない。もしいたら教えてほしい。ルール無用の便器デスマッチ・ツーマンを開催すべき事案だろう。


アンリストカットからスタート。衣装は最新の、「避暑地のお嬢様はメタル・ゴッド」なトリコロール・ハルフォードです。
照明は暗め。フェンス越しにしか舞台の様子を把握できない我々。届きそうで届かない。
そんな、物理的および心理的な距離感が、切なさを増幅させるのです。answer of killfake poker ~生き様に賭ける道楽~といった激烈シリアス調の曲だと、その哀感がマシマシでえらいことになっちょります。アンサーでフェンスを掴みながら訴えかけるように歌唱するnatsukiに女優魂を見ました。ついでに便座に腰かけて歌ってほしかったとも思うが。←

ステージと客席を隔てるフェンス。
これを見て管理人が何をイメージしたかというと、イギリスのプログレッシヴロック・バンド、PINK FLOYDの2枚組アルバム「THE WALL」に伴うツアーである、『The Wall Live』です。写真でしか見たことないですけど、演奏中に壁の構築が始まり、だんだんとバンドの姿が壁の向こう側に隠れてゆき、しまいには視界が完全に壁に覆われてしまう。

フロイドの「壁」は社会からの抑圧や疎外感を象徴したモチーフであり、その壁を積み上げていくことで閉塞感が高まってゆく様子を表現していると言えます(最後は壁が崩壊し、主人公が解放されたように思えるエンディングですが、アルバム自体がループ構造になっていることもあって、一概にハッピーエンドとも言えないのよね)。
アイフラのフェンスはたぶん、本公演のテーマである「不条理」や「上手くいかないこと」、先に挙げた「檻」を表しているものなんでしょう。勝手な想像ですけど。
それがどういった演出に使われるかというと、ひとことで言うと「解放」。

fake pokerが終わった時点で、フェンスが天井と左右のステージ袖に回収され、取っ払われます。解放。
さらに4曲が終わった時点で、なんとステージセットが変わります。ダクト類と独房が片付けられ(サヨナラ便器)、その後ろに隠されていた廃墟風セットが露わに。都合4箇所の「壊れかけた城壁」セットが櫓の役割を果たし、普段のライブとは異なる立体的なフォーメーションが可能になります。
スタッフの手によって姿を変えゆくステージに対し、メンバーの衣装はずっとトリコロールのまんま。潔い。『不条理なパレード』でのアイフラは、衣装じゃなくてセットをチェンジするのだ。


あとで振り返ってみると、4曲ずつがひとかたまりのセクションになっていたことに気づきます。そのセクションをnatsukiによるナレーションが繋ぐ構成。
この構成は1stワンマン『ガラクタの住むお城』を思い起こさせます。同時に、映像をいっさい使わなかった演出は、キネマ倶楽部での『曲解の奇術師』に近い感触もあります。手作りの感覚。本編後半のステージセットが、ガチガチに作り込まれたものではなくハリボテ風だったのも、掛かる費用の問題というよりは演出の方向性がそうさせたものと捉えられそう。…っていうか、ヲイラがそう捉えたいだけなんですけど(笑)

文芸性を強く感じた『ガラクタの住むお城』。
アイフラのステージが舞台であることを示した『曲解の奇術師』。
過去を否定せず、繋がってる感覚や一貫したイメージを保ちつつ、同時に新鮮さを感じさせるという離れ業が成し遂げられています。ブレてない。これってすげーことだと思うんです。


変化するステージセット。ダクトからモクモク湧き出るスモークや回転する赤色灯。ハイライトとなる曲で放たれる、LEDレーザー/銀テープ/特効。色々な趣向が盛り込まれていました。
でもそれら演出はあくまで、筋肉質なライブ・パフォーマンスを際立たせるように機能しているんですよね。先に触れたように、衣装チェンジがなかったことも、ライブを中心に据えたワンマンであるとの印象を強めていました。

メンバーみんなが輝いてた単独公演だったな、と思い返しています。
全員が必要なピースであり、このメンバーでこそのアイフラという感覚。
核となる人物が1人、もしくは数人いるグループではなく、個性がバラバラの6人が横並びになっている。そんな光景の似合うグループ。
ここにきてそういう存在になった、と言うべきか。

natsuki
アイフラをアイフラたらしめている、アイフラのステージを舞台たらしめている存在。指先まで意識が行き届いた所作、表情の豊かさでは他の追随を許さない。
王道アイドル像を体現する人ではない。でも、他のメンバーの成長により、自由に暴れられるnatsukiという武器を手にしたアイフラは強いぜ。

michelle
エクステを付けてロングヘアーになり、ダイナミックさがえらいこっちゃになってた。nastukiとはまた違ったステージの要。圧倒的な頼もしさ。冷静さと熱さを兼ね備えた貴女の気持ちとパフォーマンスがアイフラを支えてる。

asuna
フロアのファンひとりひとりに向かって、訴えかけるように慈愛の瞳を向ける彼女。かと思ったら、猫の高笑いや天寵のファイヤー&サンダーみたいなトリッキーな役割もこなす。この日のポーカーの台詞に込められた気持ちの濃さには驚かされました。

chihiro
周りをパッと明るくさせる柔らかい雰囲気と、澄んだトーンのVo。シリアスな世界観のアイフラにあって、その小悪魔的個性がフックになる。役割は大きい。

hinako
1stワンマンの頃と比べると、化けたね。美しくなった。メイクが上手くなったとかそういうことじゃなくて、表現者としての成長を経て、より魅力的な存在になった。弛みなき努力の賜物でしょう。
曲の世界観にピタリと合わせてくる歌唱、ステージでの佇まい。信頼してる。

mei
ロックねーさん的な色気とふてぶてしさ。他のメンバーには出せない味だ。すらっとした長身は、ステージを颯爽と動き回るのが似合う。
あ、猫のときの脚の蹴り上げ、めっちゃ可愛いよ。



みんなが等しく輝き、それぞれの個性が際立つ舞台になったのは、メンバーの成長やチームワ-クの向上だけでなく、この日の音響の効果も大きかったと断言できます。
めちゃくちゃヘヴィで強烈、そしてクリア。今まであちらこちらの会場で聴いてきた同期音源の演奏には実はヴェールがかかっていて、今回それが初めて取り払われたんじゃねーのかってくらい、ピントが合った感覚。西山ミュージックは多彩なDrアレンジが特徴だったりしますけど、リズム・チェンジや速射砲のようなDrがくっきりと響きます。
限りなくヘヴィ とてつもなくメタル
かといって演奏だけ重視してるんじゃなくて、同時にVoをとても大事にした音像になってます。メンバー個々の声のキャラがはっきり伝わってくるんですよ。演奏と歌唱のバランスも超良好。音響担当さんグッジョブ過ぎる…ッ!
前方の端っこ寄りの場所でこの音の良さだから、後方の客席ではそりゃあ素晴らしい聞こえ方だったではないかなぁ。

実は公演中、「後ろの席で観たい」と思ったのよね。音響面だけでなく演出面も含めて、煩悩席からじゃなくて後ろから全体像を把握したかったと、途中何度も感じたの。自由席システムなので空いてる席に移れるっちゃあ移れるんですけど、まぁそれも憚られまして。
あきちかで行われる定期公演や【ナウいアイドル】シリ-ズでは、いつもそこそこ近い位置でメンバーを観ているから、こういう時は別の楽しみ方もアリか…と感じました。

ライブを楽しむアプローチの方法として、管理人はステージを食い入るように見つめる凝視派(?)であり、ステージで起こることを余さず受けとりたいという考えですが、それはまぁ少数派なのかもしれません。でも、アイドル現場・ブルフォレ現場は多様性を受け入れる土壌があるから、こんなワタクシでも煩悩席でヌボーと観ていられるわけです。
ステージだけじゃなくて客席の様子も目に入ってくる状況で感じたのは、どんな環境下でも楽しむために創意工夫するヲタさんすげえな、ということ。椅子席という、盛り上がるには“障害”となりそうな環境であっても、(ルールは守りつつ)それぞれの座席位置によって役割分担してフォーメーションを組み、盛り上げる。盛り上がる。「チーム煩悩」のチームワーク、やたら高いですよ(笑)

ライブ映えでいうとトロイの木馬錯覚の喜雨、この2曲が双璧だったかな、と。メロディの強さ。巧みに織り込まれた、盛り上がるための仕掛け。振り付けのインパクト。フックしかねぇよ。なんたるかっこよさか。


公演全体のイメージは暗く、ビリビリとした緊張感に包まれたものでした。これまでの単独公演と同様に、メンバーからの煽りはあるけどMCはナシ。
メンバーの気持ち的に余裕があるライブではなかったと思います。シリアス調の演出ゆえにプラスに働いている場面が多かったものの、表情や所作、歌唱が固いな…と感じたところはありましたし。メンバーの緊張がそのままライブの空気感に直結しているようなところもあった。

その空気を一変させたのが本編エンディングでした。
やはりこの位置か…ッ!?というタイミングで放たれた、新曲不条理なパレード
ポエトリー・リ-ディングとプログレメタルが交錯し、最後に壮大なバラードへと変化を遂げる。大作っぽい作りだけど6分弱にまとめられた、異形の名曲。
ドルフィー『白い黒』@中野サンプラザを観たファンの皆さんは、クライマックスでこれまで観てきた世界が一変する様子を目の当たりにしたと思うんですけど、それと似た感覚を体験してるんじゃないかと思ったのがココ。なんたる鮮やかさか。雷に打たれたようだ。打たれたことないけど。
マーブル模様の照明に照らされる中、泣きまくるエンド・ギター・ソロでヲレは逝ったンだ…。

不条理渦巻く世界をくぐり抜け、最後に辿り着いたのは人生讃歌でした。1ヶ月前に観たulma sound junctionのワンマンの感想と同じですけど、人生讃歌。これまでの空気を一気に塗り変える、圧倒的肯定感。解放感。

下らなくて思い通りでなくていい
しょうもないことでも夢中になって生きて
笑って死ぬためこれでいい


この曲が数十年後、メンバーの心にどのように響くんでしょうね。


目標をもつ者は強い。
そこに至る過程を楽しめる者はもっと強い。仮に掲げた目標に及ばなくても、失うものは何もないからね。
不条理を楽しめる者は強い。
全てを受け入れ吹き荒れ、もっと楽しませてくれ。


最後の最後、Wアンコールでのライフアクセルのメッセージは明快です。

どんな晴れた日も
激しい雨が僕にだけ降りかかる
そんな風に思えてくる


そんな「不条理」を、
衝動というキーでエンジン回して

晴れた日より速く見えるからラッキーだ
そう思えてきた


めいっぱい楽しむ。


アクセルを踏めば踏むほどに見える世界は変わるんだ
事故ることを恐れなくていい 踏み込め未来にAll right


【昇華】
情念などがより純粋な、より高度な状態に高められること。


不条理を前進するエネルギーへと昇華させたライフアクセルであり、エンディングでした。そのメッセージに涙が止まらんよ。
普段一緒に振りをやる人間ではないけれど、この曲で「みーぎ、ひだり♪」をやってるときは心の底から幸せでした。

力強く、
前へ。


entertainment girls unit、I.D.And Fly LooM
前に向かって進んでりゃ、いつのまにか高いところに辿り着いてることに気づくよ。


<セットリスト>
01.アンリストカット
02マイスクリーム
03.answer of kill
04.fake poker ~生き様に賭ける道楽~

05.アイロニーディストピア
06.SNAKE GIRL ~勇敢愛心~
07.シュレーディンガーの猫のように
08.舌冒の風

***** セットチェンジ *****
09.Angelic Devil [remake]
10.I.D.Fly
11.天寵の聖歌
12.トロイの木馬

13.オズワルドマイム
14.路地裏アンティーク劇場
15.カルーセルシンドローム
16.錯覚の喜雨

17.不条理なパレード (新曲)

ENCORE1
18.I.D.Fly

ENCORE2
19.ライフアクセル


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