内藤了『ゴールデン・ブラッド』

内藤了_ゴールデンブラッド
内藤了『ゴールデン・ブラッド』 (幻冬舎文庫)

内藤了の医療ミステリ、『ゴールデン・ブラッド』を読みました。
初めて読む作家であるような気が…する。本書はノンシリーズですが、テレビドラマ化された『猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』シリーズで知られている人のようで。

東京五輪プレマラソンで、自爆テロが発生。現場では新開発の人工血液が輸血に使われ、消防士の向井圭吾も多くの人命を救った。しかし同日、人工血液が開発された病院で圭吾の妹が急死する。医師らの説明に納得いかず死の真相を追い始めた矢先、輸血された患者たちも圭吾の前で次々と変死していく――。胸に迫る、慟哭必至の医療ミステリ。

こりゃあ面白い。
重いテーマをサクサク読ませる手腕が◎。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓




物語の背景を理解するのに必要な知識がスゥ…と入ってくるのは、文章が読みやすいからというよりは、調べた知識をストーリーの中に落とし込む方法がスマートだからでしょうね。ヘンに説明的になっていないのは、本書の場合、それぞれの分野の専門家が会話の中で知識を開陳しているおかげ。
血液製剤や新薬開発に関わる世界の事情、血縁を巡るミステリ、下町の生活風景と恋愛模様。それほど長くない尺に色々盛り込んでいる割には破綻なく、すっきりした読後感を覚えさせます。上手い。

「こいつ…、初めに思っていたような人じゃないな…?」っていう場面がしばしばあります。手垢に塗れた手法であるとも言えますが。これは作者ならではミスリードなのか、さほど洞察力に優れているとは言えない主人公、向井圭吾の一人称視点が先入観を植え付けるからか?
この「実は○○な人なんじゃね?」作戦が効果を上げている人物もいれば(例:刑事の東海林)、逆に人物像が曖昧になってしまうパターンもあって(例:エターナル製薬の白鳥)、諸刃の剣だなぁ…という気が。特に後半、真相が次々と明らかになる過程でコロコロと印象が変わるので、丁寧さに欠けるように感じられて勿体無いな、と。

あとですね、血液を扱っている話だからか、登場人物がやたらとABO型で性格判断するような会話が頻出し、イライラさせられるのが玉に瑕。
O型が大雑把だとォ!?
ウルセー!!


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