朱川湊人『無限のビィ』

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朱川湊人『無限のビィ』 (徳間文庫、上・下)

朱川湊人の『無限のビィ』を読みました。
初めて読む作家ですけど、藤田新策氏の装画とこの説明文でハズレはなかろうと思いましてね。
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時は昭和46年、東京は下町の三崎塚。十年前の列車事故大惨事で知られる街に住む信悟少年。知的障害を持つ弟将悟を慈しみ守りながら、近所の子供たちと元気に遊んでいた。けれど、学校に美人の水島先生が赴任してきたとたんなにかが変わった。夜中に烏が人を襲い、人殺しが二件。魂の抜けたような女の子も保護された。街が徐々に暗い影に覆われ始めた。美人先生の正体は? 街の運命は?

発端は十年前の大事故にあった。看護婦だった信悟の母の不思議な体験。こと切れたはずの少年が生き返って叫んだ言葉「われはえいごうなり!」。そのとき胎内にいた信悟に宿った不思議な力。それに目をつけて執拗に迫ってくる水島先生。そして逐に正体を現した「無限のビィ」。次々と人や動物に乗り移っては街を大混乱に陥れるビィの真の狙いは? 涙と勇気の果てに訪れる驚愕と哀切の結末!


こりゃあスティーヴン・キング・オマージュ作品だね。
なのでキング信者としては楽しめました。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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三崎塚の歴史や描き方は、キングが生み出した架空の街、デリーやキャッスルロックを思わせるところがあるし、不思議な力を備えた少年少女がキーマンとなるところもしかり。子供たちに対して理解のある大人が、端からは変人に見える点もそうだし、「無限のビィ」の正体やその能力もキングっぽい。『IT』とか『トミーノッカーズ』とかそこらへんに通じる要素がたんまりあります。人々の悪意を駆り立て、街を破壊しつくすくだりは『ニードフル・シングス』だし。

とまぁ、ウチのブログにとってはキングとの比較を逃れることはできない作品ですけど、主人公・信悟のキャラ造形はそこから離れたところで良かったですね。彼の性格が物語の真相と結びついており、必然性を感じさせる点も◎。
あとはこの作者ならではなんでしょうか、昭和の匂いプンプンな作風がこのホラー路線にマッチしています。

ツッコミどころはそこそこあって、説得力の薄さを覆す問答無用のパワーには乏しいんだけれど、平易な文章も相まって長さを気にせず読むことができました。


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