西尾維新『クビキリサイクル -青色サヴァンと戯言遣い-』

西尾維新_クビキリサイクル
西尾維新『クビキリサイクル -青色サヴァンと戯言遣い-』 (講談社文庫)

西尾維新の戯言シリーズ第1作、『クビキリサイクル -青色サヴァンと戯言遣い-』を読みました。
シリーズと書きつつ、シリーズ物であることを知ったのはつい先日のこと。管理人はずっと「メフィスト賞を受賞した、西尾維新のデビュー作」とだけ認識していました。

絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする。工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃんは、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか? 第23回メフィスト賞受賞作。

つーか西尾維新(NISIOISIN)って回文だね。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓




西尾維新といえば、VOFAN氏が手掛けた装画とともに『化物語』(物語シリ-ズ)のイメージが強い気もしますが、管理人がその存在を初めて認識したのは本作によって。といっても、メフィスト賞受賞当時、手に取ることはなかったんですよね。
メフィスト賞受賞作を片っ端から…、というほど網羅したわけじゃないけど、いくつか読んでみて、自分にとってのいわゆる“アタリ”作に出会えたんですけど、同時に“ハズレ”作もあってですね、もうそろそろいいかな、と。そんな中、萌え♡萌え♡なイメージの強い氏の作品は「保留」されることになりました。それが刊行から17年も経ってから読むことになるとはね。不思議なもんだ。
ちなみに、管理人的なメフィスト賞大アタリ作トップ3は、殊能将之『ハサミ男』、舞城王太郎『煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices』、森博嗣『すべてがFになる』、です。この3人は、受賞作以外でもむをおおおお!な作品を書いているという点でも信頼できる。


西尾維新はライトノベルの作家、もしくはライトノベル寄りの作家と認識されているような気もしますが、正直いってライトノベルの定義ってよく分かってません。萌え画(?)ジャケならライトノベルなのか、とか。「軽い」「読みやすい」ってことなら、赤川次郎とか東野圭吾とか伊坂幸太郎ってライトノベルじゃないのかって気もするし(とても危険な発言w

会話は軽妙。現実味が薄い設定のせいもあってか、作品を覆うムードも人によっては軽薄と捉えることができるものです。もしかして登場人物が若い女性キャラばかりって点も、ライトノベルっぽさに繋がってるんですかね。よく分からないですけど。
ならば本作が「light=軽い、薄い」一辺倒かといえば、そんなことはない。むしろ私はヘヴィさを強く感じました。

ガッツリと本格ミステリしてます。トリック物の。フーダニットとハウダニット、おまけにホワイダニット。盛りだくさんです。
“見かけ”によらずオーセンティックなところを真正面から攻めている点に、どっしりしたヘヴィさを見出すことは可能です。…ですが、本作の重さはむしろ、主人公2人(と言っていいのかな?)、玖渚友(くなぎさ・とも。読めねぇ)とその付添人にして語り部である「ぼく」の出自をぼやかしてあるところにこそあるんですわ。明らかに「過去」、そして何かしらの「設定」があることを匂わせまくるくだりがアチラコチラに…。
この「謎」はシリーズを追うごとに明らかになってくるんでしょうか…?

今後、重要な役割を果たしそうな人物をラストに登場させて、鮮やかに物語をひっくり返す手腕も冴えています。うん、面白い。
ただし、本シリーズ、思いっきりキャラ萌え小説なんでしょうけど、ワタクシ、現時点では主要登場人物に対して感情移入はしていませんね。さてどうなることやら。


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