森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』

森博嗣_フラッタリンツライフ
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ -Flutter into Life-』 (中公文庫)

森博嗣のスカイ・クロラシリーズの4作目、『フラッタ・リンツ・ライフ -Flutter into Life-』を読みました。氏の代表的シリーズである、犀川創平&西之園萌絵のS&Mシリーズよりもこちらの方が私は好きですね。

本シリーズの単行本の装丁は非常に美しいですが、文庫本もまたしかり。私は文庫本派だしね。装飾を削ぎ落として、タイトルと作者名と詩を数行、それを単色のバックに白抜き文字で、っていうシンプルさが最高に美しい。しかし、期間限定なのか知らんが映画の公開に合わせて登場キャラのアニメ画の表紙になってるやつもあるので注意が必要です。この作品に限らず、(個人的には、)小説が映画化、ドラマ化やアニメ化された際に表紙が変更になるの、ほんと勘弁してほしいんですわ。まぁ出版社等の戦略的なところは理解できるんですがね。小説の優れた部分は想像力を刺激するところなのに、そんな映像から切り出してきた写真みたいの載せたら、読者の中のイメージが固定化されちゃうじゃないの。

さて、話が逸れましたが本作の(簡単な)感想です。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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このシリーズの独特の世界観はWikipediaの「スカイ・クロラシリーズ」の項とかを参考にしてください。
作品の雰囲気、読後感はいつも通りです。ミステリもの、特に推理小説のような着地点や目的地が不明(もしくは希薄)なため、強烈な印象が残るわけではありません。過去作についても、ヴェールの向こう側を覗くような薄ぼんやりとした感じです。私の記憶力の問題かもしれませんが…(苦笑)。しかし、読み始めるとすぐに、ある種達観した視点と浮遊感のある描写の心地良さを思い出し、世界観に浸り、そしてまたこの世界に戻って来たいと思わせてくれる、そんな作品群です。

パイロットの日常を淡々と描写しているだけのように見えながら、物語は少しずつ進行(変容?)してゆきます。本作では結構どでかい事実が(はっきりとした形ではないにせよ)明らかになります。このシリーズの肝というべき「キルドレ」の存在について。次作『クレィドゥ・ザ・スカイ』ではさらに詳しく描写されるとの事で、読まないと。どっかにしまってあるはず。
「愛情」とは何かを自問する(本作での)主人公、栗田仁郎(クリタジンロウ)が女上司・草薙水素(クサナギスイト)へ向ける、片思いにも似た視線がええですのぉ。
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