今野敏『去就 -隠蔽捜査6-』

今野敏_去就
今野敏『去就 -隠蔽捜査6-』 (新潮文庫)

今野敏による警察小説、隠蔽捜査シリーズの6作目、『去就 -隠蔽捜査6-』を読みました。
3作目『疑心 -隠蔽捜査3-』の感想 → コチラ。
スピンオフ1作目『初陣 -隠蔽捜査3.5-』の感想 → コチラ。
4作目『転迷 -隠蔽捜査4-』の感想 → コチラ。
5作目『宰領 -隠蔽捜査5-』の感想 → コチラ。
スピンオフ2作目『自覚 -隠蔽捜査5.5-』の感想 → コチラ。

大森署管内で女性が姿を消した。その後、交際相手とみられる男が殺害される。容疑者はストーカーで猟銃所持の可能性が高く、対象女性を連れて逃走しているという。指揮を執る署長・竜崎伸也は的確な指示を出し、謎を解明してゆく。だが、ノンキャリアの弓削方面本部長が何かと横槍を入れてくる。やがて竜崎のある命令が警視庁内で問われる事態に。捜査と組織を描き切る、警察小説の最高峰。

今一番好きなシリーズ物かも。←毎回同じようなこと言ってる
今回もサイコーに面白い。
たまらん。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓



個人ががんばっているのに、全体として対応がうまくいってないとしたら、それはシステムの問題で、責任はすべてそのシステムを作る上層部にあるのだ。

「判断をし、責任を取る。俺たちにできるのは、それだけなんだ」



このシリーズ、他の今野警察モノよりも大きなミステリ的どんでん返しが設定されているように感じます。その謎解き部分と、筆者が得意とする興趣ありまくりングな人間模様の描写が、バランス良く組み合わされている。それがこのシリーズの強みのひとつであろうと。

ただ正直に言いまして、本作はミステリ的にはちと弱いです。「過去の焼き直し」みたいに感じるところがあるのでね。また、現在進行中の略取・誘拐事件だとはいえ、ンな確認不足の状態で警察捜査が(結果的には)誤った方向性で動くのかも疑問。
ミステリ的にはいわゆる「ツッコミどころ」のある小説だと思います。

それでもなお、クッソ面白い。
でもそんなこたぁどうでもいいくらいにすき。

主人公・竜崎伸也に萌え萌えでしゅ♡
大森署の面々を筆頭に、彼を取り囲む組織模様もすき。
隠蔽捜査シリーズの“薄い本”あるんじゃね? いやきっとあるだろ。って思うくらいのキャラ萌え小説ですよこれ。

合理性・効率を重んじる竜崎が当たり前に(←ここ大事)自分を貫くことがドラマを生む。そこにカタルシスを覚えるのが本シリーズの基本ルールみたいなもんですが、ときどき顔を出す合理性のみには基づかない“人間味”にもグッとクるのよね。めちゃくちゃグッとクる。
「~してやるのは悔しいから」とか「こいつはどうして人の話をちゃんと聞こうとしないのだろう」とか「こいつもか……。竜崎は、うんざりした気分で~」みたいな文脈にキュン♡となる(笑)
カワイイやつめ。


本作、メインの事件の後にひと悶着ありまして、そここそがハイライトなんじゃないかとも思うわけですけど、そこで今後の展開(竜崎の異動)を感じさせるのがGood。
さて、これからどうなるのか。
非常に楽しみである。

あ、すでに単行本では「その後」の物語が進行していますが、あたしゃあ文庫本派なのでね、文庫で読むまでは先の展開は知りたくないので、そこらへん夜露死苦。


スポンサーサイト



COMMENT 0