結城充考『アルゴリズム・キル』

結城充考_アルゴリズムキル
結城充考『アルゴリズム・キル』 (光文社文庫)

結城充考の女刑事クロハ・シリーズの長編3作目、通算4作目の『アルゴリズム・キル』を読みました。このシリーズ、久しぶり。
1作目『プラ・バロック』の感想は → コチラ。
2作目『エコイック・メモリ』の感想は → コチラ。
短編集『衛星を使い、私に』の感想は → コチラ。

署の交通安全イベントの最中に、突然現れた痩せこけた少女。保護されて間もなく亡くなった彼女は、ほぼすべての歯を折られていた―。警務課所属のクロハは、県内で続発する未成年者変死事件との関連を探り始める。被害者たちの体や衣服に残された子供の指紋が意味するものは? 犯人の底知れぬ悪意に孤高の女性警官が立ち向かう、「クロハ」シリーズ長編第三弾!

うぉぉぉおおお!!
すきだこれ!



以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓




読み始めてすぐに、「おお! これ、これ! この雰囲気だよ、クロハ・シリーズはッ!」って膝を打ちまくりました。
県警捜査一課から外された本作のクロハは、警務課に所属しており、ほとんど謹慎中みたいな状況。警務課って会社でいうところのいわゆる総務部ですかね。物語は『エコイック・メモリ』の続きであることを示唆してますが、管理人、実は同作のストーリーなんざほとんど覚えていません。でも、暗くドンヨリと湿った空気と無機質で冷たく乾いた舞台設定が同居する世界にインすると、瞬く間に“帰ってきた”感に満たされるのです。
前にも書きましたが、やはり慣れないと読みにくい文章です。けれども、その固い文体が独特の居心地の悪さを醸し出し、このシリーズならではの雰囲気を醸成しているのだから、やはり作品には合っているんでしょう。

中盤までは物語がどういう方向に転がってゆくのか全く分からず、停滞感が漂います。それを否定的に捉えることもできますが、クロハが抱えた過去に対する忸怩たる心模様とリンクし、強く作品のカラーを決定づけているように思うんですよね。個人的には、本作を読んで「クロハってこんなにも“弱い”人物だったのか!?」って気づき、びっくりしました。その「弱さ」が彼女を魅力的に見せることで、なんだか以前より親近感を覚える登場人物になっていた。いつのまにか冷たい人格のイメージのクロハ像が形成されていたんですよね。なんでだろ?

中盤の衝撃的なアクション・シーンを境に、物語は急展開、スピードアップします。
そこからは2つの事件にケリをつけるラストまで一気呵成。流れを断絶するかのように終了する、最終ページの余韻が堪んないすね。やりきれなさと優しさと安堵感と切なさが入り混じっていて。

すき。


スポンサーサイト



COMMENT 0