丘原昇『淫術捜査』

丘原昇_淫術捜査
丘原昇『淫術捜査』 (竹書房文庫)

とにかくもう、この宣伝文句を見てくれ。

天堂香純は警視庁史料室に勤務する今風の27歳。だが、それは表向きであり、実体は公安部特殊諜報課に属し、テロ集団や外国人スパイの調査・摘発に当たる秘密捜査官である。香純は甲賀忍者の末裔であり、彼女の一族は代々時の権力者に仕え、国家を守ってきた。彼女が体得している忍法は、相手を色責めで籠絡する「淫術」も含まれていた。そして今回、香純に仮想通貨を巡って暗躍する犯罪組織の追及という任務が下された――!
時には忍術で敵を倒し、時には淫術で敵をおとす「くノ一刑事」が、国家を脅かす悪に立ち向かう! 比類なきエロス&アクションの警察官能小説。


初めて官能小説なるものを読んでみました。
しかし官能だエロだというのは置いといて、このトンデモ設定の見本市みたいなウリ文句で、読みたくならないわけがないだろう。
「警察官能小説」という語感だけで逝くぜ。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますが、大した影響はないのでご注意しなくていいと思います。
 ↓



・今風の27歳
・公安部特殊諜報課
・秘密捜査官
・甲賀忍者の末裔
・淫術
・仮想通貨

ツッコミどころの嵐。というかツッコミどころしかない宣伝文句ですが、中身のほうもまたしかり。
「説得力だと? そんなものは何の役にもたたん。捨ててしまえ!」とばかりに、ご都合主義が横行する急展開の連続。「それ、この展開の中に入れなくてもいいんじゃね?」ってタイミングで唐突に濡れ場()に突入しちゃうんだから、もはや笑うしかないス。

クライマックス・シーンは、なぜかビルの屋上で行われる、北朝鮮女工作員とのイカセ合いだ。

香純は葛藤した。ホンミの意図はわかっている。女同士、最後は肉悦合戦で勝負をつけようというのだろう。

意味不明さがバーストしてて最高ですね(笑)。『機動戦士ガンダム』最終話、ガンダムとジオングを捨てたアムロとシャアによる、ア・バオア・クー内での肉弾戦に匹敵する興奮をもたらしてくれます(くれない)。


しかしながら俺的クライマックスはこちら。

思わず香純は体制を崩していた。
その隙を見逃さず、角刈り男はボディブローを放ってきた。
「うらっ」
「ぐはっ」
体格が小さい分、重さはないが、まっすぐに響くパンティだった。


(誤植)

この流れのままダメ押しのように次のくだりが来るもんだからもう耐え切れん。

一発KOを狙い、体重を乗せたパンティの空振りで、男は思わずたたらを踏んだ。

(誤植)

「体重を乗せたパンティの空振り」というパワーワードの切れ味に、もうタジタジです。

不人気漫画の連載が突然打ち切られるかの如き、ラストの強引なまとめっぷりも実に味わい深い。


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