原田マハ『暗幕のゲルニカ』

原田マハ_暗幕のゲルニカ
原田マハ『暗幕のゲルニカ』 (新潮文庫)

原田マハの『暗幕のゲルニカ』を読みました。

ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑶子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑶子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒涛のアートサスペンス!

作者の「絵画ミステリー」といえば傑作『楽園のカンヴァス』がありますが(感想は→コチラ)、本作はその続編というわけではありません。主人公が異なりますし。ただ、前作で語り部として登場したティム・ブラウンが、ここでは主人公・八神瑤子の上司と登場し、そのゆるやかな繋がりにニヤリとさせられます。
(オイラはあとがきを読むまで気づかなかったので、ニヤリとしてませんが/笑)


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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この作者は上手いなー。
まず、抜群に読みやすい。平易でクセのない文章は、普段読書をしてない人にもとっつきやすそうな気がします。
あとは本作の構成がポイントでしょうね。ピカソが生きたスペイン内戦とファシズム台頭の時代、瑤子たちが生きる2001年の同時多発テロ事件以降のアメリカ。この二つの時代を交互に配置することで、「ゲルニカ」を巡る一連のドラマと、通底するテーマである「テロとの戦い」「反戦」を浮かび上がらせる。その手腕が見事です。

テーマがテーマなだけに力が入っています。もしかしたら、やや入りすぎなきらいがあるかもしれません。全体的には抑え気味な筆致のなか、少し暴走気味な展開もありますから。瑤子がテロに巻き込まれちゃうところとか。あとは、「アートは武器である」「芸術を通じて世の中に訴えかける」というメッセージがあんまりピンとこないかも。
まぁ、ぶっとびトンデモ展開もその世界の中で説得力を持っていれば“是”とする考えですので、興醒めするほどじゃないというのが、管理人の見方ですけどね。

『楽園~』のほうが好きですけど、より大きな舞台でドラマティックな味付けの本作のほうがもしかしたら人気かもしれません。
力作。


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