SENTENCED「AMOK」


SENTENCED「AMOK」 (1995)

フィンランドのメランコリック・メタル・バンドの3rdアルバム。以降、その音楽性をヴォーカル中心のものに変化させていきますが、この時点ではかなり正統派HMに接近したメロディック・デスメタルをプレイしています。SENTENCED大好きっ子である管理人は、Ville Laihiala様(Vo)加入後の音楽性がより好みですが、本作をして名盤認定するのに1ミリ秒たりともためらいません。というかこの記事を書いている今現在、「メロディック・デスメタル」というジャンルにおいてこれ以上の作品が存在するのか(いや、しない)、って思っちゃうくらいの名盤だと断言いたしましょう。

彼らがそのジャンルの創始者のひとつという事もあり、先ほど「メロディック・デスメタル」と便宜上分類しましたが、「かなり正統派HMに接近したメロディック・デスメタル」というより「メロディック・デスメタルの要素のある正統派HM」の方が印象としては近いでしょうか。IRON MAIDENの影響が大きいです。Taneli Jarva(Vo&Ba)のヴォーカルがド迫力でありながらも聴き易く、歌心を感じさせることもその印象を強めています。また、メロディがそれほど「クサく」なく、「イモっぽさ」「B級感」もあまり感じません。そして、ギター・ワークの多彩さという点では、彼らのカタログの中でも特に際立った一枚と言えるでしょう。特にMiika Tenkulaという優秀なソロイストの存在はデカい。ソングライターとしても非凡だしね。
今回改めて聴いてみましたが、やはり素晴らしいです。さらに好きになりました。聴けば一発で分かるキャッチーさとメロディアスな感触を持ちながら、何度でも聴ける楽曲展開の妙、そして何度聴いても全貌を把握できないようなアレンジの奥深さを、全て併せ持った稀有な作品だと思います。

本作を初めて聴いた時から今に至るまで、私はとにかく③New Age Messiahが大好きでしょうがないんです。ブリッジ~サビへの流れが、歌メロ、バッキング共にメロディアス極まりなく、「デス」とか「正統派」とか「クサ」とか関係なくメロディ派必聴。特にサビ裏で奏でられるこれぞMiikaなギター・メロディの悲哀度は、既に異常事態発生。これエマージェンシーです。戒厳令ですよ(意味不明)。Taneliのヴォーカルは吼えているというより歌い上げており、その表現力はシーン、トップクラスと言えると思います。歌詞もかっこいいですね。
そしてこのアルバムの“格”を一気に引き上げているかのような、そんな存在の7分超の大作チューン④Forever Lostに勝るとも劣らない出来。このアルバムから感じる“奥深さ”の大半はこの曲由来なんじゃないのかって思うほど。冷静に考えるとこの曲が一番かもしれません。何が凄いって、全部凄い(笑)。無理も無駄も無い練りに練られた楽曲展開、女性Voを絡めたアレンジ、歌メロに頼り切っていないリフ・メイクのセンス、IRON MAIDENバリのドラマティズム、ああ完璧じゃないですか…。
あと触れておかなきゃと思うのが、⑦Nepenthe。Taneli時代の代表曲であり、本作からのリーダー・トラックでもありますが、当初はあまり好きではありませんでした。いや正直に言いましょう、この記事を書こうと聴きなおすまでピンときませんでした(笑)。おそらく、この曲のうらぶれたような、ちょっと汚いイメージが気に食わなかったのでしょう。ところがどっこい、これが現実!(カイジ) 今聴くとコレが響いてくるのなんの。自分もうらぶれた汚い大人になっちまったからでしょうか(苦笑)?Taneliの(デス声ではなく)歌唱も曲調もかなりメロディック・デスメタルとは距離がありますし、正統派HMとも違う。もっとブルージーな感触があって、このバンドのポテンシャル、咀嚼力の強さを窺わせるに十分です。メロウなギター・ワーク(ソロ、最高)と激情と共に倦怠感や諦念を感じさせるVoが堪りません。

その他の曲も総じて出来が良いですが、アイデア豊富な本作の音楽性を端的に現した①The War Ain't Over!、月の魔力に魅入られる様子を切迫感を感じさせる曲調で見事に表現したアップテンポの⑩Moon Magick(アォーーン!)、泣きのインストに留まらない展開を持つ⑪The Golden Stream Of Laplandの3曲は結構好きです。

このアルバムの魅力をまるで紹介できていないような気もしますが、何を言いたいかというと、
聴いたことない人は、聴け!
聴いてもピンとこない人は、もう一回聴け!

お願いします。

【お気に入り】
③New Age Messiah → YouTubeの音源。
④Forever Lost → YouTubeの音源。
⑦Nepenthe → PV。
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COMMENT 2

kazz_asai  2012, 08. 15 [Wed] 21:17

メロデスの金字塔

私は「North From Here」のテクニカル・デス路線が好きだったので最初この作品には多少違和感をおぼえたのですが、2度3度と聴くうちにその底知れぬ魅力にとらえられ、今ではSENTENCEDの作品で最も好きな作品となりました。否、メロデス全作品の中でもベスト10入りは確実です。
全篇を包む凶暴さとメロウさの絶妙なブレンド、哀愁に満ちたメロディは本当に何度聴いても新鮮です。
「Down」以降のいわゆるノーザン・メランコリック・メタルも素晴らしいのですが、本作はその境地に達する道程でSENTENCEDが一瞬見せた、奇蹟ともいうべき輝きと私は思っています。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2012, 08. 16 [Thu] 00:33

kazz_asaiさん、

お待ちしておりました(笑)
「AMOK」は飽きないどころか、聴く度に発見があるような奥深さを感じます。
仰る通り前作「NORTH FROM HERE」はテクデスで、本作はかなり正統派寄りのメロデス。その進化のスピードが速すぎてSENTENCEDは典型的なメロデス・サウンドのアルバムを生み出す暇さえなかったような気がします。それだけに「AMOK」は光り輝いていますね。この一枚だけで、「SENTENCEDは昔はメロデスだった」という評価を与えてしまうほどですから。

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