スティーヴン・キング『ダークタワーⅥ スザンナの歌』

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スティーヴン・キング『ダークタワーⅥ スザンナの歌』 (風間賢二 訳、角川文庫、上・下)

スティーヴン・キングの『ダークタワー』シリーズの第6部、『ダークタワーⅥ スザンナの歌』を読みました。
第1部『ガンスリンガー』の感想は → コチラ。
第2部『運命の三人』の感想は → コチラ。
第3部『荒地』の感想は → コチラ。
第4部『魔道師と水晶球』の感想は → コチラ。
第4.5部『鍵穴を吹き抜ける風』の感想は → コチラ。
第5部『カーラの狼』の感想は → コチラ。

ローランド一行が“狼”たちとの戦いの勝利にひたるも束の間、スザンナが消えた。彼女の中に生まれた第4の人格ミーアが、妖魔の子を無事産み落とすため、1999年のニューヨークにスザンナを連れ去ったのだ。キャラハンが封印した忌まわしい水晶球とともに―。不安に苛まれるエディは、時空を超えローランドとともに妻を捜す旅に出る。だが、そこで待ち受けていた人物に急襲されてしまう…。“カ・テット”を最大の危機が襲う!

ミーアの奇異な振る舞いと、おなかにいる子どもへの異様な執着。彼女の真の目的はいったい何なのか? 仲間たちから引き離されたスザンナは、孤独な戦いを強いられていた。彼女の行方を必死で追う、ジェイクとキャラハン神父は、恐るべき敵と対決するはめになる。一方、ローランドとエディは1977年のメイン州で、すべての謎を解くべく、ある作家のもとを訪ねていた―。先が読めない展開に、驚愕と絶望が待ち受ける衝撃作。


俺は今、猛烈に怒っている。
これほどヘタクソで作品のイメージを台無しにする装画が、かつてあっただろうか?
このイラストレーターの他の作品はファンタジックで美しい仕上がりなのに、なぜよりによってコレだけC級スラッシュメタル・バンドのCDジャケのようなのか。

あ、本の中身ですか?
すんごく面白いです。クライマックス近し!


以下、「ネタバレ」してますので、ご注意ください。
 ↓



第6部、『REPRODUCTION(複製)』。

実にう○こな装画ではありますが、二陣営に分かれる<カ・テット>の構図(ローランドとエディ、ジェイクとキャラハン神父とオイ)を、上手く表現してるアートワークだといえばそう、そのとおり。本編に登場する筆者キングの姿もちゃっかりと描かれていて、芸が細かかったりする。

全世界を結びつけ維持しているのが<暗黒の塔>とそれを支える<ビーム>で、その倒壊を目論んでいるのがローランド達の“敵陣営”だとすると、今まではおぼろげだったその姿がだいぶはっきりとしてきました。<深紅の王>、<黒衣の男>、そして今までのキングの作品にも登場してきた吸血鬼とロウ・メン、そしてソンブラ・コーポレーション。

また、ダークタワーの世界の成り立ちや歴史(魔法の時代と、機械=科学の時代)、パラレルワールド的構造の中にあっても唯一無二の現実世界である<根本原理世界>が存在すること、スザンナのおなかに宿る赤ん坊の正体も明らかにされます。
それらを(読者に)説明するのが、スザンナ第4の人格であるミーアなんですけど、なんで彼女の口から…?ってのは、実はスザンナの分裂した人格ではなかったというミーアの正体に依るところなんですな。アレがココにこういうふうに繋がってくるのか!?と、キングの物語構築術に驚愕すること必至。


最終部『暗黒の塔』への助走にして、作品世界の根幹をなす謎が続々と提示される本作は、第5部『カーラの狼』ほどのワクワク感やカタルシスを感じることはありません。むしろモヤモヤしたものが残り、<カ・テット>をめぐる状況が絶体絶命ですから、カタルシスなんてゼロに等しいです。
ただし、物語が一気にスピードを上げて展開しているのは感じますし、ローランドとエディがバラザー配下の奇襲を受ける場面はワクワクドキドキ面白い。2人を助ける脇役=ジョン・カラムのキャラ立ちがまた良好です。
また、ローランドが、自身を生み出したスティーヴン・キングと出会い、彼を催眠に掛けて“世界の謎”を訊きだす場面は、奇妙で温かい空気に包まれる名シーンじゃないかと思いますね。ジェイクとキャラハン神父がスザンナを追って、敵が待ち受けているであろう場所に決死の突入をかける様子にも痺れる。※時間軸的には、ここで第6部『スザンナの歌』が終わる。


「何でもアリ」と神話的モチーフをいっぱい積み込んで疾駆する物語。
<内世界>から<中間世界>へ、そして<終焉世界>と辿ってきた旅が、次作でいよいよ完結。
チビりそう。


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