スティーヴン・キング『ダークタワーⅤ カーラの狼』

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スティーヴン・キング『ダークタワーⅤ カーラの狼』 (風間賢二 訳、角川文庫、上・下)

スティーヴン・キングの『ダークタワー』シリーズの第5部、『ダークタワーⅤ カーラの狼』を読みました。
第1部『ガンスリンガー』の感想は → コチラ。
第2部『運命の三人』の感想は → コチラ。
第3部『荒地』の感想は → コチラ。
第4部『魔道師と水晶球』の感想は → コチラ。
第4.5部『鍵穴を吹き抜ける風』の感想は → コチラ。

カーラの町は恐怖に包まれていた。もうすぐ凶悪な“狼”たちがやってくる。奴らは23年に1度、双子の片割れだけをさらっていく。戻ってきた子どもは、知性を奪われ、体はいびつに成長し、抜け殻のようだった。怯える人々を前に、一人の老人がガンスリンガーの力を借り、戦うことを提案する。一方ローランドたちは70年代ニューヨークで“暗黒の塔”の化身である薔薇が危機に瀕していること、スザンナの様子が変なことに気づく。

ローランドたちの指導のもと、町の人々は戦闘準備に余念がない。だが、“狼”たちとの決戦の日が近づいてくる中、スザンナのもう一つの人格である妊婦ミーアの奇矯な振る舞いはエスカレートしていく…。“狼”たちはいったい何者なのか? そして、キャラハン神父が隠し持つ水晶球の真の力とは? 時空を超え、いくつもの謎が複雑に絡み合い“カ・テット”の運命を翻弄する。縦横無尽に広がる物語世界の凄みに驚嘆の1冊。


カバー装画のタッチがまた変わったなー。キャラ造形は自分のイメージとはちょっと違うんだけれども、双子というモチーフを上下巻で活かした、秀逸な仕上がりですね。
中身もクッソ面白い。
カム・カム・カマラ


以下、「ネタバレ」してますので、ご注意ください。
 ↓




これまでもずっと面白かったこのシリーズですけどね、ここでグッと、面白さのレベルがさらに一段上がったかのような、そんな圧倒的エンタメ全開っぷりに、あたしゃあ血沸き肉躍りまくりングなんです。

まずですね、<狼>をめぐるアレコレの設定が素晴らしいです。
双子ばかりが生まれる地域、カーラ。
20数年ごとに狼の仮面をつけた略奪者が現れ、双子の片割れをさらってゆく。
子どもは抜け殻のような巨人となって街に戻される。
<狼>の襲来を予言するロボットの存在。
あと1ヶ月ほどで<狼>が来る…。
そこに通りかかるローランドたちガンスリンガー。

第5部冒頭に掲げられた一言は、『RESISTANCE(抵抗)』ですよ。
※因みに、第1部は『REGARD(再開)』、第2部は『RENEWAL(更新)』、第3部は『REDEMPTION(救出)』、第4部は『REGARD(思慮)』。
胸熱。
その<狼>が皆、葦毛の馬に乗ってマントを翻しながら疾駆してくるってイメージが秀逸だし、ライトスティックと呼ばれる光刃を武器にしてるってんだからマジSW。その時点で勝負アリみたいなところがある。

そんな舞台の上に、群像劇を描かせたら右に出る者のいない、キング御大の筆が踊りまくるんです。
カーラの民衆の様子がめっちゃ面白い。<狼>に立ち向かう派と穏便にやり過ごそう派の争いがあって、ガンスリンガーに助力を求めようとする流れになりつつも、彼らをよそ者として受け入れがたい空気が根強くあって…という。
さらにカーラの民から<爺さま>と呼ばれる老人は、キングの2作目にして吸血鬼物モダンホラーの大傑作、『呪われた町』に登場するキャラハン神父だっていうんだから興奮しまくりングだし、神父が<魔道師の水晶球>のなかで最も危険で強力な<十三番目の黒球>を持ってるってのも鳥肌。

<狼>たちに対抗するための意外な武器と、ローランドの奇襲作戦の行方。
<狼>の秘密と裏切り者の存在。
裏切り者が明らかにする、<狼>の目的。
その時、キングの過去作を読んできた読者は、「あの話が暗黒の塔に繋がってくるのか!?」と驚愕しちゃうんです。
おまけにカーラの事件と同時並行的に、ニューヨークではバラザーたちの野望を阻止しなきゃなんないし、妖魔の子を宿したスザンナには第4の人格であるミーアが生まれ…、、

…ってこれだけ魅力的な題材のアレコレが、現代最高のストーリーテラーであるキングの手にかかって、面白くならないわけがないのだ。
本作ってば、とにかく盛り沢山なんです。それらの要素がトッ散らからずに上手~く読み応えとスリルに結びついてる。
『呪われた町』で語られることのなかった、キャラハン神父の後日譚がまたクッソ面白いんですよね。そこでもまた過去作とのリンクが明らかにされて、キングファン冥利に尽きますし。

あと、ローランドの回想シーンである、「ジェリコの丘で最後を迎えるガンスリンガーたち」。
圧倒的な敵勢に追い詰められ、ローランドとカスバートだけになった<カ・テット>。その生々しさ、凄惨さ。そしてここで再度<角笛>のことが触れられるのだ…。重要なポイント。
そのシーンの余韻を切り裂くかのように、塔の化身である薔薇(「存在の中枢はふたつある」「<塔>……そして薔薇。このふたつは同一のものだ」)と出会う場面が鮮やかに描かれる。「カスバート、アラン、ジェミー――いまこのとき、そなたらがここにいればよかったのに!」


ああ最高。
読書の楽しさが凝縮されてますわ。
しまいにゃキング自身までこの暗黒の塔サーガの一部となり、第6部『スザンナの歌』へ…!!



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