スティーヴン・キング『ダークタワーⅡ 運命の三人』

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スティーヴン・キング『ダークタワーⅡ 運命の三人』 (風間賢二 訳、角川文庫、上・下)

スティーヴン・キングの『ダークタワー』シリーズの第2部、『ダークタワーⅡ 運命の三人』を読みました。
第1部『ガンスリンガー』の感想は → コチラ。

“暗黒の塔”を目指し、孤独な旅を続けるローランド。浜辺に辿りついた彼は、夜ごと出現する異形の化け物に、拳銃使いには欠かせない2本の指を食いちぎられ、さらに高熱にも苦しめられる。そんな時、奇妙なドアが出現し、その向こうには80年代ニューヨークが広がっていた。麻薬の運び屋で麻薬中毒のエディと出会ったローランドは彼の危機を救うが…。著者の作家人生の始まりにして集大成である究極のシリーズ、第2弾!

砂浜に突如現れた不思議なドア。それを通じて、両脚を事故で失った、美しい黒人の二重人格者オデッタが“中間世界”にやって来た。2つの人格の落差に驚愕しつつも、エディは彼女に惹かれていく。そして、もう1人の旅の仲間の候補者は、何と連続殺人鬼だった―。エディも含め、異なる時代に生きているらしい3人の中から、真の仲間を得ることはできるのか? 物語が加速度的に動きだし、ローランドは“暗黒の塔”に一歩ずつ近づいていく。


時空を超えたパーティー集めが始まる。
オラ、ワクワクすんぞ。


以下、「ネタバレ」してますので、ご注意ください。
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第1部『ガンスリンガー』のラストでの、黒衣の男とガンスリンガー=ローランドの対決シーン。そこで得られた黒衣の男の「予言」で示されたのが、<囚われ人><影の女><死>の3枚のタロットカードですが、本編はその予言に従って進行します。

まずは<囚われ人>こと、エディ・ディーンを仲間にする上巻。
これがめちゃくちゃ面白い。シリーズの中でも屈指の、手に汗握ってかつニヤニヤしちまうシーンの連続です。
奇妙な状況下に放り込まれた人間の反応をエンタメに昇華させて描くのは、キング御大の得意とするところですが、それがここで爆発。現代アメリカ文明に触れたローランドの言動が最高ですわ。ロブスターの化け物の毒で弱っている彼が、ツナ・サンドとコーラの美味さに驚くシーンは特にお気に入りです。風間賢二氏の邦訳の上手さに依るところも大きいでしょうね。
それに加え、飛行機を降りて税関を通り抜けてコカインを届けなきゃならんという、サスペンス&タイムリミット的要素。これが効いてる。
<囚われ人>であるエディを「囚えて」いるのは、ヘロインだったり兄ヘンリーの影だったりするんですけど、兄弟間の数々のエピソードやそれらを克服して「囚われ」から解放されてゆくくだりが、エディの人物造形に素晴らしい陰影を与えていることもポイントです。

<影の女>こと、オデッタ・ホームズ/デッタ・ウォーカーの二重人格女性を巡る下巻。
ローランドは毒により死ぬ寸前。“中間世界”に連れてきたオデッタ/デッタは、性悪女のデッタの人格が支配的になって手をつけられない。暗黒の塔への探索どころじゃねぇ。どうしようもない閉塞感が漂うなか、エディの献身が光ります。

物語はそのまま<死>こと、連続殺人鬼&公認会計士=ジャック・モート編へ。
何がサイコーって、ジャックの中に“侵入”したローランドが、彼の精神と肉体を操り、拳銃と弾丸、それにペニシリンを手に入れるくだりですよね。エディの税関通過儀礼に勝るとも劣らない面白さ。「これは史上初のペニシリン強盗だ」

異世界の間を繋ぐドアの設定も秀逸です。
別の世界で死んだ少年ジェイクが“中間世界”にやってきたことや、ローランドに見捨てられる際の言葉である「じゃあ行きなよ。ぼくはここで死んでも、また別の世界がいくらでもあるから」からして、パラレル・ワールド的要素の介在を示していますが、『どこでもドア』の“どこへでもいけるわけじゃない”版であるこのドアの登場で、別の世界との行き来が明確に描写されます。
ジェイクの死とオデッタ/デッタの精神分離にジャック・モートの凶行が深く関わっていることを知り、まとめて決着をつけようとするローランド。ドアの設定を利用した劇的なラストシーンが、傑作中編『ランゴリアーズ』のクライマックスを思わせる鮮やかかつ劇的なもので、読んでてゾワゾワくるんす。サイコー。


そういえば、『ダークタワー』シリーズにおけるガンスリンガーの位置付けって、『スター・ウォーズ』サーガにおけるジェダイのそれに近いよね。そんなところもむをおおおお!

第3部、『荒地』へ。


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