Lilith Abi@神楽音

Lilith Abi 単独公演2018春 神楽音 (2018/4/14)



Crossover popsバンド、Lilith Abiによる久しぶりのライブを観てきました。オープニング・アクトありのワンマン公演。
もしかして前回観たのは『ベイサイドジャズ2015千葉』(レポは→コチラ)、、…って2年半ぶりか…!?
2016年に5thアルバム「shelter」をリリースしてからこっち、ライブはありませんでしたしね。ずっと待ってたわよ。

会場の神楽音は初めて行くライブハウスで、神楽坂にあるお洒落な造りのハコでした。キャパ80人。フロアは着席&立ち見の混合スタイルでしたが、キャパの割りにステージの高さがそこそこあるので、座っていても観やすかったです。また、今回はバンド・メンバーだけでなくVJの人が参加して、ステージ後方の壁にイメージを投影するという趣向もあり。ただ映像をループで流すのではなく、曲の展開に合わせてその場で作り上げ変化させてゆく様が、この日のフロアを特別な空間にする一助になっていたと思います。

今回のライブは、クラシックのコンサートや一部ブログレのライブのようにパンフレットが用意され、来場者に配布されました。これがなかなか豪華な逸品で、リーダー・こじまりょうすけによる公演コンセプトの説明に当日のプログラム(つまりセトリ)、詳細なメンバー紹介、歌詞に楽曲解説と、多岐にわたる読み応えのあるものでした。
「shelter」制作前後の時期から引き続いているリリスのロック/プログレ路線は、今回も堅持。それに見合う演奏布陣は以下のとおりです。

 薫(Vo)
 こじまりょうすけ(Key)
 福原ケイ(Gt)
 松本勇人(Ba)
 山口さとし(Dr)
 飯田瑞樹(Sax) … ゲスト


以前からの参加者や共演者、音源制作に関わったメンバー等々。5人のバンド編成とメインとし、楽曲によっては必須となるサックスにゲストで参加してもらうスタイルです。Drの山口は前回の『ベイサイドジャズフェス』でも叩いていた人ですね。
「なんでヴォーカリストが真ん中にいないといけないんですか?」「なんでヴォーカリストがMCしないといけないんですか?」という薫のわがまま 提案によって、それを汲んだリーダーこじまの鍵盤がステージ中央にデンと鎮座する変則的な配置です。進行役もこじま。まぁ彼、喋るの好きそうですから(笑)、(薫も言ってましたけど)適材適所なのかも。


二部構成、全10曲。
ジャズ/フュージョン・テイスト強めの曲をこの“ロック/プログレ指向”編成で再構築するような第一部、新しめの楽曲をアコースティックとバンドの両方で披露する第二部。明確なコンセプトが反映された構成です。
ワンマンにしては少ない曲数ですが、1曲1曲の濃密さは半端なく、演者も聴き手もめちゃくちゃ集中してるけど、同時に緊張を楽しむ余裕がある、そんな空気を感じました。終演後には、「もっと観たい」という気持ちは強いものの、不満どころか充足感に満たされまくるという、ある意味矛盾した感覚を覚えることに。

幾度かライブで聴いたことのある曲をやっているのに、別バンドのようにさえ感じました。以前と今、どっちが優れているとかじゃなくて、指向してる先が違うというか、コンセプトが違う。明確な方向性を打ち出し、それに沿った巧者を集めてくると、こうまで出音の感触が異なるのか、と驚くことになりました。
一言でいうと、パワフルで熱い。やはりドラマーの資質が異なるというのは大きく、福原“nap”雄太(たしかバークリ-に留学中)のシャープで軽やかなドラミングに対し、山口さとしはドカンドカン&ビシバシとしばき倒す。で、音が締まってるから喧しくはない。気持ちの良い力強さ。めちゃくちゃ巧いよ、彼。あと、演奏中、終始楽しそうな表情がいい。
あとはギターの歪みね。ギターレス編成もあり得るリリスに、クリーン・トーン主体ではないディストーション・ギターはなんだか新鮮で、これには目から鱗でした。足元のエフェクターの数からしてロック者(?)である福原ケイ(同じ福原だけど、雄太と兄弟じゃない)は、タッピングも交えるテクニカルっぷりでしたし、鋭いチョーキングもキメる。アクションもいちいちサマになるし、うん、これは今までにないロック・リリスだわ。

楽曲の機微を見事に掬い上げ、押し引き自由自在、クライマックスではこれでもかというくらい力強く音をぶつけてくる。今までのリリスの中で最も管理人の好みの音ですわ。やっぱりHR/プログレッシヴ・ロック的な方向性は好きだな自分、と再確認しました。バンドの頭脳であるこじま氏のいいように翻弄されている気もしますけど、それが気持ちいい(笑)
そして、そんな最高に押し出しの強いバンド・サウンドにあっても、全く埋もれることなく、無視できない個性を貫く薫の歌声の非凡さよ。ソロ・アーティストでもあるケイがコーラスも担当していたため、今回は2人のハーモニーも大きな聴きどころでした。新曲であるprizeなんて部分的にはツインVoみたいでしたしね。

メンバーみんな、演奏中の表情や動きが素敵なんですよね。美男美女とかそういう容姿の話ではなくて、どれだけその瞬間に生き生きとして輝いて見えるかっていうこと。
音に真摯に向かい合った凄腕のメンバー同士が、アンサンブルに手応えを感じ楽しんでいる姿ってのは、どうしてこんなに魅力的に映るんだろう。メンバー間のアイコンタクトは大好物です(笑)。前述したGtとDrの2人はもちろん、軽快に跳ねるような動きと出音で躍動感を生み出す松本も、ソロ大フィーチャーな飯田も、演奏に熱が入ってくると椅子からケツを浮かして弾き倒すこじま(笑)もサイコー! 光りの雨の前に気合いを入れるように腕まくりする薫の“男前”っぷりもしかり。

第二部は選曲・方向性ともにMy好みド真ん中で、Erwin and Iのメロディの美しさ、遂に聴くことのできた名曲イエソドUnconditionallythetaの全てやりきった感と、あまりにも濃ゆいひとときでした。
すげえよ。すげえ。


ステージでの歌唱と演奏が良かっただけでなく、お洒落なハコの選択、映像でも楽しませるVJの参加、お客さんが気持ち良く過ごせるよう隅々まで行き届いた配慮と、イベント丸ごと素晴らしかったです。この日を特別なものにしようとの出演者の意志を感じましたし、それが受け手にきちんと届いていたんではないかな。素敵な時間と空間でございました。
次のライブは夏?とのことですが、その時もこの編成で頼みますマジで。

<セットリスト>
***** 第1部 *****
01.countdown
02.Enter the Void
03.fighting rodents
04.光りの雨

***** 第2部 *****
05.I always await you (acoustic)
06.Erwin and I (acoustic)
07.イエソド
08.prize
09.Unconditionally
10.theta

lilithabi_20180414_pamphlet.jpg (写真が暗いw)


パンフ内の楽曲解説は、薫が歌詞の面から楽曲にアプローチしたもので、かなりのヴォリューム。
帰宅して、このレポを書いている途中で読んだわけですけど、彼女らしさ全開でなんだか嬉しくなってしまいました。と同時に、あまりにも赤裸々な内容なので、とても重い。

リリス楽曲の歌詞は、説明文とは全く異なる詩情があったり、突き放したような難解さがあったり、そもそも難解であることすら気づかないものも多いです。裏に潜む哲学的示唆や、形のない概念を浮かび上がらせようとする努力や意図を汲み取ることが困難なのはしょっちゅう。
そこでこういった本人による解説があると、これまで把握していたものとはまた異なる楽曲の魅力について意識させてくれるので、とても良いですね。楽曲をより深く愛するための助けとなる。これからも似たようなものを作品に付加してほしいところです。

また、歌詞に込められた意味や背景を知ることで、なぜ彼女がライブで1曲1曲、自分を鼓舞するような姿勢と集中力を以って、そして時に痛みを我慢しているような、振り絞るような表情で歌を紡いでいるのか、その想いが少しでも想像できるような気がします。
というか、この解説を読んだ今、またこのセトリの楽曲を生で聴いてみたいと、体験してみたいと強く願ってますね。とりわけUnconditionallythetaの連続性・関連性を。また違った光景が浮かんでくるんじゃないかと。


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