R・D・ウィングフィールド『フロスト始末』

rdウィングフィールド_フロスト始末_1 rdウィングフィールド_フロスト始末_2
R・D・ウィングフィールド『フロスト始末』 (芹澤恵 訳、創元推理文庫、上・下)

R・D・ウィングフィールドによるフロスト警部シリーズの6作目にして最終作、『フロスト始末』を読みました。
なんで最終作かっていったら、作者が2007年に亡くなっているから。
5作目『冬のフロスト』の感想は → コチラ。

今宵も人手不足のデントン署において、運悪く署に居合わせたフロスト警部は、強姦・脅迫・失踪と、次々起こる厄介な事件をまとめて担当させられる。警部がそれらの捜査に追われている裏で、マレット署長は新たに着任したスキナー主任警部と組み、フロストをよその署に異動させようと企んでいた…。史上最大のピンチに陥った警部の苦闘を描く、超人気警察小説シリーズ最終作。

マレット署長とスキナー主任警部の差し金により、デントン署を去る日が刻一刻と迫るなか、フロスト警部が抱える未解決事件の数は、一向に減る気配を見せない。疲れた身体に鞭打ち、わずかな部下を率いて捜査の指揮を執る警部に、異動を回避する妙案が浮かぶはずもない。法律を無視し、犯人との大立ち回りまで演じる、いつも以上に破れかぶれなフロストが最後につける始末とは?


6作全部が傑作。
これだけ粒揃いのシリーズ物もなかなかないんじゃないの。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓




というのも、物語の舞台を変えたり意欲的な展開を盛り込んだりっていう、シリ-ズ物にありがちな無理な「冒険」をしてないからかも。
と書くと、何だか守りに入ってるような後ろ向きな作風にも思えますけど、これは勝利の方程式からはみ出していないと捉えたいところ。魅力的な人物達が生き生きと会話しているだけでも強いが、人間の喜怒哀楽が丸ごと全部、ユーモアにくるまれて描かれているからいつも素晴らしい。下ネタだけのシリーズじゃないのだ。

特に今作では、フロスト警部が亡き奥さんとの思い出を振り返る場面が多く、やたらエモいです。また、このシリーズの特徴である同時並行的にいくつもの事件が発生する点でもキレッキレで、とりわけ凄惨でヘヴィなものが連続するため、捜査陣一同感傷的になるシーンが多し。
作者が“最期”を意識した作品ではないからか、大筋ではいつもどおりのフロスト警部モノになっています。ゆえに、期待を裏切らないと同時に、本作だけに存在する特別感は薄いのかも。クソ野郎役たるスキナー主任警部と、新人婦人警官ケイト・ホールビーの存在は効いてますけどね。特に後者とフロスト警部のやりとりは心温まる。

これにて終演!
最高のシリーズでした。
…かと思いきや、あとがきを読んでたら、遺族の許可を得た2人の作家が、ジェームズ・ヘンリーというペンネームでシリーズを書き続ける(もう書いてる)んですと! これは期待半分・不安半分だなぁ…。訳者が芹澤さんなら安心度合いは上がるけども。


スポンサーサイト

COMMENT 0