CROSS VEIN「Gate of Fantasia」

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CROSS VEIN「Gate of Fantasia」 (2018)

皆様ご機嫌麗しゅう。
国産貴族系シンフォニックメタル・バンド、CROSS VEINの3rdアルバムですわ。3年ぶりね。
既報のとおり(→コチラ)、受注生産限定盤と通常盤の2種類がありますわ。受注生産限定盤の「別ディスク」については追記にてカキコカキコさせていただきますが、本編CDの内容は同じですのでお間違いなきよう。11曲入りよ。

シングル「The Revival」(2017)の2曲は収録されず、結果、先行シングル無しのアルバムとなりました。これは嬉しいポイント。ライブで聴いたことのある曲が半分ほどを占めるものの、楽曲単位というよりアルバム単位で聴く人間にとっては、新鮮な気持ちで臨むことができますから。

ジャケットのJULIAたぁん(の背中)お美しいですね。あとめっちゃディ○ニーしてますね。
ジャケだけではなくブックレットが美麗極まりない仕上がりで、歌詞とともにイメ-ジを掻き立てるアートワークが載ってるの素敵すぎる。ノイシュ○ンシュタイン城に許可はとってあるのか心配になってしまうけど。それともノイシュバンシュ○イン城はフリー素材なのか?(笑) あと新規王子のSinKi王子(Dr)が加入時よりもだいぶ王子っぽくなっててマジ王子。
このアートワーク周りは、VersaillesJupiterのTERU(Gt)によるもので、本作のプロデュースはバンドとHIZAKIですし、所属事務所は一緒だしということで、これはもうどっぷり貴族ぐるみのお付き合いですな。


前作「ROYAL ETERNITY」(2015)はほとんど全てが管理人の好みにピタリとハマったネ申盤でした。収録曲のバランスの良さもさりながら、終盤にかけてバンドの明るい魅力が花開いたことが大きな特徴だったと感じてます。暗い曲じゃなくてもCVたりえる、というか。
特に、Brightest Hopeという南瓜系陽性メロパワ曲がファンに受け入れられ、劇場(ライブ会場)で好反応を引き出したのは、メンバーにとってもおっきかったんじゃないのかな。本作の作風へと繋がる1曲だった気がする。

やや明るめの方向へ。
いや、明るめというより軽めかな。重心が上がったというか。

熱くはないアルバムだな、と。
冒頭でディズ○ーを引き合いに出したのは当たらずとも遠からずで、キャラ被りのない楽曲が揃っているカラフルなアルバムではあるものの、熱いヘドバン・チューンや(良い意味での)ヤケクソ気味なパッションを求める向きには物足りない作品かもしれません。
前作のEternal DreamMaid of Lorraineのような勇壮な疾走系シンフォニック・メタル曲を収録してないことが、本作の感想を殊の外大きく左右するんじゃないかなーと。速い曲・疾る曲が無いわけじゃ決してないですけど、爽やかだったり技巧に寄っていたりという感じで、ストレートにアグレッションを撒き散らすタイプではありませんから。
Yoshi(Gt)とMASUMI(Gt)という、タイプの異なるソングライターを擁するCROSS VEINですが、(従来の)“CVらしさ”の源泉であるYoshiが、ここでは遊び心を感じさせる曲を提供していることも結構デカいです。

また、メロディのキャッチーさやクサみという点からすると、今までの3枚の中で最も弱い作品じゃないかと感じます。煌めきやひらめきを感じさせるメロディ、「こんなメロディを生み出せるなんて天才かよむをおおおお!」って感じる場面は、今までより少ないです。
言い方はちょっとアレなんですけど、小賢しいメロディ・ラインが多めかな。ヒネリが効いたやつ。それだけに聴く回数を重ねるごとに自分の中で馴染んでゆき、心地良さを増してゆく感覚はありますけどね。
あと、アレンジは相変わらずめっぽう巧いし、さらに磨きが掛かってる気もするので、それが曲の印象をグワッと上向けてきてる↑↑↑ 大胆に足し算と引き算をすることで、曲毎の性格が明確になってますもん。あと前作の時点ではサポート・メンバーだったKeiTaro(Key)が正式貴族になり、ライブ演奏でも重要なポジションを占めていることもあるんでしょう、彼の鍵盤が大活躍しているのも特筆すべき点。

音質や音作りが及ぼすところも大きいですね。やはりビクター・スタジオを離れ、V系貴族どっぷり体制になったことは影響していますわ。良い悪いというより個々の聴き手の好みが出るところですが、全体的に前のめりな感覚は薄らぎ、叩き手が変わったこともあり、Drの音作りの違いは顕著。ギターもあまりギャンギャンいってませんね。楽器それぞれが個性を明確に主張し、クリアかつソリッドに共存していたのが前作の音作りだとするならば、全体的なまとまりとスケールの大きさを重視して仕上げたのが本作という感じですかね。よりMH/HM向きなのは前作だけど。

曲の振り幅が広くなり、描く世界が大きくなったことで、必然的に“語り部”であるJULIA姫の力量が問われることになります。
これがまた歌唱力&表現力の向上著しく、より自然な歌唱が収められているので、あたしゃあ嬉しくって嬉しくって、思わず受注生産限定盤のジャケのポーズで詠嘆しちまいましたよ。本作の後で前作を聴くと、ヴォーカルがキンキン尖って聞こえるもん(これは必ずしも悪い点ではないんですけども)。大事なのは、個性を失わずに、って点よね。まぁ彼女の強烈な個性(クセと言い替えてもいい)は、そうそう失くせるもんでもないでしょうけど。
JULIA姫が書く歌詞は、奇を衒った言い回しを用いず、でもフックとなるフレーズを盛り込み、メロディと曲調に合致した言葉選びと詩世界を展開するもの。日本語の響きを大切にしているところもめっちゃ好きよ。今回もその良さは堅持。というか、振り幅の拡大に合わせてさらにじゅりあ。MORE JULIA。多様な音楽的要素を盛り込んでもブレないCVの世界観は、彼女の歌詞に依るところもおっきい。おっきい。


「限りなく続く幻想の世界へと貴方を誘う…優美なる新時代への扉が今開かれた!」っていう帯タタキ文句が限りなくキャプテン○田ちっくなのは気にせずに、幻想の世界へと参りましょう。
↓ ↓ ↓ ↓ 

①Tales of Departure
Yoshi作、オケによるイントロSE。今までと異なるのは明るめの曲調であること。出発なんで。

②Graceful Gate
序曲から連なる陽性チューン。これもYoshi作。CV史上最もド明るい曲なんじゃないかしら? とはいえ耽美路線を捨て去るどころか強化しているバンドですので、能天気にはならずに希望溢れる曲調になってます。疾走系ではあるものの、メロパワともメロスピとも断言しにくいのは、その明るさと肯定感全開なメッセージゆえですかね。この後に複雑な曲が続くからこそ、(歌メロの)シンプルさが映える。…んだが、ちょっとフック不足かな。マーチングバンドのようなパターンだったりギャロップしたりと、リズム隊の推進力は光ってるし、オルガン・ソロも含む間奏は凝ってるんですけど。
この曲をアルバムのリード・トラックとしてMVを作った(→コチラ)こと自体が、バンドからのステートメントになってるわ。しかしJULIAたぁんカメラ凝視しすぎでは?(笑)

③隠されしエデン
MASUMIらしい美メロと技巧が鬩ぎ合う曲で、前作収録のsandglassをさらにキメッキメにした感じも。これは好き。大好き。しかも聴けば聴くほどハマる。あと、ここでの姫のVoはサイコーに可愛いです。一般的なキュートさや“萌え”とは違うんだけども、緊張感を孕んだ歌詞とマッチしたひたむきさがサイコーに彼女らしさを引き出していると思うのではぁ…すき♡

④Masquerade~交響曲第25番~
本作の中では一番古い曲かな。ライブでは既にお馴染みとなっている、モーツァルトの交響曲第25番を大胆に取り入れたYoshi曲です。ライブではダンサブルな楽しさが新機軸を感じさせた曲でしたが、そこにプラスしてさらに退廃を強く感じさせる仕上がりに。この聴き応えたっぷり感は、アレンジの賜物でもあります。語りも効いてる。喜び踊り歓喜しました。
で、この雰囲気が次曲へとうまく繋がっている。

⑤Immortal Beauty
MASUMI執念の作り込みが炸裂する、ヘヴィロック風味のあるゴシカル・バラード。モダンと伝統がCVの名の下に融合してる意欲的な曲だし、この曲の美しいサビは大好物。ゴシック・メタルが美しく耽美であることはもちろん、毒があり、なおかつヘヴィな音でもあることを、今一度思い返させてくれる。

⑥Led Moon
次曲へのイントロとなる、メランコリックなインストゥルメンタル。MASUMI作。美しいメロディが主体で、テクニカル指向じゃないのに、しっかりと個々のメンバーの良さをフィーチャーしてるのがいいっすね。切々としたピアノをバックにしたGt泣きっぷりが聴きどころ。

⑦fate
ド正統派ピアノ・バラード。歌詞もストレートで、「もう二度と 離さないから 運命の人と呼ばせて」ってまいったなこりゃあ。

⑧星屑の軌跡
これぞYoshiのメロディ・センス全開! 哀メロック、めっちゃ切ねぇ! KeiTaroのKeyが実にええ仕事してます。この曲の存在がどれだけオイラを安心させたことか(笑)

⑨Wonderous Nightmare
歌詞も演奏も遊び心満載の、ホラー・テイスト・シャッフル・チューン by Yoshi。本作のカラーを象徴するような曲かと。
ブックレットの歌詞が歪ませて印刷してあるのが、心憎い拘りですね。因みにJULIAたぁんは「中途半端は大嫌い」らしいぞ。あと、「演る」「殺る」という歌詞があるからJULIAたぁんはMANOWARRIOR。

⑩Brilliant Star
1stのHidden Star、シングルのRed Starに続く、スター・シリーズ第三弾となるファスト・チューン。隠れ星に連なるかどうかは疑問ですが、赤星に続くのは確実で(同じMASUMI作曲だし)、Red Starを思わせるフレーズが意図的に散りばめられています。ブレイクからの疾走とか、Gtソロ終わりのピロロロ!!とか。赤星に輪を掛けてテクニカルな曲で、演奏がマジ大変そう(笑)。特にShinKiのDrね。頑張れしんちゃん。
正にブリリアントなキラキラした曲調はキターッ!!感が強いものの、歌メロのラインがうろちょろ(=転調)し過ぎて、印象に残りにくくなっているのは勿体ない。

⑪最果てのオリゾン
オオオオーなコーラスと合唱を誘う(比較的)シンプルなサビメロを持つ、本作の中でも飛び抜けてキャッチーな陽性メロパワ・チューン。Yoshi作。と同じくCVのポジティヴな面を強く印象づける曲ですが、こちらは力強さと熱さに満ちている点がチガウ。ライブで聴いた時よりテクニカルで熱いわ。
この曲でアルバムを締めくくる感じはとてもいいね。


前作ほどの徹底っぷりじゃないものの、前半・後半を感じさせるアルバム構成が美味しいです。中盤の⑤⑥⑦の流れが、大人しめな作品との印象を強めているかもな~とも思いますが、メリハリが効いてるし実際よりアルバムが短く感じられてリピートを誘うしってことで、管理人的には問題ナシ。

アルバム3枚とも違う作風なのは良いですね。それでいて本作もしっかりCVしてますし。
変わったというよりは、広げてきたという認識かな。本作を以って、CROSS VEINという枠そのものが広がった感があります。ライブを観て幾度も感じていたことですが、何をやっても自分達の色で染め上げられるというか。本作を作ったことは、今後必ずプラスに働くと信じてます。

「これがCROSS VEINである」というよりは、「これもCROSS VEINである」という感じの作品。
3rdこそが最高に自分好みなんじゃーッ!!とは言えないけど、これも傑作だ!!とは握った拳を高く掲げながら叫べる。

【お気に入り】
③隠されしエデン
⑧星屑の軌跡
⑪最果てのオリゾン
⑤Immortal Beauty
④Masquerade~交響曲第25番~

【心の叫び】
じゅりあたぁぁぁあああん!!



受注生産な追記を物好きな貴方に
    ↓




受注生産限定盤には「Gate of Fantasia」のインストゥルメンタルVersionのCDと、ライブ&MVを収めたDVDが付いてきます。あとは むをおおおお!じゅりあたぁぁああんお美しいよぉぉおおおお!! なミニ写真集も。

インストゥルメンタルCDの感想は、記事本編の音質・音作りに関する部分とイコールです。音質は決して悪くないし、バンドの技巧は伝わってくるけど、各楽器をクリアに分離させてくれた方が好みだし、Gtはもっとバキバキにしてもよかったと思います。Gtサウンドをオケと違和感なく馴染ませることに注力してる感じ。クワイヤについてもしかりで、ババーンと派手にフィーチャーすることもなく、全体のサウンドの中で効果的に働くよう調整されている感じ。要はあまり過剰さのない、音のまとめ方ね。


DVDの収録内容は以下のとおりです。
【DVD】
-LIVE-
Theater of CROSS VEIN ~The Next Stage~ 2017.12.29 Star lounge
・Split the Darkness
・Masquerade~交響曲第25番~
・最果てのオリゾン
・隠されしエデン
・Brightest Hope

-Music Video-
・The Revival
・Graceful Gate

管理人も参加したStar Lounge劇場のライブ(レポは→コチラ)映像は5曲という少ない曲数ではありますけど、MVではないライブ映像作品としては初めてのものなのでこりゃあ貴重でございます。ライブを観たことがないファンの人にも、生劇場の雰囲気は伝わると思う。
ハコはStar Loungeなので、会場としての狭苦しさ(ここはステージは高めだけど天井が低い)はあるし、映像も最高に鮮明とはいえないけど、演奏力の高さとJULIAたんの麗しさ(ココ大事!w)はしっかりとパッケージされています。衣装も2タイプ収録されてるし。
ライブに来たことがないファンで、かつ本作の受注生産限定盤を買った人が、はたしてどれだけいるのか分からないですけど(笑)


耽美な旋律を気高き貴方に
淫靡な戦慄を毛深き私に



おしまい。


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