Hallatar「NO STARS UPON THE BRIDGE」


Hallatar「NO STARS UPON THE BRIDGE」 (2017)

フィンランドのアトモスフェリック・ドゥーム/デスメタル・バンドの1stアルバム。
次作以降の作品が作られるのか分からない。

このバンド(プロジェクト?)のニュースを耳にした時、そのスーパー・バンドっぷりに驚きましたよね。SWALLOW THE SUNのギタリスト(Juha Raivio)に、AMORPHISのヴォーカリスト(Tomi Joutsen)に、元HIMのドラマー(Gas Lipstick)ですから。顔ぶれからして、ゴシカルでメランコリックなドゥーム・サウンドを期待しましたよね。

でもですね、その時だけじゃなく、このCDが手元に届いて聴き始めるまで、本作制作の背景にどんなことがあったのか、知らなかったんです。
Hallatar誕生は、TREES OF ETERNITYのヴォーカリストであり、SWALLOW THE SUNAMORPHISの作品でも歌声を聞かせていたAleah Liane Starbridgeが、2016年に癌のために亡くなったことに端を発します。彼女の死後、ToEのギタリストでもありAleahのパートナーでもあったJuha Raivioが、書き上げたのがこのアルバムの楽曲。「All lyrics and poems by Aleah Liane Starbridge」とクレジットされていますので、遺された歌詞と詩に曲をつけたということなんでしょう。集まったメンバーが、TomiとGas。
つまりコレ、Aleahの追悼作品ですね。

そんな作品であるだけに、アートワークに白鳥が描かれているのもなるほどと首肯するわけです。本作が“スワン・ソング”であるがゆえに、「次作以降の作品が作られるのか分からない」と書きました。というか、2作目はないでしょう。Aleahによる遺された詞とかが他にあるんじゃなければ。
そしてAleah Liane Starbridgeの名前を知ってしまった今、「NO STARS UPON THE BRIDGE」というタイトルのなんとやりきれなく美しいことか…、、、、

DRACONIANのHeike Langhans(Vo)による詩の朗読(小曲)をを挟みつつ展開する全9曲、40分。実質は5曲みたいなもんです。この御時勢のフル・アルバムとしては、かなり短い作品でしょう。
でもこの内容で例えば70分とかやられたら、あまりの重圧に聴き通すことができないかも。サウンドもヘヴィだけど、精神的にもクる。ゆったりどっしり、音を言葉を一つ一つ置いてゆくようなテンポが緊張感と重圧を煽る。透き通ったピアノの音色も、優しさよりは冷たさを感じさせるものです。
清濁両面で類まれな表現力を有するTomi、本作でも両方の魅力がフィーチャーされていますが、呪詛のような禍々しいグロゥルの存在感が圧倒的です。もっとキャッチーな音を想像(期待)していましたけど、鎮魂歌はキャッチーにはなり得ないんですよね。メランコリックではあるけど。

重苦しい。でも救いは存在するかのように、ときおり清廉なギターが差し込んできます。
あとこういったドゥーミィな音楽性だと、やっぱり女性Voの存在ってのは大きいもので、Heikeが歌う④My Mistakeに魅かれます。曲自体もこの中ではとっつきやすい部類だし。DRACONIANの現時点での最新作「SOVRAN」(2015)ではSharon den Adel(WITHIN TEMPTATION)激似の歌声を披露していた彼女ですが、ここではあまり似ていませんね。Aleahのイメージに寄せたってことでしょうか。
そして、Aleah自身のVoをフィーチャーした終曲、⑨Dreams Burn Downの神々しさよ。あまりにも美しく儚い歌声が降りてくるサビに涙するしかねぇ…。


メランコリックなところや雰囲気は大好物だけど、もっとメロディックであってほしいという点で、管理人の嗜好にぴったり合致するわけじゃありません。でも無視できない存在感がある。拘りと美意識に貫かれた作品。

【お気に入り】
⑨Dreams Burn Down
④My Mistake


あ、TREES OF ETERNITYのアルバム手に入れなきゃ。


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