エリック・ガルシア『カサンドラの紳士養成講座』

エリックガルシア_カサンドラの紳士養成講座
エリック・ガルシア『カサンドラの紳士養成講座』 (土屋晃 訳、ヴィレッジブックス)

恐竜ハードボイルド・シリーズで(俺の中で)名高い、エリック・ガルシアの『カサンドラの紳士養成講座』を読みました。
寡作なのか邦訳されていないのか分かりませんが、作品数が少ないのよねガルシアさん。1作1作がほんと貴重。

カサンドラ・フレンチ、29歳独身。ハリウッドの映画スタジオの弁護士として働く彼女には誰にも知られてはならない秘密がある。自宅の地下室に3人の男子を監禁し、彼らを完璧な紳士に仕立てる“学校”をつくっているのだ。“学校”でのしつけを日々順調に進める一方、カサンドラはふとしたことから超有名俳優ジェイソンと出会い、セレブな一夜を過ごすことに。だが、いいことは続かない。この出来事が規律正しく営まれていた“学校”の存亡をおびやかす事態を招くことになろうとは…。
『さらば、愛しき鉤爪』の著者ガルシアが放つ、LA発痛快ブラックな会心作!


着地点が見つからないまま読み進めてゆくのはちょいタルいけど、ユーモア溢れる語り口が面白い。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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セレブとまではいかない独身女性3名が主要な登場人物。訳者の上手さもあるんでしょうけど、作者は女性目線の文章を書かせてもめっぽう面白いです。独白の時にその威力を発揮する文体ですね。

人攫いに洗脳に殺人に家族のすったもんだにエゴ丸出しの出世競争に男女の愛憎劇と、ぶっ飛んだ&ドロドロした題材の見本市みたいな作品ですが、何故か不思議、爽快さすら感じさせる作品に仕上がっています。R・D・ウィングフィールドのフロスト警部シリーズばりに、様々なトラブルが矢継ぎ早に降りかかってきますが、それを明るく(?)前向きに乗り越えてゆくカサンドラが素敵。どう考えても友人2人(片方は“友人”と言っていいのか疑問だが)の行動に振り回され、不利な立場に追い込まれているけど、損得を超えて友情を判断基準にするカサンドラが素敵。傍から見ればひねくれた、でも本人からしたらごく真っ当な、“子どもたち”への愛情も素敵。

う~~ん、良い作家だと思うんですけど、いまいち知名度&評価が低いような気がする。
だいたいにおいて、ヴィレッジブックスって時点でちょっと手に入れにくいもんなぁ。


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