池澤夏樹『氷山の南』

池澤夏樹_氷山の南
池澤夏樹『氷山の南』 (文春文庫)

芥川賞作家、池澤夏樹の『氷山の南』を読みました。

アイヌの血を引くジンは、南極海での氷山曳航計画を担う船シンディバード号に密航し、露見するもなんとか滞在を認められた。ジンは厨房で働く一方、船内新聞の記者として乗船者たちを取材して親交を深めていくが、やがてプロジェクトを妨害する「敵」の存在が浮かび上がる―。21世紀の新しい海洋冒険小説。

なんだか装丁が昭和っぽさ全開、「あの伝説の名著が復刊!」的なムードを漂わせている本ですが、単行本で出たのは2012年ですので、そんな昔の話じゃない。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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なんじゃこれ。

「海洋冒険小説」ってありますけど、違いました。少なくとも管理人が想像する冒険小説ってこういうのじゃない。
目の前の困難を何とか克服していこうとする話じゃないし、「敵の存在」ってのも大袈裟、というか内容に照らし合わせると的外れな表現だし。青春小説/成長小説として捉えようとしても、主人公があまりに小賢しくてそつがないので無理がありました。

…って、宣伝文句が悪いだけな気もしてきますが、それだけでもなくて。
南極という特殊な地域を舞台にした、他に類の見ないワクワクドキドキするような冒険小説が読めると思いきや、いつの間にか哲学/宗教/特定の生き方賛美/文明批判…etc…と、オイラの苦手なところばかり集めた作品になってるじゃあねーか。やたら無駄に長いように感じられるし、「そのくだりって要るのか??」という着地点が見えないエピソードがダラダラと続く中盤~終盤にかけては、ほんと苦痛でしたね。平易で淡々とした文章もあまり引き込まれることがなかったし。

密航がバレちゃった主人公ジンが、厨房でのパン焼きと新聞記者の仕事を通して船に馴染んでゆく前半は面白かったんですけどね。それまで大事に育ててきた南極の舞台を(作者が)あっさりと脇に置いて、物語をなんだかスピリチュアルな方向に進め始めた時から違和感を感じ、やがて『2001年宇宙の旅』みたいになってきちゃって、、、、(この映画自体は好きだけど)、遂には悟りの境地にッ!!!ww
そういや彼が密航しようと決意するくだりも、今思うと説得力がねぇな、等と思いはじめたり(苦笑)


とことん合わない作品だった…。


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