GRAND FINALE「DESCENT WITH MODIFICATION」


GRAND FINALE「DESCENT WITH MODIFICATION」 (2018)

国産女性Voメロディック/シンフォニック・メタル・バンド、GRAND FINALEのデビュー・アルバム。
中心人物のYASU(Ba)はAZRAELELENDIRAのメンバー、DrはVIGILANTEのSHUNJI。

音楽的にはもろにNIGHTWISHですな。シンフォを絡めた重厚な感触のリフに間奏の展開、さらには⑦With Wolvesで聴くことのできるフォーク風味まで、正にウィッシュしてる。ヴォーカルYOKOの歌唱スタイルはソプラノじゃないので、ターヤ・ウィッシュというよりはアネット~フロール・ウィッシュに近いです。強いて言うと。
因みにリフの重さ、それと“ロックしてる”強い推進力は、Gtがヘヴィだからってことじゃなくて、むしろKeyによるシンフォとリズムの噛み合い方に依るものかな、と。その点もめちゃくちゃNIGHTWISHっぽいところ。

そんなにウィッシュウィッシュ言わんでもええじゃないかという記事になりかけてますけど、その実、本作はものすごい傑作だと思いますよ。メロディの充実っぷりが驚異的。オリジナリティなんてものは脇に置いときゃいいんですよ。

シンフォニック・メタルだけに偏ることもなく、メロスピ/メロパワ要素もたっぷりある(それがとっつきやすさに繋がっている)し、派手ではないものの演奏陣の技巧を活かしたプログレメタル的緊張感もある。6分台の曲が3つあるということで、ドラマティックな方向を指向しているのも間違いないでしょう。要はメロディック・メタルとしてバランス良くまとまっているんですわね。
歌メロ自体はそんなにウィッシュしてなくて、日本人好みのものが揃っていると感じます。哀愁たっぷり。その点こそが武器であり、NWや他の同系統の海外バンドから差別化できる特徴でしょう。ロマンティックかつ劇的な大作④Nobody Knowsを、超強力な哀メロ曲2つ(③孤独の花⑤Promise)で挟みこんだ流れが贅沢過ぎてもう降参。終盤の⑧Perfect World⑨Now or Neverも隙がないし。

歌メロを中心に据えた作風といってしまってよいと思います。その路線が成功するのも、YOKOの歌唱力・表現力の高さがあってこそで、正に宣伝文句の「逸材」は言い過ぎではないと思いますね。
色んな歌い方をできる人なんでしょうけど、基本は明朗で清らかな歌唱を得意とする感じですね。そこに可憐さや少年っぽさやひたむきさや気怠さや猥雑さや情念を、少し滲ませるのが絶品。VELVET★CHERRYのAkane(Vo)を想起させるVoですけど、あそこまで健全な感じはしなくて(笑)、もっと陰りがある。そこがいい。

また、これもAkaneとの共通点なんですけど、歌詞をハッキリと発音する人です。非ッ常に聞き取りやすい。これはね、大きな武器ですよ。HR/HM界隈でこれがちゃんとできてる人って、案外少ないし。女性メタル・ヴォーカリストの絶対的アイコンである、陰陽座の黒猫の最大の長所は、「どんな歌い方でも、どの音域でも、歌詞がはっきりと聞き取れること」だとあたしゃあ思っていますからね。YOKOが(黒猫と)似ているタイプだとは思わないですけど、その実力をやたらと振り回してないところ、曲に奉仕しているようなVoアプローチは似ているかもなぁ…なんて感じますし、とても好印象。
彼女のハキハキした歌い方は、必要以上に生真面目さや固さを感じさせる、諸刃の剣かもしれません。でもそれを差し引いても素晴らしい歌い手さんですわ。


日本語の響きを大切にした歌詞も特筆すべき点で、世界観を壊さない気品のある言葉選び、自然なメロディへの乗せ方には、このバンドの非凡さが現れていると思いますね(作詞はほぼYOKO)。単語がメロディの区切れ目に跨っていないので、めちゃくちゃ自然に流れてゆくし、違和感を感じることなく感情移入することができるんですよね。聴いていてめっちゃ気持ちいい。1stアルバムの時点でこのこなれ方は異常レベルですわ。


全編で印象に残るメロディを味わえる、素晴らしい作品です。本作の凄さは突き詰めると「良いメロディを上手いヴォーカリストが歌う」という、ごくごくシンプルな構図に落ち着くのかもしれんですなぁ。
オラびっくらこいたよ。

【お気に入り】
⑤Promise
③孤独の花
⑨Now or Never
④Nobody Knows
⑧Perfect World
①The Master of My Fate MVは → コチラ。


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