SONATA ARCTICA「THE DAYS OF GRAYS」


SONATA ARCTICA「THE DAYS OF GRAYS」 (2009)

6thアルバム。アルバム・タイトルに因んだのか、メロイック・サインをかますグレイ(GLAYじゃなくて宇宙人的なアレ)まで登場する、不可思議なモチーフのジャケットですが、絵のタッチは細かくて美しいです。前作「UNIA」どうにもこうにもアレな出来だったので今回も心配でしたが、割といい。というか素晴らしい。私は本作を高評価しますが、それは④Flag In The Groundのようなアップテンポの曲が収録されているから、ではありません。「疾走していること」がアルバムの中に緩急のリズムを作り出していることは事実ですが、この曲のハイライトもサビ後のブリッジ・パート~ギター・ソロ~レトロな音色のKeyソロという一連の流れだと思いますし。
曲の感想が先にきてしまいましたが、本作が優れていると思う点は、シンフォニック・ロック/プログレッシブ・ロック的要素の強化により、楽曲展開がスムーズになっていることです。歌メロ、特にサビメロを「聴かせる」んじゃなく、楽曲展開の妙そのものを「聴かせる」という感じでしょうか。聴いていて後半にいくにつれて段々面白くなっていく曲が多いですね。曲の序盤でそれ以上聴きたくなくなる前作の曲とはそこが違います。多彩なヴォーカル&コ-ラス・アレンジという点では前作同様ですが、Voの主旋律とコーラスが同等に主張して収拾がつかなくなっている前作に対し、本作は「主旋律=主役」「コーラス=脇役」という構造が感じられると思います。演劇的と言えるかもしれません。
また、女性Vo、ハモンド・オルガンやPerttu Kivilaakso(APOCALYPTICA)によるチェロが多彩な表情を追加、特にレトロなキーボード・サウンドがプログレッシブ・ロック的な感触を強めるのに大きな役割を果たしています。Henrik Klingenberg(Key)は加入後、初めての大活躍なんじゃないのか。Keyパートも作曲してるのはTony Kakko(Vo&Key)でしょうが。

イントロ①Everything Fades To Gray②Deathauraというアルバム導入の流れが(前作とは違って)性急ではなくゆったりとしています。プログレッシブ・ロック的な雰囲気で始まりますが、Tonyのヴォーカルが入ってきてから一気に演劇的に。比較的分かりやすく爽やかな③The Last Amazing Graysも後半にNIGHTWISHバリに大仰なパートがあります。しかもその展開が自然な流れの中で行われており、実に気持ち良く聴けます。この曲以降も同タイプ(曲調が似ているわけではない)の曲がメインとなり、もうSONATA ARCTICAは聴いて熱くなるバンドではなく、心地良く聴くバンドであると、自分の認識を改めた次第です。
一際演劇的でヘヴィーな展開の大作⑦The Dead Skinが中心にデンッと居座り、存在を主張してますが、これ以降の流れが個人的にはお気に入り。メロウな旋律で始まる⑧Julietは本作で一番好き。様々なパートを経て(より大仰に)冒頭のフレーズに戻っていく展開が感動的。⑨No Dream Can Heal A Broken HeartはTonyのメロディ・センスが(かつてとは違った形ですが)如実に現れた佳曲。途中の女性Voの導入がとても効果的で良いフックになっています。
本編終わりまでの3曲は、ファンタジー色を強めにして流れるように続く印象です。特にチェロが非常に効果的に導入された⑪The Truth Is Out Thereはなかなか良い。

ボーナストラックの⑬In My Eyes You're A Giantは小気味よく癖になるメロディのコンパクトな曲。好き。

(前作ではなく、)本作こそがソナタのスルメ盤かと。特別秀でたキラー・チューンは無いものの、佳曲だらけで聴き応えのあるアルバムになっていると思います。本作の路線を推し進めて行けば、SONATA ARCTICAは初期とは別の素晴らしいプログレHRバンドに生まれ変われたかもしれないのに…(次作へ続く)…

【お気に入り】
⑧Juliet
⑨No Dream Can Heal A Broken Heart
④Flag In The Ground
③The Last Amazing Grays
⑬In My Eyes You're A Giant
⑪The Truth Is Out There

  ↑
割とお気に入り曲、多いね。甲乙つけがたい。

しかし、「展開」って言葉使いすぎでしょう、私。その語彙の無さに恐ろしさを感じる…。
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COMMENT 2

kazz_asai  2012, 07. 20 [Fri] 23:17

まだ2nd買ってませんが…

ヒゲさんの文章読んでいたら、今まであまり気に留めていなかったSonata Arctica全作、俄然聴きたくなってしまいました。
あ、私もメロスピ語ったら多分3行に1回は「展開」使うと思いますね。あとは「疾走」「流麗な」「カタルシス」の3語が頻出。動脈硬化絶賛進行中です。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2012, 07. 22 [Sun] 23:42

kazz_asaiさん、

コメント返すの遅くなりました。

とても嬉しいコメントをありがとうございます。ただし、ソタナ大人買いして後悔しても責任は持てません(笑)
私のグダグダ長い語彙不足文章より、浅井さんのコメントやTweetの方が数倍的を得た評論であろうと思います。因みにこの6thはプログレ耳で聴くとなかなか良いと思います。メタル耳で聴くとイマイチかもしれません。

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