島田荘司『幻肢』

島田荘司_幻肢
島田荘司『幻肢』 (文春文庫)

島田荘司の『幻肢』を読みました。
映画化されたんですと。

交通事故で記憶喪失に陥った医大生・糸永遥。治療により記憶は回復するが、事故当時の状況だけが思い出せない。不安と焦燥で鬱病を発症した遥はTMS(経頭蓋磁気刺激法)を受けるが、その直後から恋人・雅人の幻が現れる。幻の恋人との逢瀬にのめり込む遥にやがて悲劇が!? 島田ミステリ初の映画化作品。

読むのがすげーキツかったです。
面白くなかったので。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓




シマソウ御大、自分の興味のある分野の知識を、作品中に思いっきりぶっ込んでくることで有名です。それらテーマに割くページ数が膨大になり、小説部分とのバランスが著しく悪くなることもままありますが、そんなのは関係ねー!俺は俺の書きたいことを書くぞ!とばかりのスタンスが、眩しくもあり興味深くもあり、そして時に遅々としてページが進まない原因になったりもします。ミステリというより評論や伝記を読んでいるような気になるとき、ありますもんね。登場人物の口を借りて、だいぶ平易には書かれてありますけど。
本書における脳の働きや医学的知識、医療現場を巡るあれやこれやも、かねてから御大が追い続けているテーマの一つであろうと思います。あの名探偵・御手洗潔も脳科学者ですし。

で、そんなテーマ選びや発想は、さすがシマソウおれたちにできない事を平然t(ry…なんですが、どうしてつまんなかったかというと、登場人物がまるで魅力的じゃないんだわ、今回。コイツいいなぁ…って思う人が一人もいない。
特に主人公・遥が気に入らん。なんなのこの自分勝手なヒステリー女は。恋人・雅人(の幽霊)とのベッタベタなデート・シーンが、いつ終わるんだよという具合に延々と続くのも、かなり厳しかったです。安易なハッピーエンドもなんだかなぁ…。

あと、トリックに関わる部分の情報をあまりにも露骨に伏せている(それは遥目線の物語であるがゆえ、ですが)ので、読んでて気持ち良くないのよね。先の展開を想像してワクワクドキドキする以前に、「はいここからは入っちゃダメ!」と門前払いされているようなとりつく島のなさ。
う~ん、半分の長さにまとめられていれば、もっと切れ味が鋭くなって良かったかも、等と感じたり。


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