ulma sound junction「imagent theory」


ulma sound junction「imagent theory」 (2017)

沖縄石垣島出身のプログレッシヴ・ヘヴィロック・バンドによる、待望の3rdアルバム。
前作「idealogy」(2014)から3年10ヶ月ぶりのリリースになりました。常にライブ活動を行っているバンドだし、まとめるのに時間が掛かりそうな楽曲だもんなぁ。

プログレメタル/Djent/ヘヴィロック/グランジ/ポストロック/アンビエント/フュージョン/ファンク/民族音楽…etc…、様々な音楽ルーツを貪欲に飲み込み、彼らでしかあり得ない組み合わせと表現で以って吐き出す。そんなこれまでの延長線上にありながらも、さらに聴き易く仕上がっていますね。“静”部分の表現に一段と説得力が増したことにより、マニアックでありながら普遍性も感じさせるところがすげぇ。

8曲で42分に満たないランニング・タイムですから、彼らの作品の中では図抜けてコンパクトな仕上がりです。10分超えの曲が1つも無い!(笑)ってことにも表れているかもしれません。
ただ個人的には、ウルマの曲を聴く時に曲の長さってあんまり関係ないんですよね。彼らの音楽に身を委ねて聴いてると、気持ち良~く時間が経つのを忘れるし、体感的な長さと比例するわけじゃないから。旅や物語といった言葉で表現したくなる、ulma soundならではの感覚ですね。Djent系の範疇で、なおかつこういった表現を以って説明したくなる音楽って、かなり異質な感じがしますわね。
まぁ曲の長さが関係ないとは言いつつも、ライブでは持ち時間の関係もあるから、何曲聴けるかという意味で、曲の長さは重要だけどさ(笑)

前作のRotten Appleに通じるキャッチーなタイプの③俄か凪、荒涼としたムードのプログレメタル大作④Shooting Testament、大切な人に捧げた鎮魂歌⑤Silver Memories、ulma sound全部入り・最後に桃源郷へと辿り着く構成が美しい⑧Elysiumなどと、いくつか抜き出して簡単な説明もできますが、それらの曲も様々な要素が混然一体となった多面的な魅力があり、一口では説明できねーってのも事実。かといって、このバンドの場合は分かりにくさとは無縁なのが稀有なんですよね。今回、個々の楽曲のキャラ立ちがいつにも増してはっきりしているので、なおさら難しくはない。演奏する方は難しいだろうけど、聴く方はねw

前作の記事で「全編英詞ですが、“歌”の存在感がさらに増してきたゆえに、歌詞は日本語でもいいかもしれません」等と書きました。今回は数曲で日本語詞が取り入れられており、本来なら望み通りのやつキたぜオッシャ!ってガッツポーズするところなんですが、実はほとんど歌詞が聞き取れない。英語よりも日本語が聞き取れない(笑)。なんつーか、田村ヒサオ(Ba&Vo)が歌うメロディが、独特の節回しとリズムにより、英詞部分とシームレスに繋がり、混ざり合い馴染んでいるんですよね。日本語というよりヒサオ語とでも言ったほうがよいのか。
日本語詞を取り入れてもウルマの世界観は一切ブレていないので、マイナスにはなっていないと思いますけど、なかなか意外な結果だったな、と。

日本人でこれほど清濁両面で感情豊かに、かつ技巧的に歌えるヴォーカリストは少ないだけに、田村の存在はひときわ大きく感じられます。ですがウルマの音自体はヴォーカルのみに焦点を当てられたものではなく、Gt/Ba/Drとのバランスはすこぶる良好。「ウルマはこの4人なんだ」っていうのが音から伝わってくる。そこが良いんですよね。
ついでに言えば、メロディにのみ偏るのではなく、リズムの面白さや重要さを再確認させてくれるバンドでもあります。MVが作られたOver Cure①⑦)と②Dzalelなんて、とりわけリズムが肝になっている楽曲ですし。というか、よくこれらの曲でMVを作ることにしたよなっていう。ウルマらしさが伝わるかどうかで言えば「イエス」でしょうけど、もっととっつき易い曲はほかにありますし。


前作よりさらにクリアに磨き上げられた音質/音作りが完成度が高めていることも見逃せません。
最高作でしょう。
傑作。

【お気に入り】
⑤Silver Memories 痛々しさが伝わってくる序盤から温かさに包まれるラストまで、涙なしには聴くことのできない名演。
⑧Elysium
③俄か凪
④Shooting Testament


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